PMサプリ250:顧客と主客一体の場で、相互作用により、知識を創出する
顧客と主客一体となった場で、直感を活かして相互作用的に個別具体の諸要素の関係性を創出し、それらの要素を時間・空間の中にダイナミックに形式化する(紺野登、知識イノベーション研究所代表)
【成分】
◆プロジェクトで重要さを増すデザイン思考
◆顧客満足度のレベル感
◆潜在的な要求が必要
◆潜在的要求は文脈に依存する
◆潜在的要求の創造
◆ポイントはそれぞれの立場を越えること
【解説】
ちょうど、PMサプリ250回を迎えることもあって、今回はずっと気になっているテーマである、潜在的ニーズの掘り起こしについて考えてみたいと思います。
潜在的ニーズという言葉があります。サプリ246でカルチャーコンビニエンスクラブの増田宗昭社長のこれからはプロダクトアウトだという言葉を紹介しましたが、プロダクトアウトが掘り起こさなくてはならないのは、潜在的ニーズです。
潜在的ニーズというのは、結構、難しい概念です。ニーズの分析をする時点で、すでに存在するが、隠れているというものばかりだとは限らないからです。ニーズ分析の時点では、まだ、存在していない潜在的ニーズというのもあります。
例えば、情報システムの潜在的ニーズについて考えてみましょう。まず、現状の情報システムがあります。新しい情報システムに求められるニーズは、現状の情報システムを前提にしたものです。その中に、ユーザが気がついているものと、気がついていないものがあります。後者が潜在的ニーズです。
これだけなら話は簡単なのですが、新しい情報システムが導入されることによって発生してくるニーズがあります。そのような潜在的ニーズにも対応できて、本当の意味
での骨太の提案だということができるのでしょう。
あるクライアント(Q社)からこんな話を聞いたことがあります。生産財メーカであるA社はSIベンダーのQ社に依頼して、iPadで自社商品のプレゼンテーションを行える仕組みを作りました。それまではパソコンで作成した資料を持参し、パソコンを使ってプレゼンをしていました。iPadはその延長線上にあった話題を狙った施策に過ぎなかったわけですが、プレゼン先の顧客のいくつかは、A社が自社のサーバからデータを取り出してプレゼンをしていることを知ると、その場で提案をカスタマイズして欲しいとか、カスタマイズした資料を印刷して欲しいなど、いろいろな要求をするようになってきました。そこで、A社はQ社に再度依頼して、システムを改装しました。
もちろん、現実にはA社の予算の都合もあるのでこのような要求まで視野に入れる必要があるかどうかは意見の分かれるところだと思います。しかし、一つ考えるべきこ
とは、Q社にとって本当の潜在的ニーズは顧客(A社)が持つものを探しあてるのではなく、顧客と一緒につくるものだということです。つまり、顧客の活動の中で、こうすればこうなるという知識を経験などに基づいて作っていき、その中から、本当に実現すべきことを取捨選択したのが潜在的ニーズです。A社の例ですと、iPadを導入した後の営業のスタイルに関するシナリオを一緒に描いていれば、最初の開発の段階で、この潜在ニーズを作り、予めシステムに入れておくことは可能だったと思われます。
このように顧客と一緒の場を作り、一緒に知識を創造することは顧客の信頼を得る上では重要ですし、顧客ロイヤリティを高めるためにも不可欠です。
そんな思いで書いたサプリです。
【効用】
・PM体質改善
計画力アップ、実行力向上、問題解決能力向上、リスク管理力アップ、
顧客感度アップ、顧客説得力アップ、バランス感覚の洗練
・PM力向上
チームをまとめる力の向上、リスク対応力向上
・トラブル緩和
モチベーション向上
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