【補助線】チームをマネジメントするとはどういうこと?
弊社で10日間の長丁場のプロジェクトマネジャー養成研修を持っているが、その中の1セッションに自分の知らない専門分野を統合しなくてはならないプロジェクトをどのようにマネジメントしていくかを議論するセッションがある。
例えば、こういう状況設定をする。
産業ロボット(特殊作業用)の開発プロジェクト。SI企業から転職をしてきたあなたは、前職でのプロジェクトマネジメント業務の実績が買われて、いきなり、プロジェクトマネジャーに任命される。このプロジェクトは、機械、電子、光学、制御、ソフトウエアなどの技術の統合しなくては成果物は生まれない。
技術者してはもちろん、プロジェクトマネジャーとしてもソフトウエア開発プロジェクトの経験しかなく、機械、電子、制御、光学などの知識はない。ソフトウエア部分については一通りに知識があるものの、組み込みソフトウエアの開発プロジェクトの経験はない。さて、このような状況でプロジェクトマネジャーとしてどのように振舞うか?
多くの人が、自分に知識がないのだから、メンバーに任せるという。あるいは、重要な判断の局面では、自分の人脈の中で信頼できる専門家に聞くという(実は、上の設定はこの人脈の可能性を潰した設定にしてあるのだが、、、)。
問題解決に対する答えをしては、これで正しいと思う。メンバーをマネジメントすることにより、プロジェクトの問題を解決し、プロジェクトのゴールに近づいていく。しかし、これがすべてではない。というよりも、ある意味、これは当たり前のことに過ぎない。もっと大切なことがある。
この状況の最大の問題は、自分がどう技術的問題に対処するかではない。メンバーも同じ状況にある。機械、電子、光学など自分の専門のことしか分からない。その状況で、専門家の間のコミュニケーションができない限り、技術の統合はできない。
ここに注意が行かないプロマネはある思考の落とし穴に陥っている。
自分はメンバーを(業務的・技術的に)指導する立場にある
→ 今回は自分の専門を越えた範囲なのでどうするか
という自分のことしか考えないという落とし穴だ。
専門性がないプロジェクトマネジャーが抱える本質的な問題は、それぞれの分野での問題解決にどのように寄与するかではなく、コミュニケーションできないメンバーが自分の専門性をプロジェクトに活かせる方法を作ってやることである。
また、ITのように比較的同質性の高いプロジェクトでも、このコミュニケーションに寄与することは、各人、ひいてはチームのパフォーマンスを挙げる上で極めて重要である。
コミュニケーション能力が高いプロジェクトマネジャーでも、メンバーとのコミュニケーションにしか関心を示さない人がいる。プロジェクトマネジャーの行うべきコミュニケーションは、メンバーとメンバーを結びつけるコミュニケーションであり、チームのコミュニケーションである。そして、これがチームをマネジメントするということである。
このようなコミュニケーションを実行できるためには
ヒューマンスキルとしてはファシリテーション
マネジメントスキルとしてはコミュニケーションマネジメント
といったスキルが必要である。
冒頭の問題の答え。コミュニケーションの活性化である。こういうと、必ず出てくる反論。メンバーの専門スキルが低い場合にはどうするのか?これについては、また、別の機会に!
おお
確かに 落とし穴にはまってしまいました
確かに自分のことばかり考えていました
チームメンバー同士のコミュニケーションの方が、自分からチームに対してのコミュニケーションよりも、パスも多く頻度も高いものでしたね..
反省です..
投稿: 柴田 浩太郎 | 2007年4月17日 (火) 04:34
「メンバーの専門スキルが低い場合にはどうするのか?」
これ、聞きたいものです。楽しみにしております。
投稿: depeche | 2007年6月 9日 (土) 05:37
ありがとございます。
記事書きましたので、また、ご意見ください。
http://people.weblogs.jp/ppf/2007/06/post_629d.html
投稿: 好川哲人 | 2007年6月 9日 (土) 12:17