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2014年1月14日 (火)

≪サプリ392≫製品からシステムに移行する

製品からシステムに移行する(伊藤穣一、MITメディアラボ所長)

Supple【成分】
◆IDEOというデザインファームのイノベーション
◆システムをデザインする
◆分断されるデザイン
◆チームというもう一つの問題
◆チームをつくる試み

【効用】
・PM体質改善
  PM体質の全般に対して効果があります
・PM力向上
  PM力向上の全般に対して効果があります
・トラブル緩和
  モチベーション向上

このサプリの購入はこちらから!1か月分、500円です。

【解説】

今回のサプリは来年に来年に向けたテーマを書きたいと思います。一昨年あたりから、「システム」という問題が気になっています。システムという言葉は情報システムを意味するカタカナ英語になっていますが、ここで言っているシステムは要素の集まりという本来の意味でのシステムです。

システムにはいろいろなレベルのものがあります。今の自動車や電化製品はそれ自身がシステムになっています。それも製品だけが単独で存在するわけではなく、他の製品やサービスと組み合わせることによってシステムを構成しているケースが多くあります。エコシステムと呼ばれるものです。

これも一昨年あたりからだと思いますが、リーンスタートアップが注目され、ビジネスモデルに対する関心が高まってきましたが、ビジネスモデルはエコシステムのアーキテクチャーだと言えます。

一方で、日本の企業はシステムを考えるのが得意だとは言えません。これはどのレベルのシステムについても言えます。たとえば、製品レベルでいえば、iPhoneと国産スマートフォンの違いをシステムとハードウエアだと指摘した識者がいます。米国の起業家で、今は日本でコンサルタントをしている齋藤ウィリアム浩幸さんという方が、「ザ・チーム」という本の中で指摘したものです。

もちろん、国産スマートフォンにもソフトウエアは構成要素として含まれているわけですが、彼の言いたかったことは、iPhoneはあらゆる要素をゼロから組み合わせているが、国産スマートフォンは部品を作って擦りあわせ、組み合わせているだけで混じっていないというわけです。この作り方の違いが、性能の違いになってくるわけです。 スマートフォンはパソコンを電話の大きさにした商品ですから、基本的に性能が出ません。それをiPhoneは性能を上げることを目標にして作り上げているわけです(しかも、あの美しいデザインという制約の中で!)。

言い換えるとシステムでは性能や目標であり、ハードウエアでは結果なのです。部品レベルでいくら工夫しても限界があるわけです。

問題はなぜ、このような違いが出てくるかで、齋藤ウィリアム浩幸さんによると日本にはチームがないことが原因だと言います。日本の開発体制は専門家が自分の専門分野を担当し、製品全体にコミットする人はプロジェクトマネジャーだけだというケースがよくあります。これでは本当の意味でのシステムはできません。

確かに何をどのように作るかが明確であればこのようなやり方は効率的に品質の高いものを作ることができます。しかし、どう作るかが分からない、あるいは何を作るかすら分からない状況ではこのような体制は機能せず、参加者全員がシステム全体にコミットするような体制が不可欠です。それがチームです。

来年はシステムとチームについていろいろと考え、発信、行動していきたいと思っています。来年もよろしくお願いいたします。

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。