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2012年8月 8日 (水)

【補助線】プロジェクトリーダーが戦略思考を求められる5つの局面

Senryaku◆戦略とは

多くのプロジェクトリーダーは戦略は、あまり身近なものではないと感じている。それは正しい側面と、誤解している側面の両面がある。

この議論をするにあたっては、まず、戦略と戦略思考の違いを明確にしておかなくてはならない。

戦略とは、もともと、軍事用語であり、(戦争に勝つために)戦場に到達するまでの段階で用いる計画である。これに対して、戦場に部隊を送り込んだ後の段階は戦術と呼ぶ。戦術とは、戦場で部隊をどう運用するかである。

このレベルの戦略を考えると、プロジェクトは戦術であり、プロジェクトを立ち上げるまでの経営レベルの計画が戦略ということになる。ゆえに、プロジェクトは戦略上の必要性に基づいて目的が決定され、その目的を実現する活動として実施されることになる。

では、プロジェクトを立ち上げたのちはどうだろう。プロジェクトリーダーに求められるのは、基本的にはプロジェクトにおいて、人・モノ・カネのリソースをどのように活用するかに関わるものであり、プロジェクトマネジメント計画という戦術を作り、実行していくことが求められる。



◆戦略思考とは

さて、ここでもう一つの言葉、「戦略思考」(あるいは戦略的思考)について考えてみる。戦略思考とは、「目的を明確化し、目的と手段の関係を明確にしながら、ものごとを進めていくこと」である。戦略思考をこのように表現すると、戦略とは「明確化された目的と手段の関係」だと言える。

このように考えると、目的というのは、何も経営レベルの目的だけではない。たとえば、計画を作る際にも目的はある。プロジェクトの円滑な運用するとか、納期を必ず守るといったことであり、その目的に対して、計画は手段になっている。

プロジェクトの中の作業を考えてみても、それぞれの作業には目的があり、その目的に応じてやり方が決まると考えることができる。

つまり、戦略と戦術という区別は、競争に勝つことを目的とした区別であり、「目的を明確化し、目的と手段の関係を明確にしながら、ものごとを進めていくこと」は、さまざまな局面で必要になってくる考え方なのだ。


◆プロジェクトリーダーに戦略思考が求められる5つの局面

プロジェクトリーダーに求められるのは、戦略を策定することではなく、戦略思考をすることである。プロジェクトの中で戦略思考が求められる局面はいくつもあるが、重要なのは以下の5つである。

一つは、与えられた戦略目標(プロジェクトの目的)に対して、その手段(プロジェクトの目標)を明確にし、ベースライン計画を組み立てることだ。

二つ目は、プロジェクト目標を達成するという「目的」に対して、その手段としてのプロジェクトマネジメント計画を策定することだ。この中には、変更管理の計画なども含まれてくる。

三つ目は、プロジェクト目標を実現するという「目的」に対して、プロジェクトマネジメント計画を基本としながら、手段としてのプロジェクト作業計画を作り、それを実行していくことだ。

四つ目は、リスクマネジメントにおいて、プロジェクト目標の達成という「目的」に対して、手段としてリスクの回避をすることだ。

五つ目は、問題が発生したときに、プロジェクトの目的に立ち戻り、プロジェクトの目的実現の手段になるような問題解決策を策定することだ。

プロジェクトリーダーの戦略力は、最低限、この5つの局面で発揮できなくてはならない。

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。