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2014年3月24日 (月)

【ブックレビュー】アンシンク UNThink~眠れる創造力を生かす、考えない働き方

4062188716エリック・ウォール(住友 進訳)「アンシンク UNThink 眠れる創造力を生かす、考えない働き方」、講談社(2014)

読んでほしい人:創造的な活動をしたい方、コンセプチュアルスキルを身につけたい人、リーン開発を実践している人

ビジネスの論理性とアートの創造性を組み合わせることによって仕事の方法を変えようという提唱をする本。

帯にダニエル・ピンクが絶賛とあるが、この本はダニエル・ピンクが2004年に「ハイコンセプト」という本を出した。この本でこれからの時代は左脳思考の知識ワーカーではなく、右脳思考もできる人、すなわち「ハイコンセプト・ハイタッチ」な人が活躍できるだろうと予言した。

この本の著者はまさにハイコンセプト・ハイタッチを実践している人で、左脳思考の世界から、アーティストになり、その考え方はアートの域にとどまらず、多くのビジネスマンに影響を与えている。この本にはその具体的な考え方や方法が書かれている。


最初にアートという言葉の意味だが、著者自身は3分間で絵を書くアーティストであり、アートをテーマにした講演家でもあるが、彼が言っているアートとは美術という意味ではない。もっと広い意味で

現実を変革するものを作り出す

ことをアートと言っている。すべてのイノベーションはアートである。そして、この本のタイトルでもある

Think(思う・考える) →UNThink(思わない・考えない)

というパラダイムを変えることによって、誰もが創造性を揺り起こされ、アーティストになれると説いている。

この本は著者がアーティストであるための心構えや行動規範について紹介したものだが

・挑発的であること(Provocative)
・直感的であること(Intuitive)
・信念を持つこと(Convicted)
・スピーディーに結果をだすこと(Accelerated)
・自発的であること(Spontaneous)
・夢中になること(Surrendered)
・独創的であること(Original)

の7つである。なぜ、この順序かというと、この7つの頭文字をつなぐと「PICASSO」になる。

この本では、この各項目について、自分の取り組みや他の人の行動を紹介してイメージを持たせた上で、そのように慣れるヒントを数個示している。そして最後に締めの言葉がある。

この中で、僕が非常にインパクトを感じたのは直感的であることだったので、このポイントのヒントを紹介しておこう。

・直感=水面下の知識体系だと知る
・データにこだわらない
・発見を重視する
・会話をひらめきスイッチにする

の4つである。水面下の知識体系というのは、エッセイイスト、マルコム・グラッドウェルの言葉である。締めの言葉もいい。

戦略を立てなさい。でも肌で感じることもおろそかにしないで。
そして創造しなさい!

ス タートアップや製品開発において、リーンのような考え方が注目されている。エリック・ウォールの言葉でいえばスピーディーに結果を出すことだ。これは考え る前に動き、顧客からのフォードバックに対応しながら前に進んでいくという方法だが、考える前に動くというのは思っているよりはるかに難しい。ついつい、 左脳が動いてしまう。考えた瞬間に足が止まる。

この問題を感じている人にはぜひ、一読をお勧めする。

アーティストにな る、アートをするというのは、ダニエル・ピンクの言葉でいえばコンセプチュアルであるということだ。コンセプチュアルスキル開発の仕事を初めて、多くの人 から何かよい本はないかと聞かれるが、コンセプトであればダニエル・ピンクの本がいいが、実践的な本といわれること困っていた。そんな本が見当たらないか らだ。

やって自信を持って紹介できる本が出てきた。コンセプチュアルになりたいすべての人にお勧めしたい一冊だ。

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。