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2007年10月29日 (月)

【補助線】リーダーシップの旅

すごいマネジャーの続編。

「すごい人」がリーダーになるのではなく、「すごいことを考えた・した人」がリーダーとなってゆくと考え、その過程を旅になぞらえる「リーダーシップの旅」と呼ぶ考え方がある。

例えば、野田智義先生、金井嘉宏先生の「リーダーシップの旅 見えないものを見る」では、リーダーシップを、「見えないものを」を見通す能力であると捉えている。ある種のビジョンである。そして、そのビジョンを実現するために、まず自分で自分自身のリーダーとなることから旅が始まるとしている(リード・ザ・セルフ)。

次に、そしてそのビジョンに対して周囲の人に共鳴しする(リード・ザ・ピープル)。それが次第に社会全体に広がってゆく(リード・ザ・ソサイエティ)。このような過程でリーダーが生まれていくと述べている。

また、最近、出た本で、「シンクロニシティ 未来をつくるリーダーシップ」というリーダーシップの名著がある。

この本も著者である社会起業家ジョセフ・ジャウォースキー氏が、自身のリーダーシップの旅の様子を書いた自叙伝である。リーダーシップの旅を知るには、このあたりの本を読まれるとよいだろう。

先日、PMstyleプライベートセミナーで、「できる組織の条件」という議論をした。好川が考えているできる組織の条件は、新入社員も含めて、一人ひとりの社員(組織のメンバー)がリーダーシップの旅をしていることではないかと思う。

先日、あるコンシューマー商品メーカの社長から面白い話を聞いた。商品開発のプロジェクトに新入社員を「馴らす」つもりで突っ込んだ。もちろん、戦力になろうなど期待していない。ところが、その新入社員は偶然にもその商品の長年のユーザであった。なんと、プロジェクトの誰よりも使用経験が長かったそうだ。

普通であれば、プロジェクトの中の誰かが彼からうまく意見を引き出し、進めて行くのだろうが、この新入社員は明確な夢を持ってこの会社に入ってきたそうだ。そして、どんどんと自分の意見をプロジェクトリーダーにぶっつけた。最初は、疎んじられていたが、だんだん、プロジェクトがその新入社員のペースに巻き込まれていき、結果的に、その新入社員の発案した主だった意見はほぼ商品に採用された。さらには、商品コンセプトそのものがクリープして変わってしまったことに気がついた。

これを契機に、この社長はプロジェクトリーダー制を廃止し、チームが動かない場合にを動かすことに責任を持つチームリーダーだけを残して、フラットな開発組織に変えていく決心をしたそうである。

野田先生たちの考えに沿うと、この新入社員はすでにリーダーシップの旅にでている。おそらく、数年後にはたいへんなリーダーになっていると思われる。

あなたはこの新入社員の話をどう思うだろうか。

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  http://www.pmstyle.jp/honpo/present/20071028.html

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【補助線】リーダーシップの旅を参照しているブログ:

» 『書評による対話3リーダーシップの旅』 (多苗尚志のヘヴンズドアァァァァッッッ)
「藤沢氏との対話」 藤沢烈ブログより (彼のコメント) (中略割愛) 本著には二つ影響を受けています。一つ目は「立ち止まって自分に対峙し、一人旅にでることからリーダーの一歩は始まる」。組織を持つことに違和感を感じ一人になっていた自分とシンクロし、共感を覚え... [続きを読む]

コメント

好川哲人様様
  
  はじめまして多苗と申します。

  好川様と同じ本を読み、考えるところがありましたので
  検索エンジンよりこちらを拝見させていただきました。
  
  勝手ながら好川様のコメントを引用させていただきました。
  ※不都合がございましたらおっしゃって下さい。迅速に対応致します。
  
  引用記事:
http://ameblo.jp/saikyoumuteki/entry-10072414007.html
  引用趣旨:http://ameblo.jp/saikyoumuteki/entry-10071331197.html

  同じ内容をこちらにもコメントさせていただきます。

大変面白い話ですね。

疎んじられて尚、巻き込んでいったというところが非常に面白いところだなと思います。

己はリーダーシップうんぬんというよりも、みんながリーダーになればいいと思っています。

己がそう唱える場合、リーダーという言葉にはあまり意味がなくて
自分で考えることが人材であればいいと思っているんです。

しかし、好川様が挙げられた話を拝読するに、「自分で考えられる」というだけでは弱いかもしれませんね。

なぜなら自分で考えられるというだけでは疎んじられた時に、尚つっこんでいくという力強さが持てないと思うからです。

多少、疎まれようが「いや自分はこれをやりたいんだ!」という推進力を持てているのは
リーダー人材ならではかもしれません。

そこには強烈なモチベーションが働いているのですね。

自分の人生に広く強烈なモチベーションを持つには
どうしたらいいでしょうか。

『リーダーシップの旅』にもありましたように、一歩踏み出すということや内省ということも必要になってくるかもしれません。

しかし、まず一歩はやはり自分の人生を主体的に生きるという覚悟だと思います。

「主体的に生きる」と言っても漠然としたところがあります。

しかし、それは漠然としたものなのでしょう。

主体的に生きるということを覚悟としてもっていれば
人生の様々な場面で主体的に生きられたり生きられなかったりする経験の中で
自分の文脈をもって明瞭なものになっていくのであり、主体的に生きると言うことを
定義してみても意味がないように考えています。


いかがでしょうか。

好川様が挙げられていたお話によって、自分の中でもう一度考える機会となりました。

すばらしい機会をありがとうございました。

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。