コンセプチュアル・マネジメント

本書では、

イノベーションは企業が生き残るための本質的課題であるとともに、、誰もが持っている能力である

という大前提を置いている。その上で、イノベーションの成功と失敗を分けるものは何かという問いを立て、

イノベーションは、変化とひらめき、熟練の技と情熱と能力によって成功へ導かれる。

が成功の要因であり、また、失敗要因として

・企業に広がる模倣精神だ
・エンジニアが顧客に寄り添いすぎること
・エンジニアが技術に寄りすぎることである。

の３つを上げている。そして、これらの方針を具体的な３３の法則としてまとめている。

再結合の法則
ビートルズの法則
ロジャースの法則
サービスの法則
オープンイノベーションの法則
クロスインダストリーの法則
クラウドソーシングの法則
フォードの法則
ヨギ・ベラの法則
セレンディピティの法則
リトルブラックドレスの法則
美学の法則
メトシェラの法則
抵抗の法則
自由のための勇気の法則
カイゼン（改善）の法則
ウォークマンの法則
ノスタルジーの法則
スリップストリームの法則
合気道の法則
楽団の法則
グローバリゼーションの法則
ブティックの法則
ゴアの法則
飴の法則
プリマドンナの法則
楽しみの法則
バイリンガルの法則
リアルタイムの法則
創造力の法則
アイゼンハワーの法則
自由裁量の法則
未来の法則

この本はドイツでベストセラーになった本だが、米国のイノベーションの本とは少しテーストが違う。イノベーションのとらえ方が広く、堅実であり、現実的である。また、各法則では、多くの企業のベストプラクティスを紹介している。

３３の法則の中で、興味深かったベスト３は、

・フォードの法則
・楽団の法則
・ブティックの法則

の３つである。

フォードの法則は、顧客の要求するものだけを提供することは不十分で、必要なものを洞察せよという法則。これはヘンリー・フォードが「顧客に何が欲しいかと聞くと、速く走れる馬が欲しいと答える」といったところから生まれた法則。

楽団の法則は、オーケストラ型とジャズバンド型があり、イノベーションを成功させるには両方を持つことが必要という法則。

ブティックの法則は、イノベーションブティックとして、熟考を重ね、厳選した製品のみを扱うことにより、顧客に違うが分かるようにしろという法則。