続々・PMOリーダーがPMを変える
◆PMOの3つの活動
一般論だが、プロジェクトマネジメントオフィスの活動は3種類あると考えてよい。
一つは、プロジェクトマネジメントの仕組みづくりと仕組みの改善である。この中には、プロジェクトマネジャーの育成やアセスメントが含まれる。
二つ目は、監査機能である。基本的な目的は、設定した仕組みに従ってプロジェクトマネジメントが実施されているかどうかを検査し、行われていない場合には是正をしていくことである。
三つ目はプロジェクトで実施されるプロジェクトマネジメントの直接的な支援である。これ事態もいくつかの分類をすることが可能だが、大きくは二つに分けることができる。一つは、オペレーションの支援である。もう一つは、ビジネス的支援である。前者では、プロジェクトマネジメント計画を策定する支援、トラブルの発生したプロジェクトのマネジメント支援などがある。後者にはポートフォリオマネジメントなどが代表的である。
◆PMOの3つのタイプ
この3種類の活動は、一般的な企業では異なるPMO組織で実現されることが多い。
仕組みづくりはだいたい、「全社PMO」で行われる。これに対して、品質監査やプロジェクト監査など、間接的に個別のプロジェクトマネジメントに関わっていく場合には全社のPMOがそれをカバーすることは難しく、事業部くらいのスパンでPMOを設置して、対応していくことが一般的である。この場合、このPMOは全社のPMOが策定した全社共通の仕組みを使ってプロジェクトマネジメントが行われていることを前提とした取り組みを行う。プロジェクトの規模があまり大きくない場合には、このタイプのPMOが個別プロジェクトのマネジメントオペレーションの支援を行うことがある。しかし、プロジェクトの規模が大きくなると、実質的に専従にならざるを得ないため、第3の形態としてプロジェクトの中にPMOをおくという形態をとることがある。PMBOK的にいえば、プロジェクトマネジメントチームである。SI業界などではこの形は比較的一般的な形である(このタイプのPMOをプロジェクト内PMOと呼ぶ)。
第3の形態の場合、プロジェクトの規模によっては、1プロジェクトをいくつかのプロジェクトに分けてプログラムとして運営していく場合と、一つのプロジェクトして運営していく場合の2つのケースが考えられる。前者の場合だと、PMOの主要は役割はプログラムマネジメントそのものになる。後者の場合であれば、プロジェクトマネジメントの支援になり、大きく性格が異なってくる。この点も注意が必要だ。
◆PMOのポジショニング
今、プロジェクト内PMOがプロジェクトマネジメント成功の最終兵器といわれるようになっている。どういうポジショニングをすればプロジェクトマネジメントの成功に直結するのだろうか?
この問題を考えるに当たって、非営利団体のマネジメントが参考になる。
一般的な組織を持つ非営利団体のマネジメントでは、2つの重要な役職がある。専務理事と事務局長である。専務理事が経営的意思決定を行い、理事長の承認を得る。意思決定されたことを実施するのは事務局で、その組織の長が事務局長である。つまり、実質的にマネジメントを実行するのは事務局長である。
従って、非営利団体のマネジメントは事務局長のマネジメント実行能力によってずいぶん変わってくる。経営状況のよい非営利団体は、その活動内容の筋のよさもさることながら、必ずといってよいくらい、優れた事務局長がいるものだ。
◆PMOリーダーは事務局長
一つの非営利団体を大規模プロジェクトとしてみれば、専務理事はプロジェクトマネジャーである。事務局がプロジェクトマネジメントチームである。そして、事務局長の役割を果たすのは、PMOリーダーである。
つまり、PMOリーダーがプロジェクト内PMOをうまく牽引することによって、プロジェクトマネジメントがうまく行くという構図が出来上がる。そのような構図を作っていく必要があろう。
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