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2014年7月31日 (木)

【イノベーション・リーダーシップ】第27話 イノベーティブリーダーの質問力(10)~組み合わせに関する質問

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Kumiawase

◆はじめに

前回は、製品の感情的な問題についての質問を考えた。これまでに製品について考えた質問は

(1)新しいトレンドをどうすれば利用できるか
(2)顧客の煩わしさを取り除き、ユニークなベネフィットを与えるにはどうすればよいか
(3)私たちの製品によって顧客はどのような感情的、精神的、立場的なベネフィットが得られるか
(4)私の製品のどんな機能が顧客の情熱をかきたてているのか

の4つだ。

今回は、イノベーションについてもっとも本質な組み合せの問題について考えてみよう。



◆製品と流通の関係を変える

イノベーションに関する思いこみで意外と気づかないが、気づくとインパクトがあるのは流通に関する思い込みだろう。製品の単位は意外と流通に制約されていることが多いからだ。

たとえば、アップルがスティーブ・ジョブズが復帰して、復活ののろしとなったのは、その使命を終えて終了が宣言されたiPodという音楽プレイヤーだ。iPodの成功要因の中で必ずでてくるのが、iTunesという音楽ストアである。

それまで音楽はCDなどのメディアに、複数の楽曲を入れて販売されていた。流通やライセンスを考える限り、この方法しか方法はないと考えられていた。

ところが、ジョブズは複数の有力レーベルを説得し、楽曲をオンラインで、しかも1曲単位で売ることに成功した。それによって、これまでCDで購入したり、レンタルで借りて、好きな曲だけを録音していたユーザをiPodの世界に取り込むことに成功した。

そしてそのユーザは、それからずっとiTunesから音楽を買い続けるので、コンテンツがアップルの収益源の一つになった。

この成功はジョブズの成功ストーリーの中でもっともインパクトのあるものだと思う。

同じ発想で、ついにはコンピュータ(スマートフォン)の売り方も変えてしまった。ハードウエアとアプリケーションをバラバラにして、アプリケーションはネットから買うようにしてしまった。


◆組み合わせに関する質問

この事例から分かるように、イノベーションにおいて、製品についてすべき質問の一つは、

(5)製品の構成要素を組み替えることによって、新しい顧客を生む製品を創れるか

という質問である。

今のところこのようなイノベーションに取り組んでいるのは、iTunesのようにコンテンツビジネスが圧倒的に多いが、モノでもないわけではない。一つ例を挙げれば、自転車がある。

自転車は比較的標準化が進んでいる業界で、アセットメーカとパーツメーカが対等な関係にある業界だが、自社で開発したブリジストンのようにアセットもパーツもやり、それぞれに別の顧客価値を生み出している企業もある。

このような発想を得ようと思えば、(5)の質問が有効で、具体的には

・あなたは製品をまるごと販売すべきだと思っていないか
・あなたの製品の部品、あるいは部品の組み合わせで提供できないか

といった質問を考えてみるといいだろう。


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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。