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2007年11月26日 (月)

【補助線】「標準」再考

◆標準とは何か

前回は、プロジェクトマネジメントの標準は現場のプラクティスを吸い上げていき、構築していくべきだという話をした。

このノートでは、標準については第17回から6回にわたって、「戦略的PMOの標準化への取り組み」と題して議論している。まずは、こちらを改めて読み直してみてほしい。

第17回 戦略的PMOの標準化への取り組み(1)
http://pmos.jp/pmstyle/pmcoe/pmcoe17.html

さて、今回は、この記事も踏まえつつ、標準とは何かということを改めて考えてみたい。

上記の記事でも定義したが、標準とは

 メソドロジー(方法論)の適正な適用を保証するためのルール

である。表現形式は様々である。これについても上の記事を参考にしてほしい。

◆「適正な適用」とは?

ここで考えたいのはこれはどういう意味かということだ。もっと的を絞っていえば、「適正な適用」とは何を指しているのかということだ。

みなさんの組織でスコープ定義をするときに、WBSを作り、中間成果物に対するマイルストーンを設定する、いわゆるマイルストーン管理をすることを「標準」として定めている組織は多いだろう。これは標準といえるだろうか?

実際に、マイルストーン管理をしようとすると、プロジェクトマネジメントの初心者がよく悩むように、WBSでワークパッケージの規模はどのくらいにすればいいのか、あるいは、マイルストーンはどのくらいのスパン(あるいは数)を設定すればよいのかという問題が出てくる。

ここで勘違いしてはならないのは、WBSとか、マイルストーン管理というのは、メソドロジーである。標準とは、これらが適正に適用されるためのルールである。そう考えると、たとえば、上のような問題(ワークパッケージの規模とか、マイルストーンのスパン)の決め方を明示しない限り、メソドロジーが適正に適用されるのは難しいかもしれない。すると、それらのルールが標準だということになる。

◆コンピテンシーを標準化するという考え方

あるいは、発想を変えると、これも、以前の記事で述べたが、「コンピテンシー」を標準化するという考え方もある。プロジェクトマネジメントもマネジメントであるので、適正といってみたところで、一律に決めれるものではないという考え方は当然ある。

すると、メソドロジーを適正に適用するために一律に決めることができるものは何かと考えたときに、プロジェクトマネジャーの能力であり、また、その能力を使った行動であると考えるのだ。実は、マネジメントの中ではこちらの発想の方がマジョリティである。

プロジェクトマネジメントであれば、PMコンピテンシーを入れるものがこれに該当する。同じようなPMコンピテンシーをもった人が2人いたとしよう。その2人がWBSを作ったときに、結果として、WBSのワークパッケージのサイズは違うかもしれない。これはこれで、同等なPMコンピテンシーを持つプロジェクトマネジャーのマネジメント行動なので、両方とも適正な適用をしていると考えましょうという考え方である。

◆何のために標準化するかの

ちょっと、違和感を感じる方もいるかもしれない。実は、ここでもう一つ考えるべきことがある。それは、何のために標準化するのかという問題である。

この問題については次回に議論するので、ぜひ、みなさんの方でも考えてみてほしい。

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。