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2012年4月24日 (火)

【戦略ノート284】プロジェクトにおける品質へのアプローチ

Qm珍しく、まじめなネタ。facebookで一度殴り書きをして、整理して書きなおした。比較して貰うと、好川の思考プロセスが分かると思う。

【プロデューサーの走り書き(18)】品質は絶対か

◆品質はトレードオフの対象なのか?

プロジェクトマネジメントは問題解決の連続である。もう少し正確にいえば、トレードオフの連続である。トレードオフが発生する理由は明確で、プロジェクトには予算や納期、リソースなど、さまざまな制約があるためだ。制約条件の中で、如何に主要ステークホルダ(顧客)の満足を最大化するかでプロジェクトのマネジメントの優劣が決まる。

この際に問題になるのが、品質の問題である。

プロジェクトマネジメントの方針を決める際に、品質絶対という価値観の是非が問題になることがある。品質は絶対なのか、それとも、スケジュールやコストとのトレードオフになるのか。この点が問題になる。

モノ作りの発想からすれば、品質は絶対である。いくら優れたものを提供しようとも、品質が悪ければ顧客(ユーザ)の満足は得られないと考える。この議論がややこしいのは、品質がどのように競争優位に影響を与えるかである。



◆競争優位源泉にならなくなった「品質」

かつて高度成長期には、品質は競争優位源泉であった。日本製品が海外で認知されるにあたっても同じことがいえた。Made in Japan である。ただし、この時代に品質が絶対だったかというとそうでもなかった。相対的な品質レベルとしては、今の方がはるかに高いだろう。逆説的にいえば、品質レベルが低いから、品質が競争優位源泉になったのだといえる。

今はどうか。品質は競争優位源泉にはならない。製品はちゃんと機能することが当たり前だと思っている。

今の時代は、「何を」提供するか(プロダクトスコープ)だけでは競争に勝てなくなっている。「どのように」提供するかが問われている。さらにいえば、「なぜ」提供するのかがしばしば問題になるが、三番目の要素は今回は議論しない。


◆「どのように」の品質が問われる

重要なことは、「何を」に品質が問われると同時に、「どのように」に品質が問われるようになってきた。そして、「何を」に対する品質は競争の対象にならなくなってきたのだ。だが、それは、必ずしもパーフェクトにだからということではない。

今、問われているのは、「どのように」の品質である。工場のラインで生産される製品の場合、1990年代から工場のラインの品質に加え、ISOの登場によりその製品の設計プロセスの品質などが問われるようになっている。ISOで言っている品質は、手順がばらつきなく繰り返されることである。

プロジェクト形態で生産を行う場合、プロセスそのものには反復性がないことが前提になっている。もちろん、プロジェクトの中の開発フェーズは開発であるので、反復されるプロセスがあり得るが、プロジェクトの場合、納期を優先すればプロセスを変えるということは考えられるし、この問題が品質の問題の本質である。

では、何を以って品質と考えるのか。


◆問題はマネジメントの品質

メタなプロセスであるマネジメントプロセスである。マネジメントの品質だといってもよい。マネジメントには2つの品質基準がある。一つは、マネジメントそのものが過不足なく行われていること。マネジメントは、標準があったとしても、その通りにやればよいという性格のものではない。必要なことを必要に応じて行うのがマネジメントである。

ただし、注意しておかなくてはならないのは、必要かどうかの判断は、プロジェクトマネジャーだけの判断ではなく、プロジェクトとしての判断であるということ。つまり、スポンサーの判断が大きな影響を与える。そして、その判断の中にはプロジェクトマネジャーの属人性が含まれてくることだ。

もう一つの基準は、結果が計画通りになっていることだ。これは、計画の正確さを意味するだけではなく、コントロールの適切さを意味している。むしろ、そちらの方が重要である。

製品自体の品質に加えて、この2つが実現できているときに、プロジェクトで生産される製品の品質は高いと考えることができる。これをプロジェクト品質という。


◆やっぱり、品質は絶対である

さて、冒頭の品質絶対の議論に戻るが、製品品質だけをいくら頑張っても顧客満足は得られない。たとえば、シックスシグマな製品をおとどけしますので、10年間開発期間をくださいという提案を歓迎する顧客はいないだろう。そう考えると製品品質に関してはトレードオフがあるのは明らかである。

だた、それでもあえて品質絶対は正しいと言いたい。それは、プロジェクト品質絶対である。プロジェクト品質に瑕疵があるということは、QCDのバランスが悪いということである。トレードオフの中でステークホルダを満足させる唯一の方法は、プロジェクト品質を絶対的にすることである。

この議論は生産を目的としたプロジェクト以外でも当てはまる。プロジェクトには目的があり、目標がある。プロジェクトがステークホルダを満足させるということは、目的実現を最大化すること、つまり目標を達成することに他ならない。プロジェクト品質絶対というのは、言い換えると、必ず目標達成をするということである。

その意味で、品質絶対という考え方は正しい。


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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。