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2007年3月29日 (木)

【補助線】プロジェクトマネジャーのIO比

今年度の仕事も一段落した。昔ほどではないが、新年度の仕事が立ち上がるまでのこの時期は貴重な充電期になる。

評論家の立花隆氏がよくIO比という言葉をよく使う。インプット(I)とアウトプット(O)の比で、IO比が高ければ高いほど、情報がつまったいい仕事と評価することができるという話。立花氏が評論活動をする際に品質保証のために保っているIO比は100:1だという。

比のとり方はいろいろだと思うが、100:1というと、例えば、100冊の本を読んで1冊の本を書く。1000時間の取材をして、10分間の講演をする。こんな感じ。凄い密度である。

IO比は、知識労働のバランスシートといってもよいだろう。

10年くらい前に立花氏の著作でIO比の話を読んでそれ以来、IO比というのを結構気にしている。コンサルをやっている限り、せめて30:1くらいのIO比は保ちたいと思っている。30:1を切ると、危険水域だと思う。

30:1のイメージだが、例えば、

 1時間の話をするのに、最低30時間の調査や取材をする
 1時間のコンサルをするのに、最低30時間の類似経験をする

など。コンサルのインプットは、たぶん、経験と情報だと思う。できれば、経験20、情報10くらいのIO比を保ちたいと思っている。

気をつけているのは、バランスだ。経験0、情報30というのは論外だが、逆に、経験30、情報0になってしまうと30:1のIO比でも別の意味で危険水域に入ると思っている。サスティナブルではなくなる。サスティナブルであるためには、何よりも、経験と情報のバランスが大切だと思っている。

ただし、経験というのは曲者で、仕事すべてが経験になるわけではない。十分の一もあればいいところではないかと思う。すると、30時間の経験をしようと思えば、300時間くらいの仕事をしなくてはならない。これは結構なものだ。

ちなみに、セミナーのようなパッケージものをつくる場合には、IO比をあげるようにしている。50:1くらいを目標にしている。例えば、7時間のセミナーを作る際には、350時間の調査、経験をベースにするように心がけている。

さて、マネジャー。日本の平均的なマネジャーのIO比というのはどのくらいだろうか?まず、目立つのは1:1、あるいは、せいぜい、2:1くらいのIO比でやっている人が多いことだ。マネジャーやシニアマネジャーになってくると、仕事をしても、ほとんどアウトプットだ(それでなくては給料分の仕事はできない)。従って、仕事はほとんど経験(インプット)にならない。そこで、1は情報を中心にほそぼそという感じになる。どこかで断片的な話を聞いてきたら、そのまま試してみるの繰り返しっていう感じか?

ただし、これでいいかというと要注意。大企業だと問題が顕在化しないが、中小企業だとこのタイプの社長がやっている企業はまず成長しない。大企業でもこのようなマネジャーは確実に組織を蝕む。

ここで、プロジェクトマネジャーについて考えてみよう。IO比はどのくらいでありたいか?専門職であることを考えると、5:1とか、可能なら10:1のIO比は保ちたい。あなたのIO比はどのくらいだろうか?一度、計算してみてほしい。

ちなみに、プロジェクトマネジャーにとって、インプットになる経験(プロジェクト)は以下のようなものである。

組織にとって新しい課題解決となるプロジェクト
火消しの仕事
大規模化、クライアントの多様化したプロジェクト
見本となる人との出会いの中でやるプロジェクト
同じ価値感、異なる価値観の人とやるプロジェクト
失敗プロジェクト
プロジェクトマネージャーの交代が起ったプロジェクト
メンバーの業績に問題のあるプロジェクト

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。