コンセプチュアル・マネジメント

【解説】
戦略的にプロジェクトを進めていくことは難しいことです。その一つの理由に、戦略という概念的なものを具体的にしていく過程が難しいことが上げられます。

この過程を克服するためにさまざまな手法がありますが、その一つに、リチャード・コットという戦略コンサルタントの唱えるパレートの法則をベースにした「８０対２０」の法則があります。

これは、たとえば、システム思考でいえば、「レバレッジ」に当たりますし、そもそも、１００年も前に発見された法則の適用なのでそんなに画期的なものでもありませんが、８０と２０というのはマジックナンバーなのかもしれません。不思議と２０％と８０％という数字を意識しながら、考えていると、うまい考えが浮かんでくることがよくあるのです。

実は、最近、「８０対２０の法則」の本の第２版が日本で出版されました。この中に、結構、プロジェクトマネジメントに対する記述があります。この中で、コットは、メンバーに価値のある仕事だけをさせるには、実現不可能な期限を設定するに限ると書いています。商品開発のプロジェクトでこのような方針をとっているプロマネがいます。彼は製造業でマーケティングを担当していますが、彼の手がけた商品は他の人の３倍くらいのヒット率を誇るそうです。

ＩＴのプロジェクトでは顧客がいるので難しいだろうという声が聞こえて来そうですが、そんなことはありません。工夫次第です。コットを信奉しているあるプロマネは、まず、受注後に納期を８０％前倒しするそうです。８０％というのはなんとなく８０％だと言っていますが、本当は何か秘密があるかもしれません。すると、メンバーはその期間の中でできることを真剣に議論するそうです。８０％が終わったところで残りの２０％にかかるそうです。

納期に遅れたときに、受注金額の変更なしに、顧客がスコープ削減に応じてくれることが多いそうです。彼の戦略が卓越しているのは、この点だと言えます。たぶんですが、技術的には、モジュール化設計を徹底しないとこのような開発方法は難しいと思われるので、これも大きなメリットだと言えます。

８０と２０というマジックナンバーから、戦略的であることについて考えをめぐらしてみて欲しいと思って書いたサプリです。


【効用】
・ＰＭ体質改善
リーダーシップ発揮、自信をつける、顧客感度アップ、問題解決能力向上、
・ＰＭ力向上
ピープルマネジメント力向上、チームをまとめる力の向上、リスク対応力向上
・トラブル緩和
モチベーション向上、チームの士気向上