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2008年2月 3日 (日)

【補助線】プロジェクトを成功させるプロマネと失敗させないプロマネ

先日、渡辺貢成さんの現場力セミナーのグループディスカッションをきいていて、ふと思ったことがある。

それは、成功と失敗の関係である。

プロジェクトを失敗させないためには何をすればよいか?

人と同じことをすればよいのだ。そのために、他人はできているが自分はできないところを直していく。これはみんな得意であるし、大好きだ。

これに対して、プロジェクトを成功させるためには何が必要か?

そう簡単に答えはでない。まずは、成功の定義が必要である。成功の定義の中で重要なことは、誰かが一旦やり遂げたのと同じ成果は成功とは言わないことだ。

誰かがやり遂げた時点でそれは当たり前になり、それをクリアするだけでは失敗しなかったに過ぎなくなる。

プロジェクトを成功させるといのは、誰もできなかったような成果を上げることだ。そのためには、人と違うことをすることが必要である。これは嫌いな人が多い。

いろんな理由がある。そんなことをしたって評価されないというのが大きい。それどころか、それで失敗をすれば叩かれるというリスクもあるのだ。

この話はひとつ上のプロマネ。にも通じる。普通のプロマネは、プロジェクトを失敗させないことを目標にする。ひとつ上のプロマネ。はプロジェクトを成功させることを目標とする。

これを成長段階だと考えるべきではない。つまり、失敗させないことができるようになれば、次の段階は成功させるようになることだと考えるべきではない。プロジェクトを失敗させないことを重視するプロジェクトマネジャーのほとんどは、一生、失敗させない努力をして終える。もちろん、その中でのレベルはある。規模や、複雑さが大きなものを失敗させないようにできるようになるレベルアップだ。

しかし、100億のプロジェクトを失敗させないプロジェクトマネジャーが、100万円のプロジェクトを成功させることができるかというと、たぶん、ほとんどできない。これは、100億の事業を管理できる上級管理者の多くが、起業家としては成功しないことと本質的に同じ現象である。一言でいえば、DNAが違うのだ。

もちろん、組織にはプロジェクトを失敗させないプロジェクトマネジャーと、成功させることのできるプロジェクトマネジャーの両方が必要だ。

ただ、成功させるプロジェクトマネジャーが少なすぎる。積極的に開発していかねばならない。「ひとつ上のプロマネ。」の育成である。

そのスタートは、プロアクティブに成功を目指せることである。

「3%の改善は難しくても、30%の改善はぱっとできることがある」という人は意外と多い。たとえば、自動車メーカの役員の講演会でこんな話を聞いたことがある。

ある部品を一生懸命コストダウンをするが、どうしても目標原価に到達しない。ある人が、その部品を使わない構造にしようと言い出すと、設計変更によって部品数が20%減り、コストは30%減った。別に技術的に難しいことしたわけではない。違う方向を向いて普通にやったらそうなったという感覚なのだそうだ。

普通のプロマネとひとつ上のプロマネはパラダイムが違うのだ!

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。