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2008年9月15日 (月)

【補助線】Xチーム

◆Xチームとは

先月、本屋さんで本を見ていたら、見慣れない言葉を目にした。「Xチーム」という言葉だ。著者はMITスローンビジネススクールの教授であるととにも、MITリーダーシップセンターのファカルティ・ディレクターである、デボラ・アンコナ。

それよりも目を引いたのが、帯。「学習する組織」のピーター・センゲと、「組織文化とリーダーシップ」のエドガー・シャイン。学習とリーダーシップのグルである。

Xチームとは何か?一言でいえば、つねに外部との接触のあるチームのことだ。詳しくは、このビジネス書の杜の記事を読んでほしい。

イノベーションが必須とされる競争社会で生き残るためのチーム

◆内向きのチームは崩壊する

この本で言っていることはきわめて重要である。タレントを集めたチームも「メンバー全員が外部の雑音に煩わされることなく課題に集中している」ことにより、崩壊するというのだ。

たとえば、こういうこと。

SIプロジェクトチームで、要件定義が終わって、あとは、厳しい納期をクリアするために如何に効率よく、チームワークのよいチームを作って、プロジェクトを進めていく。そうこうしているうちに、いつの間にか、顧客のビジネスの状況が変わって要求が変わってくる。これでプロジェクトは崩壊する。

商品開発プロジェクトで市場調査をし、仕様を決める。その仕様を実現するための、一生懸命、技術開発をしているうちに、いつのまにか、競合が出てしまい、市場ニーズを変えてしまった。これまた、プロジェクトは崩壊だ。

こういうことが起こらないように、外部組織との関係性を重視したチームマネジメントをしていこうというのがXチームである。

◆これからのプロジェクトチームに必要なものは外部指向性

プロジェクトで仕事を進めていく大きな理由の一つは、プロジェクトのリードタイムの短縮である。リードタイムを短縮するには、とにかくチームとして効率よく動け、パフォーマンスを高めることが重要であるという認識があるが、これは一昔前の話。今は、そのプロジェクトの期間中にさえ、環境が変わり、プロジェクトで実施すべきことが変わる。

もっと一般的にいえば、

(1)利益を得るために積極的にリスクを取る
(2)複雑で、専門的で、動的で、分散的になっている重要な知識を追跡し、身につけて行動する
(3)複雑化し、独立的で、変化のスピードが速くなっているさまざまな作業を調整し、シナジーを生み出す

というマネジメントを実現する必要がある。

これはいくらリスクマネジメントをやっても解決しない問題である。プロジェクトそのものの取り組みを、内部指向から、外部との関係重視に変え、リアルタイムに状況の変化をとらえ、外部の情報を取り込みながらチームビルディングをしていくことが重要である。

このような取り組みをしようとするとポイントはコミュニケーションマネジメント計画ということになるが、そろそろ、このような外部を巻き込んだプロジェクトマネジメントをする必要があるだろう。

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。