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2011年4月12日 (火)

【戦略ノート248】難局を乗り切るマネジメントとリーダーシップ(2)~現実を直視する

◆米国連邦危機管理庁・元長官のジェームズ・ウィット氏の言葉

米国連邦危機管理庁を公務員的な組織から、危機管理の役割をしっかりと担える組織に立て直したことで知られるのジェームズ・ウィット元長官が自書で

強いリーダーほど、厳しい試練に出会った時にまわりの人たちの力を借りている

という指摘をしている。

では、どのように力を借りればいいのか。これが結構、難しい。試練に出会うとはどういうことかということでもある。今回はこの点について、プロジェクトを念頭において考えてみよう。


◆安易にエスカレーションする組織

プロジェクトマネジメントへの組織的な取り組みということで、プロジェクトで問題が発生したときに、迅速なエスカレーションを求めている組織が多くなってきている。そのような方針の組織で、プロジェクトマネジャーと話をしていると、違和感を感じることがある。たとえば、顧客から追加要求があった。受ければ予算オーバーは確実だ。こんなときに、いきなりエスカレーションをする。

理由を尋ねると、「自分には予算を決める権限はないので、権限を持った人に対応するかどうかも含めて決めてもらう必要はある。もちろん、技術的な実現性や追加費用についての自分の意見(データ)は付けてエスカレーションしている」という。

確かに一理ある。ただ、見方によっては、試練から逃げているだけだとも思える。


◆現実を直視するから試練である

試練に出会うとは、「自分に取り巻く現実を直視する」ということである。上の例は、現実を直視する部分が抜けている。自分が遭遇している問題であるにも関わらず、対応責任を感じていない。言い換えると、当事者になっていない。これでは、困った状況ではあるが、試練だとはいえない。

試練とは、現実を直面したときに、出会うものだ。

そうは言いながら、上位組織に問題をエスカレーションすることは、まだ、一分の理はあるかもしれない。上位組織が求めていることもそうかもしれないからだ。

同じような状況で、困ったからといって、いきなり関係者や傍観者を巻き込む人がいる。「みんなで考えるとよい知恵が出てくると思って」という理屈だ。確かにその通りなのだ。しかし、良い知恵は試練から生まれる。現実を直視できない限り、本当のアイデアは生まれない。

これでは、現実を直視することを避けるために、責任の所在をあいまいにし、現実から逃げているように見える。


◆現実を受け止めたあとで、まわりの人の力を借りる

人の力を借りようと思えば、自分に取り巻く現実を直視し、現実を受け止めることが不可欠である。現実を受け止めたところで責任を感じる。そこで、自分だけでは手に負えないと考えれば、まわりの人の力を借りる。

ジェームズ・ウィット氏がなぜ、わざわざこういう発言をしているのかを考えてみてほしい。現実を直視せずに、人を巻き込んだり、エスカレーションするのは容易だ。「振る」という言葉があるが、これだ。

しかし、現実を直視することにより、「責任感」が発生する。自分がなんとかすべきことだという責任感が芽生えたときに、人のちからを借りるというのは意外と難しい。自分が弱いことを相手に見せてしまうことになるからだ。

自分がすべきことだと認識しながら、部下やステークホルダの力を借りる。これが本当の意味で強いリーダーであり、難局において必要なリーダーである。

 

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。