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2006年12月

2006年12月 5日 (火)

「個織」(こしき)

眞木準「ひとつ上のチーム。

この本の中で、眞木準さんが「個織」(こしき)という概念を定義している。チームを個人の視点で見直したもので、この点においてクリエイターは一歩進んでいると述べている。

この「個織」(こしき)という言葉、眞木さんならではの言葉で大変感銘を受けた。クリエイタもソフトウエアも個人意識が大変強い仕事だと思うのだが、視座が「個織」なのか、単なる「個」なのかによって、プロフェショナルとアマチュアの違いがあるように思う。ソフトウエアエンジニアには「個織」の視座を持った人は少ない。

プロフェッショナルになるには、「個」の確立はもちろん不可欠だが、「個織」という視点が必要だ。組織の中の個のあり方の議論は高橋俊介さんや、金井先生がいろいろと議論されているが、「個織」というのはそれをさらに進化させた素晴らしい概念だと思う。比較的自律型チームに近いのだが、それとも決定的に違うような感覚にとらわれている。これはもう少し読み込んでみないと分からないな。。。

これが一つ上のチーム。といいたいところだが、この世界、そうそう単純ではなく、如何にクリエイタという人種にダイバーシティがあるかがよく分かるのもこの本。

技術系の人で、チームのあり方に興味を持っている人、大変、参考になると思いますよ。

Forest_1  「ビジネス書の杜」の書評はこちら

2006年12月 4日 (月)

【補助線】優先順位マネジメント

◆優先順位のマネジメントはプロジェクトの要

戦略マネジメントとは優先順位付けであるといってもよい。戦略の実行手段であるプロジェクトマネジメントの中では優先順位のマネジメントは特別な意味を持っている。

プロジェクトにおける優先順位はさまざまな要因で決まってくる。一つのプロジェクトの中でいえば、クリティカルパスにある作業は他のタスクに優先される。

プロジェクトのメンバーが専従ではなく、複数のプロジェクトに参画している場合は、プロジェクトの優先順位が問題になるケースがある。例えば、Aさんが行っている仕事が双方のプロジェクトでクリティカルパスにあり、他人を以って変えがたい仕事である。すると、全体のスケジュールが遅れること、あるいは、それ以降でスケジュールを調整しなくてはならないことを覚悟してその人の仕事の優先順位をつけなくてはならない。その際に問題になるのは、プロジェクト同士の優先順位である。優先順位の高いプロジェクトのAさんの仕事を優先する。

もう少し経営側に目を向けると、どのプロジェクトを実施するかという問題もある。これも一種の優先順位である。

Priority つまり、あるプロジェクトの中でコンフリクトを解消するためには、いくつかのレベルの優先順位を考えていく必要がある。逆にいえば、いくら一つのプロジェクトの中で最適の意思決定をしたと思っていても、それが結果として、そのプロジェクトの失敗につながるケースは少なくない。

◆優先順位を考えずに失敗しているオフショア開発プロジェクト

最近、このようなパターンをよく耳にするケースはSIにおけるオフシェア開発である。人材が確保でいないのでオフショア開発に踏み切る。オフショアという解決策が本当に問題解決になるかどうかという根本的な議論はあると思うが、それはさておいて、オフショア開発を考える際に、まず、他のプロジェクトでとは考えない。決め撃ちである。オフショア開発の意義をどこにおくかにもよるが、リソースマネジメントにおくのであれば、リスクがあまりにも大きいにも関わらず、決め撃ちでオフショア開発をするのは無謀である。事業部なり、部門なりで、抱えているプロジェクトを抱えてプロジェクトを眺めてみて、プロジェクトの優先順位を分析し、リスクをとれるプロジェクトをオフショアとして、原因になったプロジェクトはオフショアのプロジェクトからのリソースをまわすという選択もある。

このような意思決定の根拠になるのは、プロジェクトの優先順位である。

◆「優先順位などつけれない」は本当か

ここで、最近、よく耳にする誤解を指摘しておく。SI企業の人からよく聞く話だが、

「実施しているプロジェクトはすべて受注したプロジェクトなので、優先順位という考え方はなじまない。すべてのプロジェクトを、納期の早いものから、同じ品質で収めるのが我々の任務である」

一見、正しい。ただし、「リスクがなければ」である。優先順位付けというのはそもそも何のために行うのかをよく理解しておく必要がある。リスクマネジメントである。プロジェクトリスクがある限り、論理的に準備したリソースですべてのプロジェクトに対応できるとしても、現実にできるという保証はない。ましては、3件に1件は納期遅れプロジェクトがあるといわれる業界である。原因はいろいろあるとしても3件に1件のプロジェクトは納期に遅れる。そもそも、上のような理屈など成り立たないのだ。プロジェクトをやめるという選択肢はないとしても、このプロジェクトではお客にないてもらうという選択肢はあるのだ(もちろん、おおっぴらにはいえないので、公式には上のようなコメントになるのだろうが、もし、真剣に言っているとすれば怖いものがある)。

ここで考えておくべきことは、プロジェクトの優先順位をマネジメントすることによって、確実に初期の計画通りに終わらないとならないプロジェクトは確実に終わることができることだ。これが戦略的なプロジェクト実行である。

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。