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2008年2月11日 (月)

【補助線】身内のコミュニケーションと顧客とのコミュニケーション

Com

◆身内のコミュニケーションはできるが、顧客コミュニケーションができない

チームメンバーや上位組織とのコミュニケーションはそれなりにできているのに、顧客やライン組織以外のステークホルダとのコミュニケーションでいろいろと問題が発生することが多いということを感じているSI企業は少なくない。

先日、弊社の「ひとつ上のコミュニケーションマネジメント」セミナーに参加されていた外資系企業の方がこんな指摘をされていた。

「日本企業と外資の両方を経験しているが、コミュニケーションに対する認識の違いは大きい。たとえば、コミットメントというのは今の会社では情報を伝えることだが、日本企業では合意をすることだ」といったことを言われていた。僕の経験でも、外資系の企業も多少温度差はあるが、おおむね、この方の言われることに同感である。

◆外資系のコミュニケーションと日本企業のコミュニケーション

日本の組織の中で例外的なのはSIベンダーだと思う。事業や組織のモデルを米国企業に取っている組織が多いためか、外資のような情報伝達型のコミュニケーションが行われている。冒頭に述べたように、それでうまくいっていると感じているのであればそれでよいと思う。

ここで重要なポイントは、このようなコミュニケーションは「自己責任」に立脚するコミュニケーションであり、情報を受けた受け手はその情報の適切な理解と理解に基づく行動を組織や社会から「自己責任」として求められる。

これに対して、日本人のコミュニケーションは「受け手」の自己責任に立脚しない。コミュニケーションをとるということは、共同責任(連帯責任)を負うということであり、ゆえに、共通の理解をし、起こすべき行動を合意するまでコミュニケーションは行われる。

この価値観は理解しておく必要がある。

◆顧客は日本型組織である

さて、冒頭に述べた身内のコミュニケーションはうまくできるが、顧客コミュニケーションがうまくてきないという問題の本質は、顧客は日本企業であり、日本人であるということだ。いくらグローバル企業であっても、日本で行っているビジネスの顧客は日本組織、日本人なのだ。ここに対して、自分たちのやり方に合わせろということは間違っても受け入れられない。

仮にグローバル企業に依頼するのだから、プロジェクトをその会社のワールドワイドの標準(たとえばPMBOK!)で運営することは認めて、対応するという譲歩をしたとしても、コミュニケーションのやり方を合わせてほしいといわれて、うんという顧客は皆無だろう。

◆コミュニケーションは文化であり、ダイバーシティが必要

コミュニケーションは文化であり、ダイバーシティを認めるべきものだからだ。

冒頭に述べた社内コミュニケーションはうまくやっているが、顧客とうまくコミュニケートできないプロジェクトマネジャーの大半はこの点を勘違いしている。

コミュニケーションの流儀を顧客に合わせない限り、絶対にうまくいかないだろう。ダイバーシティを認めて、きちんとした対応が必要である。

ダイバーシティマネジメントの議論としてはここまでだが、ここでひとつ考えるべきことがある。

◆顧客中心型のプロジェクトコミュニケーションが必要!

このような対応をすると、プロジェクトの中でコミュニケーションをダブルスタンダードにすることになる。これは思わぬ問題を引き起こすことがある。プロジェクトの内容にもよるが、一般的には顧客を交えてメンバー同士がコミュニケーションを行う必要がある場面が結構ある。

これをどうすればよいか?一つの解決策は、顧客を中心にしてプロジェクトコミュニケーションを組み立てていくことだろう。つまり、顧客起点でコミュニケーションニーズを分析し、そのニーズに合わせたコミュニケーションプランを作り、実施していく。コミュニケーションプランに対して、顧客を交えた議論をし、顧客が納得できるプランにしていく

プロジェクトをスムーズに進めるためには、そんなコミュニケーションマネジメントが必要だ。

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。