PM2.0事始め Feed

2011年11月29日 (火)

【PM2.0事始め】第9回 計測可能な目標の設定

Fa◆はじめに

前回は、戦略的アラインメントの6つの成功条件

(1)バランスがとれ、また、よく考えられた目的・目標の設定されていること
(2)明確で、かつ、耐久性のある目的が設定されていること
(3)階層化をきちんとできるようなフレームワークがあること
(4)目標が計測可能であること
(5)ステークホルダの合意形成が行われていること
(6)実行計画が組織としての仮説になっており、実施体制作りが十分であること

のうち、(3)について説明した。今回は、(4)について説明する。


◆プロジェクトの目標はQCDだけでない

プロジェクトの管理において、目標が計測可能であるという条件は当たり前だと思うかもしれない。QCDを目標として設定するならば、定量化されているからだ。

しかし、戦略アラインメントの視点から考えた場合、プロジェクトも目的がQCDの達成だけで終わることは考えにくい。たとえば、トップブランド構築を戦略として策定し、「競争力を持つ商品を開発する」といった目的を設定したとしよう。この目標として、「シェア」のような比較的定量化しやすい指標で目標を設定することはできるが、戦略としてブランド構築を掲げている限り、競争力という目的の中にブランドに関する指標は不可欠だろう。

自社の範囲だけで考えれば、ブランド力を定量化することはできるだろう。定義の問題である。たとえば、認知度とか、購買における影響力とかだ。ところが、このような指標で他社のブランドを評価してみても、適切な評価になっているとは限らない。たとえば、ブランドヒストリーを重視している企業と、単純な認知だけで評価しても競争力の指標としてはあまり適切な評価とはいえないだろう。

このようにプロジェクトの評価指標は必ずしも定量的なものが主流だとはいえず、定量化の工夫をし、メトリクスの設定を行う必要がある。

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2011年11月22日 (火)

【PM2.0事始め】第8回 階層的フレームワーク

Fa◆戦略アラインメントとは縦の関係と横の関係の整合

前回は、戦略的アラインメントの6つの成功条件

(1)バランスがとれ、また、よく考えられた目的・目標の設定されていること
(2)明確で、かつ、耐久性のある目的が設定されていること
(3)階層化をきちんとできるようなフレームワークがあること
(4)目標が計測可能であること
(5)ステークホルダの合意形成が行われていること
(6)実行計画が組織としての仮説になっており、実施体制作りが十分であること

のうちの(2)について説明した。今回は(3)について説明する。

プロジェクトからみると、上位のビジネスの目標であったり、戦略ゴールとの整合という縦の階層が問題になるが、この話がややこしいのは同じ戦略の元に、同じレベルの部門があり、その部門間で競合が起こることがあり得ることだ。

たとえば、戦略ゴールは顧客のビジネスの支援をすることであったとしよう。この戦略の元で行われる商品開発プロジェクトの目的は顧客ビジネスのリードタイム短縮を取り上げ、その目的を達成するような商品の開発をしようとした。ところが、マーケティング部門はすでにリードユーザを心づもりしており、その顧客はコストダウンを中心に考えていた。開発部門が構想する商品ではリードタイムの短縮の期待はできるものの、コスト削減の効果はほとんどないと思われる。

このときに、戦略ゴールとの整合は単に上下の話だけではなく、横の整合も実現されなくてはならない。

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2011年10月25日 (火)

【PM2.0事始め】第7回 灯台にもアンカーにもなる目的を設定する

Fa前回は、戦略的アラインメントの6つの成功条件

(1)バランスがとれ、また、よく考えられた目的・目標の設定されていること
(2)明確で、かつ、耐久性のある目的が設定されていること
(3)階層化をきちんとできるようなフレームワークがあること
(4)目標が計測可能であること
(5)ステークホルダの合意形成が行われていること
(6)実行計画が組織としての仮説になっており、実施体制作りが十分であること

のうちの(1)について説明した。今回は(2)について説明する。

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2011年10月18日 (火)

【PM2.0事始め】第6回 目的や目標のバランスをとる

Fa◆戦略アラインメントの成功条件

前回は、戦略的アラインメントの成功の条件は

(1)バランスがとれ、また、よく考えられた目的・目標の設定されていること
(2)明確で、かつ、耐久性のある目的が設定されていること
(3)階層化をきちんとできるようなフレームワークがあること
(4)目標が計測可能であること
(5)ステークホルダの合意形成が行われていること
(6)実行計画が組織としての仮説になっており、実施体制作りが十分であること

