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2007年10月22日 (月)

【補助線】多様性を否定するロジック

8チャンネルで日産のゴーン社長をゲストに招いて、スカイラインGT-Rの話題をやっていた。この車、突拍子もなく出てきたように見えるが、実はゴーン氏の就任当時からの「公約」であった。2001年の東京モーターショーでゴーン氏は

「世界的に有名な3つのアルファベットがあります。G、T、Rです。私はここでお約束いたします。必ずGT-Rは復活します」

という名演説とともに、「CT-Rコンセプト」を出品、2007年の東京モーターショーでの新型CT-Rの発表を宣言した。実は、この翌年、当時のGT-Rは排ガス規制の不適合により生産中止になる。当時、何かのインタビューで、日産の本当の復活は新型GT-Rが成功したときに終わるといっていたような記憶がある。

いよいよ、この車がスカイラインの冠をとり、日産GT-Rとしてベールを脱ぐ。我々の世代の車好きなら、羨望の車である。

さて、そのテレビ番組の中で、キャスターとのやり取りで興味を引いた部分がある。

・みんなが手が届く車ではないと思うが(700万円台後半)
・環境問題をどう捉えているのか

ゴーンの答えは、いずれも、ドイツあたりの同カテゴリーのスポーツカーと較べれば価格優位性があるし、環境性能も高いという答え。質問者は納得しない。

まあ、質問キャスターにもテレビ番組としてのパフォーマンスがあるのだろうけど、

 ・そうは言っても、みんなが手が届かない車は高い
 ・排気量の大きい車は環境によくない

という発想といったコメントを繰り返す。まず、GT-Rという車の個性を認めた上で議論しなくては話しにならない。

実に日本はこのパターンのロジックが多い。いろいろな機会でチームビルディングのアンケートをとると、メンバーの個性を大切にしているという答えをする人が圧倒的に多い。しかし、それは、「(既存の)組織、あるいは社会的に許せる個性」であれば、認めるという。

上のキャスターのように、それが如何に環境に優れた車であっても、コンパクトカーより排気ガスを吐き出しているのはけしからんというロジックで個性を否定しにかかる。つまり、「どれだけパワーがあってもよいし、高級志向でもよい、それも個性だろう。ただし、コンパクトカーとしての枠の中でね」という話になる。

チームマネジメントでいえば、どういうやり方をしようとそれは個性なので認めよう。ただし、「わたしが理解できる範囲でね、でないとフォローできないから」という話になるのだ。お釈迦様と孫悟空みたいな話しだ。

これが、一様主義、ダイバーシティを認めない日本の組織や社会の構造だというと言葉が過ぎるだろうか?

個性を認めるというのは、「組織、あるいは社会的に許せる」範囲を広げることである。もちろん、一定の制限は必要だろうけど。

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。