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2007年10月 5日 (金)

【補助線】プログラムマネジメントはコペルニクス的転回である

◆プログラムマネジメントはなぜ、普及してきたのか?

この1年の間に、プログラムマネジメントに対する関心が急速に高まってきた。その背景には、PMIによるプログラムマネジメント標準の発表、プログラムマネジメントプロフェショナル認定制度の開始、日本でもPMAJによるプログラムマネジャー試験の開始など、さまざまな要因があると思われるが、必ずしもそのような話だけで
はないように思える。

プログラムマネジメントはある種のパラダイム変換である。たとえば、プロジェクトとして実行しようとしている投資計画があったとする。これをプログラムとして扱っていくのかは、コペルニクス的転回なのだ。

つまり、地球中心説から太陽中心説に変えるようなものだ。ものの見方が変わるだけで、やるべきことが変わるということではない。そして、ものの見方が分かるので、マネジメントが変わるだけである。

◆プログラムマネジメントへの移行はコペルニクス的転回である

プログラムによる業務運用に急速に関心が高まってきた背景には、このコペルニクス的転回ともいえるようなパラダイム変換が起こってきているのではないかと思う。これまで全体を決めてから実行する方が効率がよく、合理的であると考えてきたのだが、変化の激しい時代を迎え、その変化に対応するためには逆に効率が悪くなってきた。プロジェクトを実行しているうちに、次から次に状況が変わる。それに追従していかない限り、プロジェクトとしての成果は小さくなる。

これに対して、プロジェクトマネジメントは、変更管理で対応しようとする。プロジェクトマネジメントは決めたもの(要求)が「変わらないという前提」で進めているためだ。段階的詳細化といっても、どのような分野でも、全工程の20%が終わったくらいであらかたゴールを決めている。

◆変わった場合の変更管理ではなく、変化を前提にしたマネジメントパラダイム

これに対して、プログラムマネジメントは「変わることを前提」としている。したがって、業務の目的は決めるが、その手法、アプローチは決めない。個々のプロジェクトを小さくしておいて、柔軟に変更しながら、全体のバランスをとって、業務の目的を達成しようとする。

つまり、業務の前提として、実施期間中要求が変わらないという前提で行っていたのが、変わるという前提で行われるようになってきた。これが、コペルニクス的転回が起こった理由でもあり、パラダイム変換でもある。

今後、プロジェクトはどんどん、プログラムとして実行するようになってくるものと思われる。現に、今、IT系を中心にプロジェクトといいながら、プログラムとして運営されている。このようなプロジェクトの運用形態に対して、「プログラムマネジメント」という新しいツールを手に入れたプロジェクトマネジャーはプロジェクトの成功確率が格段に高くなっていくことが予想される。

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。