の6つに集約されることを述べた。

今回から、これらについて説明していきたい。

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2011年10月11日 (火)

【PM2.0事始め】第5回 戦略的アラインメントを成功させるには

Fa ◆戦略的アラインメントを成功させる条件

前回、戦略的アラインメントのゴールとして3つのゴールとして

(1)組織の成長を最大化する
(2)無駄をなくす
(3)シニアマネジャーの組織統制の強化をする

があると述べた。また、そのためのアプローチについて説明した。今回からは、これらの戦略的アラインメントを成功させるためには、何を配慮すればよいかを説明する。

まず、ざっと箇条書きにすると

(1)バランスがとれ、また、よく考えられた目的・目標の設定されていること
(2)明確で、かつ、耐久性のある目的が設定されていること
(3)階層化をきちんとできるようなフレームワークがあること
(4)目標が計測可能であること
(5)ステークホルダの合意形成が行われていること
(6)実行計画が組織としての仮説になっており、実施体制作りが十分であること

の6つくらいに集約される。以下に、それぞれを簡単に説明しよう。

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2011年10月 4日 (火)

【PM2.0事始め】第4回 戦略アラインメントのゴール

Fa ◆戦略アラインメントのゴール

前回は戦略アラインメントの視点について説明をした。今回は、もう少し踏み込んで、戦略アラインメントで何を目指すかを説明しておく。

大きく考えると、戦略アラインメントの落とし処(ゴール)は以下の3つだと思われる。

(1)組織の成長を最大化する
(2)無駄をなくす
(3)シニアマネジャーの組織統制の強化をする

では、これをどのように実現していけばいいのか?それぞれについて考えて見よう。

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2011年9月30日 (金)

【PM2.0事始め】第3回 戦略アラインメントの視点

◆戦略達成のオペレーション

前回、プロジェクトマネジメントのトライアングルの話から、多少先走って、GBSの話をしたが、今回から多少、戻って、戦略アラインメント(戦略的整合)について考えて見よう。

まず、ガバナンスの話から。戦略達成のオペレーションには

(1)定常業務
(2)プロジェクト業務

の2つがある。一つのプロダクトやサービスに注目すると、この2つのオペレーションを併用して、戦略達成への貢献をしているケースが多くなっている。例えば、メーカであればプロジェクト業務として商品開発オペレーションを行い、定常業務として生産・販売オペレーションを行うというような形態を取る企業が増えてきた。IT企業であれば、プロジェクトとしてシステムの導入(開発)オペレーションを行い、その運用や保守サービスオペレーションを定常業務と行うことが多い。

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2011年9月20日 (火)

【PM2.0事始め】第2回ゴールブレークダウンストラクチャー(GBS)

Fa ◆プロジェクトマネジメントのトライアングル

プロジェクトマネジメントのトライアングルというのがある。プロジェクトの制約を表現するもので、基本的には

・品質
・タイム
・コスト

である。あるいは、これにスコープを加え、

・品質(プロダクトスコープ)
・タイム
・コスト

のトライアングルだと考えることもある。スコープを入れると、品質は目標になり、多少戦略的になってくる。

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2011年8月26日 (金)

【PM2.0事始め】第1回 「仕事」の基本構造

Fa ◆10歳の太郎君と35歳の太郎氏

太郎の10歳の夏休み。

父親「もう、夏休みの宿題は終わった?」
太郎「自由研究以外は終わったよ」
父親「自由研究は何をするんだい」
太郎「1週間の星の観察にしようと思ってるんだ」
父親「なぜ、星の観察をするの」
太郎「担任の先生が1週間の星の観察をすればいいと思うと言ってたから」

太郎君は健やかに成長し、大学を卒業、IT企業に就職する。とりあえず、上司のいうことをよくきく、覚えめでたい社員で、順調に出世。35歳で課長になる。ある日のこと。

部長「A社のプロジェクトのスコープは決まった?」
太郎「はい、部長」
部長「どんな感じになった?RFPと大きな相違点はないかい?」
太郎「A社担当の佐藤さんはシステムをよく分かっていて、細かく要求仕様を出してくれました。このプロジェクトは私が係長のときから目をかけている井上君を担当にしました。私は細かいところはよく分かりませんが、井上君はこれなら予算、納期とも大丈夫だと言ってくれました。RFPはRFPですので、現実に受注条件をクリアできる方が大切です」

実は、この2つは両方とも実話だ。もちろん、同一人物ではないが、10歳の太郎君が健やかに成長すると35歳の太郎氏になると思った話を2つ並べて見た。

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。