【補助線】「メタ」計画
オブジェクト指向開発に従事している人はよくご存知だと思うが、「メタ」という概念がある。メタは英語で
背後の、後ろの、より包括的な、超えた
といった意味を持つ接頭語である。
オブジェクト指向でなぜメタという言葉が使われているかというと、情報の定義を階層化するためである。例えば、ポチという犬がいたとしよう。ポチは具体的な実体である(これをインスタンスという)。ポチの特徴を説明するために、もちろん、ポチそのものに注目してもいいのだが、ポチは犬なので、犬の持っている特徴(例えば、4本足であるくとか、耳が2つ、目が2つあって、尻尾が1本あり、ワンと鳴くとか)は持っている。そこで、まず、どんな犬でも持っている特徴をまとめておき(これを犬クラスという)、ポチだけが持っている毛の色だとか、尻尾の曲がり具合だとかだけを表現してやればポチの特徴が表現できる。
この犬クラスが持っているを、ポチという実体に対する「メタ情報」という言い方をする。
メタという概念がどういうものかお分かりいただけたと思うが、メタという概念は非常にマネジメントの中でも重要な概念である。プロジェクトマネジメントをうまく行うためには、「メタな計画」というのが非常に重要である。
例えば、スケジュール計画を考えてみよう。スケジュール計画におけるメタな計画とは、スケジュールを作る際に、1日何時間働くのかとか、土日はどうするのかとか、作業単位をどうするかとか、2人で作業を行ったときに1.8人分の仕事をすると見るのか、2.2人分の仕事をすると見るのかとか、そういったことである。つまり、スケジュールの中のすべてのアクティビティに共通する性質、言い換えるとスケジュールを作る際のルールである。
プロジェクトマネジメントには前提条件という考え方があるが、一種の前提条件である。
この構造は一つのプロジェクトの中にかぎった話ではない。プログラムマネジメントの場合には、メタ計画はプログラムとしてつくり、インスタンス計画を各プロジェクトで作っていく。また、このメタ計画は組織として一つに決めておくこともできる。これが標準化である。
計画を作る際には、メタ計画として扱った方がよいものと、インスタンス計画として扱った方がよいものをプロジェクトマネジャーの意志として明確に区別することが重要だ。
プロジェクトマネジメントの中では、このメタ計画のことを「プロジェクトマネジメント計画」と呼ぶ。
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