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2008年12月23日 (火)

【補助線】目標に愛着はあるか?

◆納得できる目標は「やる気の自己調整」

先日、クライアント企業で入社2年目だという社員のヒヤリングをしていて、ニヤっとしてしまった。「目標に愛着を持てる方法を教えてほしい」と言われたときだ。僕の持論とぴったり合ったからだ。

目標に対しては、納得という言葉が使われることが多い。組織であれば、目標は与えられることが多い。目標管理といっても、自由に設定できるレンジは限られている。したがって、納得できることが重要である。

ここで納得という言葉に含まれるものは、組織の事情(戦略上の必要性)、自分の現状のスキル、スキル向上目標、評価、報酬、環境、キャリアなど、組織と自分のもろもろの関係性を含んでおり、これらを中心にして「やる気を自己調整」したものが、納得できる目標である。

たとえば、プロジェクトの納期設定をするときに、無理だと思っている納期を押し付けられると強制されたと感じる。その期限でプロジェクトを行うことの組織にとっての必要性、顧客の要望、やり遂げたときの評価、もらっている給料、組織として提供できるプロジェクト環境、支援などを提案され、頼られると、見通しを計算し、しんどさと得られるものを天秤にかける。そこでやってみようと思うと、納得できる目標になる。

◆納得するだけではだめ

では、納得すれば十分かというと、そんなことはない。納得できることは必要条件であり、強制的に与えられる目標より、マシという程度だと考えた方がよいだろう。実際には、納得すれば動くかというと、そうではない。リアクティブではないが、プロアクティブにもなれないのが納得できる目標なのだ。

プロジェクトマネジャーであろうと、メンバーであろうと、プロアクティブに行動できるにはどうすればいいのかという問題に対する僕の答えが目標に対して愛着を持つことである。

では、愛着を持つにはどうすればよいかという冒頭の方の疑問に戻る。

◆愛着を持つにはステークホルダと一緒に目標を作ること

目標をステークホルダと一緒に作ることである。確かに、プロジェクトマネジャーにプロジェクト計画をどのように作るかを聞いたときに、担当のリーダーを中心にチームの目標を作ってもらい、それを取りまとめてプロジェクト計画を作っている人が多い。ところが、「一緒」に作っているという人は意外と少ない。たとえば、取りまとめたときに積み上げではスケジュールが入らないとすると、おおよその目安を指示して投げ返す。そして、それで再検討させ、納期の間に合うように取りまとめていく。一緒に作っているといえば言えなくもないが、明らかに違う。微妙なニュアンスが伝わらないかもしれないが、、さらに、プロジェクトと上位組織の間でも同じことが言える。

ここで一緒に作るというのは問題意識を共有し、リスクマインドを共有することである。計画や問題、リスクは共有しても、意識を共有していないと一緒に作っているとはいえないし、それでは「納得できる」目標にしかならない。

みんなで一緒にプロジェクトや仕事をやっている。そして、一緒に計画や目標を作りこんでいる。この事実と意識があって初めて、決めた目標を大切にし、歯を食いしばってでもやることに誇りを感じることができる。これが愛着のある目標である。

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。