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2006年7月28日 (金)

ソフトウエアビジネス

僕は、30台の頃、京都でソフトウエアエンジニアリングの研究をしている研究所で仕事をしていたことがある。このときに、ソフトウエアエンジニアリング環境の開発プロジェクトで一緒に仕事をした在京の中堅ソフトウエア会社の知人ができた。

彼はその成果を活用して独立して、生産性を売りにしたソフトウエア開発会社を作った。僕は頼まれて顧問(アドバイザー)に就任した。

最初の5年くらいは順調だった。社員も毎年、1~3名ずつだが増えて、5年目には3億円くらいの売り上げができる企業になった。基本的に外注はせずに、エンジニア10名ほどでこの売り上げを記録していた。いわゆる人月計算でいくと、1人年間3000万円なので、月250万円である。今と較べれば、SEサービスの単価は1.5~2倍の時代なのだが、それでも結構な数字である。

もちろん、顧客の理解があってのことだが、そんなにはったりの営業をする男ではなく、正味、生産性が高かったのだ。ただ、ソフトウエア生産技術の研究開発を自らがリードし、その半端ではない費用を使っており、そんなに利益率は高くなかった(僕の報酬もその枠から出ていた)。

6年目くらいからしばらく、踊り場に差し掛かった。そして、8年目を迎えたときに、改めて、10年目に向けた事業規模拡大のコンサルティングの依頼を受けた。彼の計画は研究開発費を人件費に回し、大幅に人を増やし、売り上げを10億に持ていくことだった。

彼とはクライアントというよりも友人に近かったので、かなり、真剣に議論し、結果として依頼を断り、顧問も辞任した。

その後、2年くらいの間に40名以上の人を採用し、10年目には総勢で50名近くなった。外注も積極的に活用し、売り上げは10億が見えるところまで行った。コンサルを断ったことで、多少疎遠になっていたが、結構、羽振りがよく、とてもよい場所にオフィスを構え、高級外車を乗り回しているといううわさを聞いた。

この会社が今、どうなっているかはあえて触れない。彼とのつきあいは復活している。

今週の東洋経済でSEの業務環境の悪化の問題を経営的視点から取り扱っている。富士通だの、日本電気だのといった大きな企業は問題の本質が見えにくいが、結局、この友人と同じ構図があるだけではないかと思う。

同じ号で、トヨタの品質危機の特集をやっているのはなかなか心憎い編集だが、そのトヨタのワールドクラスの品質の生みの親である大野耐一氏の言葉。

   「やりやすい」を動機にするな

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。