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2007年9月30日 (日)

【補助線】何が起こるかわからないプロジェクトではエンパワーメントが必要

エンパワーメント

プロジェクトをプロジェクトマネジャーに任せることは組織的にはどういうことかをしっかりと考えてみたい。「ひとつ上のプロマネ。」ブログにも書いたが、議論のポイントは、エンパワーメントか権限委譲かである。

※「孤立するプロジェクトマネジャー」
   https://mat.lekumo.biz/ppf/2007/09/post_9184.html

ブログ「ひとつ上のプロマネ。」にも書いたが、プロジェクトをプロジェクトマネジャーに任せることは組織的にはどういうことかをしっかりと考えてみたい。

『ウィキペディア(Wikipedia)』の説明の冒頭に以下のような説明がある。

◆エンパワーメントとは何か

さて、最初に、エンパワーメントとは何かについて説明しておく。

『ウィキペディア(Wikipedia)』の説明の冒頭に以下のような説明がある。

エンパワーメント (エンパワメントとも、Empowerment) とは一般的には、個人や集団が自らの生活への統御感を獲得し、組織的、社会的、構造に外郭的な影響を与えるようになることであると定義される。

このように、もともと、エンパワーメントという概念は、社会学者ジョン・フリードマンが提唱した個に着目したソーシャルスキルであり、コミュニティの根底をなすものであった。

このようなエンパワーメントを最初にビジネスに持ち込んだのは、米国経営学会の論文誌に発表されたConger, J.A.,& R.N.Kanungoの論文

Conger, J.A.,& R.N.Kanungo, "The Empowerment Process : Integrating Theory and
Practice", Academy of Management Review, Vol.13, 1988, 471-482

だといわれている。この論文をきっかけに定説といえるような流れができた。

◆エンパワーメント=自律性を促す+支援する

ビジネスにおけるエンパワーメントの特徴は、「自律性を促し」、「支援する」ことにある。

ここで、「自律性を促す」というキーワードは、業務の遂行に当たってマネージャーが業務目標を明確に示す一方、その遂行方法については構成員の自主的な判断に委ねることをさしている。これはいわゆる「権限委譲」である。

ところがエンパワーメントという概念には、「支援する」という活動がついている。「支援する」とは、部下に具体的な指示や解決策を与えるのではなく、部下自身が問題点を発見したり、不足する能力を開発したりする「環境」を整えることをいう。

さて、冒頭の問題に戻る。プロジェクトをプロジェクトマネジャーに任せるというのは権限委譲なのか、エンパワーメントなのか?

こういうロジックが多い。

当社にはプロフェッショナル認定制度があり、プロジェクトを任せるプロジェクトマネジャーはすべてプロフェッショナルとして認定されている。したがって、精神的な面はともかく、業務的な側面では支援を必要としていない

つまり、権限委譲さえすれば、十分であるという認識だという。この認識が適切であるかどうかは、事業や業務の特性によって変わってくると思われるが、ひとつだけ述べておきたことがある。

◆何が起こるかわからないプロジェクトではエンパワーメントが必要

プロジェクトとは何が起こるかわからない。したがって、どんな問題が起こるかわからない。まず、最初に引っかかることは、その問題の発見できるだけのプロジェクトマネジャーの能力があるかどうか。ここは疑問だ。

次に、発見できたとして、その問題を解決するだけの能力を持つかどうかだ。

だから、プロジェクトを立ち上げるときに、組織全体でリスク分析を行い、起こりそうなリスクはすべてつぶしているというマネジャーもいるだろう。そのとおりである。すでにここで、権限委譲という枠を超えて、支援に入っている。それ以外にもすべき支援がある組織も多いのではなかろうか?

その意味では、やはり、プロジェクトマネジャーにプロジェクトを任せるというのはエンパワーメントなのである。

【今回の課題】

プロジェクトマネジャーにプロジェクトを任せるにあたって、どんな支援をすればよいのだろうか?

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。