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2012年7月10日 (火)

リフレクションで経験に意味を与える

◆経験でマネジメントを極める

Manabiよく、マネジメントには正解がないといいます。なんか、これも最近では思考停止ワードの一つになっているようで、「自己流でいいんだ」と解釈している人が増えているようです。

もちろん、自己流でいいのですが、無条件というわけではありません。

マネジメントに正解はないということはどういうことか。マネジメントは結果で評価されるということです。マネジメント自体は業務を円滑に遂行するための手段です。その業務がうまくいけばマネジメントはよかったといえますし、うまく行かなければマネジメントが悪かったと評価されるでしょう。

しつこいようですが、うまくいったマネジメントの方法が「正解」というわけではありません。たまたま、その状況でうまく機能しただけかもしれません。似たような別の業務で、同じマネジメントをしてもうまく行くとは限りません。

このようにマネジメントというのは大変厄介なものですが、マネジメントの道を究めるには何をすればよいのでしょうか?

そこで注目されるのが、経験です。



◆ロミンガーの仮説

ロミンガー社のマイケル・ロンバルドとロバート・アイチンガーは、個人の能力開発が、実際にいかに起こるかについて、70/20/10の公式なるものを提唱しました。

個人にとって意味のある学習について

70%:職業上の経験や、仕事上の問題解決
20%:規範となる人からの薫陶や観察と模倣
10%:公式の研修

だという公式です。これは非常に広く受け入れられていますが、その理由は直感と合っているからではないかと思います。

日本人は昔から、経験重視だと言われます。経験させて育てるという方法が重視されます。ある程度のキャリアまではOJTのように指導者をつけて、計画的に経験学習させることも行いますが、一定のキャリアになると、考えることを重視してきました。うまく行かないときに、どうしてうまく行かないのか、うまく行くためにどうすればよいのかを徹底的に考えさせます。そして、得られた答えを実行してみて、また、考える。そんな育成が行われてきました。

これだけで、学習全体の70%を占めているというのはかなり、感覚に合う数字です。加えて規範となる人(ロールモデル)から学ぶが20%とのもいい線ですね。

結果として、研修は軽視される傾向がありました。ところが、今は経験から学ぶことが難しくなってきています。特に、OJTのように業務とは別のテーマを掲げて(業務を機会ととらえて)学習することは難しくなってきました。業務の制約が厳しくなり、そんな余裕がなくなってきています。また、指導する人の確保も難しくなっています。


◆リフレクションで経験に意味を与える

だからといって経験の重要性が低下したというわけではありません。育成において経験の役立て方を考える必要が生じているのです。そこで、数年前から注目されているのがリフレクションです。

リフレクションとは、

・どんな体験をしたか?
・そこにどんな意味があったか?
・それをどう現実に反映させるか?

を考える経験学習の方法です。リフレクションとは、もともと「反射」という意味です。HCLテクノロジーズの経営変革のストーリーの中で、「鏡よ鏡」というキャッチフレーズで、鏡に映った自分たちの姿を徹底的に観察するという話が出てきますが、まさにこれです。


◆リフレクションの例

たとえば、ある部下が期限通りにアウトプットを出せませんでした。これが体験になります。そこに意味を求めます。話し合いをしてみると、この2~3日、体調がすぐれず、出社はしていたものの、仕事にならなかったと言います。

これだけの経験ですが、マネジャーとして考えることはたくさんあります。たとえば


・部下の健康管理の方法は今のままでいいのか
・部下とのコミュニケーションの方法は今のままでいいのか
・部下のレスポンシビリティは十分か
・部下の動機づけは十分か
・部下は自分をどのように見ているのか

などです。さらに、業務管理の仕組みそのものについても考えることがあります。たとえば、

・仕事の進捗管理の方法
・困ったときの他のメンバーとの連携

などです。

これから分かるように、リフレクションに必要なのは、直視することです。マネジャーになると忙しいのもあって、上のような状況があっても、「サボったな」という程度にしか考えず、注意して、スケジュールの再設定をして終わりにすることが多いのです。そこで、「体調が悪かったのです」と言われても、言い訳にくらいしか思いません。ここで注意しておいてほしいことは、これも学びだということです。こういう学びをすると

・部下はサボる
・部下は言い訳する

といった学びをするわけです。そして、それを前提にした行動をとるようになります。残念なマネジャーですね。


◆リフレクティブマネジャーを目指す

鏡に映してみるとは、たとえば、部下に十分にやる気があれば、体調が悪くてもなんとかしようと思ったかもしれませんし、どうしようもないくらい体調が悪くても、自分との関係がよければ、自分に迷惑をかけてはならないと考え、相談して何とかしてもらうことを考えるのではないかという風に考えてみることです。

このように起こっていることを注意深く内省すると、いろいろなことが起こっている可能性があるわけで、それがすべて学びにつながっていきます。こうして学ぶから、人は経験により成長します。単に経験することで成長できるわけではありません。

そして何よりも重要なことは、このような経験の仕方が、冒頭で述べたマネジメントを極めることに結び付いていくことです。

マネジメントに正解はないと言いますが、自分のやり方はあります。そして、経験したことを、リフレクションすることは、自分のやり方の幅を広げていくことにつながります。幅が広くなれば、いろいろな状況や問題に対応できるようになります。繰り返しますが、経験するだけでは成長しません。

リフレクションしながら成長していくマネジャー、つまり、リフレクティブマネジャーを目指してはどうでしょう?

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。