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2019年10月31日 (木)

【コンセプチュアル講座コラム】VUCAの時代はこれまでとどのように違うのか

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Conceutual3

◆はじめに
 
今年はVUCA時代への対応を重点テーマに情報発信をしていますが、
 
「イメージは分かるけど、具体的にどういうことなのか分からない」
 
という反応をする方が多いように思います。先日、ある方と話をしていたところ、15年くらい前に作成したプロジェクトとプログラムの比較表の話になり、これまでの時代とVUCAの時代を比較してはどうかというアドバイスを頂き、比較軸について少し、整理してみました。
 
そこで、今回のコラムはビジネスの世界において、これまでの時代とVUCAの比較についてその入り口の部分を書いてみようと思います。
 

◆ビジネスの性格の違い
 
まず比較したいのはビジネスの性格です。一番、大きく異なるのは価値だと考えられます。ビジネスにおいて、人々がVUCAを感じ出した一番大きな要因は、ハード(モノ)とソフト(コト)の逆転だと思われます。
 
これまでは、ハードが中心でしたが、今はソフトが中心です。ソフトといっているのは単にコンピューターソフトウエアという意味ではありません。むしろ、コンピュータソフトウエアは今ではハードになりつつあります。ソフトとは情報であり、その情報に基づく体験です。日本的な言い方をすれば、コトだといってもよいかもしれません。
 
VUCAをミレニアル世代と結び付けて考える人もいます。現実にミレニアム世代の人にVUCAといってもピンとこないようです。「当たり前」だからです。
 
逆にいえば、ミレニアル世代以前は良いものを買うことが良い生活をすることに結びついていました。このため、ハードに価値観を置く人が多かったのですが、ミレニアル世代はモノがある時代に生まれてきて、そういう感覚はほとんどありません。携帯電話もあったし、インターネットも普通に使える時代に生まれてきたわけです。
 
ハードに対して不足感がない中で求めたのが体験の消費です。モノはできるだけ安く手に入れようとしますが、ソフトに対しては喜んで金を出すという時代です。
ところがコトはモノと異なり、刹那的なものです。消費者の求めるものも次から次に変わってきます。ビジネスにおいてはこれがVUCAを生み出したというのがミレニアルとVUCAの関係だという指摘があります。
 
この延長線上で起こっているのが、これまでは所有することに価値を感じていましたが、VUCAでは使用することに価値を感じるようになっています。
 

◆情報に対する態度の違い
 
次に態度ですが、もっとも重要なのは情報に対する態度の違いです。
 
これまではとにかく情報は集めることに意味があるという考え方がメインでした。VUCAの時代には、情報をいくら集めても見えてくるものはありません。はっきり言えば、無意味です。
 
むしろ、情報は発信して、変化を主導していくことが重要になります。簡単にいえば、VUCAの時代には、積極的に行動してインパクトのある情報を発信すればその情報が全体の方向性を生み出します。
 
これは、経営レベルだけではなく、作業のレベルでも同じです。例えば、不確実性の高いプロジェクトの中で仕事をすることを考えてみてください。プロジェクトを無駄なく進めtいくためには、それぞれのメンバーやチームが常に自分の状況を発信することによって、周囲の情報を誘発することがポイントです。
 
極論すれば、これまでの時代は個人より、組織が重要でしたが、VUCAの時代にはこのような考え方では動きかとれなくなります。組織は残るでしょうが、組織の一員ではなく、個人が自立して組織を構成しているという考え方が重要になります。ひょっとして、将来的にはフリーエージェントのような形で、組織は残っても所属という考え方はなくなるかもしれませんね。
 

◆スキルの違い
 
では、そのような形で個人が自立して活動していくためにはどのようなスキルが必要なのでしょうか?それは
 
・質の高い思考ができること
・問題設定ができること
 
の2つがポイントになると思われます。
 
まず思考ですが、これまでも思考が必要なかったわけではありませんが、これまでの思考は知識で足りるものだったり、あるいは知識によって結論の質が変わるものでした。つまり、知識の量が問題でした。
 
しかし、VUCAの時代は情報のところでも述べましたように、いくら情報を集めても、いくら知識を集めても意味がなくなります。そこで必要なのは、断片的な情報からよい結論が得られるような思考スキルが必要です。そのような思考の一つが、コンセプチュアル思考です。
 
もう一つは問題解決力ではなく、問題を設定する力です。言い換えると、問いを創る力です。VUCAの時代には、熟考して一発で問題を解決できるような問題はありません。現象は変わらなくても環境が変われば、問題が変わるからです。そこで重要になるのは、起こっている現象をどのような問題としてとらえるとよいかです。これは上の高い思考の質によってもたらされるものです。
 
これ以外にも、これまでとVUCAの時代の違いはいくつもあると思いますが、とりあえず、今回、述べたことを意識することがVUCA時代への対処になるでしょう。

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。