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2006年9月12日 (火)

【補助線】泥臭さの消えたプロジェクトマネジャー

PM養成マガジンを始めたころに、

 「PMBOKは叡智か陰謀か」

  http://www.pmos.jp/honpo/note/note3.htm

という記事を書いたことがある。この記事についてはおそらく、メルマガセミナーなどの機会に10人以上の人と議論をしたと思う。

この記事は競争という視点で書いているのであまり理解してもらえないままだったような印象があるが、この記事を書いたときに漠然と思っていたことが現実になってきたように思う。

この記事を書いたときに思っていたのは、日本の産業は泥臭さを捨てたらおしまいだということだった。PMBOK導入にその危険を感じていた。

そもそも論を言えば、日本人はこの種の形式化をするのが下手である。というよりも、したがらないといった方が正しいかもしれない。よい例がトヨタのカンバンだ。この仕組みを、技術的に捉えなおしたのは、日本の研究者でなく、アメリカの研究者だった。

日本人の研究者の能力が云々というよりも、社会的にこの部分は守らなくてはという意識が研究者に二の足を踏ませているように思う。平たくいえば、そんな研究をしても、産業界から支援を受けることはできない。

理論化をすることは素晴らしいことだが、同時にそれは誰にでもできるようになることを意味している。ここに突入することは自殺行為だと直感的に分かっているのだ。

プロジェクトマネジメントで起こっていることはまさにこれだ。確かに、組織としての能力は上がってきたと思う。しかし、泥臭く、すごいことをやってくれるプロジェクトマネジャーが少なくなってきている。

プロジェクトXにならないように、プロジェクトマネジメントをしましょうはいいのだが、プロジェクトXができなくなっては話にならない。これも何度か議論した。

 「PMBOKではプロジェクトXはできない、いや、できる」

アニメーションの例を引き合いに出すまでもなく、日本の強い産業は職人的なところである。思いっきり泥臭いところである。

すごいことをしてくれるプロジェクトマネジャーがなくなったことはかまわないといえばかまわない(産業的には大問題だが、、、)

しかし、プロジェクトマネジメントを生命線とする企業で起こっているもう一つの問題は、問題は、プロジェクトに現場感がなくなってきたことだ。プロジェクトマネジャーがデスクワークを重視し、泥臭さがなくなってきた。これはいくつもの組織で感じている。

泥臭さが消えたプロジェクトマネジャーにはメンバーはついてこない。それどころか、メンバーの泥臭さを否定するようなプロジェクトマネジャーすら出てきた。

そろそろ、「是正」の時期に来ているように思うが、みなさんはどう思われるだろうか?

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Side effects skelaxin. Side effects of drug called skelaxin. [続きを読む]

» 6月からのお仕事・・・ (SAP BWなど経営分析システム導入のナレッジイールド)
簡単にいうと・・・ http://pmos.jp/honpo/tano/tano [続きを読む]

コメント

弊社でも、特に「研修・読書でPMBOKを学習した」人に限って、お代官様のようなプロジェクト進行をすることが多い。
しかも、そういう人たちが「開発効率向上WG」とかを立ち上げるから、たちが悪い・・・。そんなことする暇があったら現場に赴いて真摯に設計しようよ・・・。

プロジェクトなり、開発テーマなりの遅延・失敗原因が、ステークホルダとのコミュニケーションにある場合、往々にして「泥臭くないプロジェクト」を推進しようとして失敗しているのだと、私は色々なプロジェクトを眺めてそう判断している。さまざまなステークホルダとの共感(テンションの共有)を一番加速するのが、泥臭さの体験だからだと思う。

スマートで儲けられる時代は美しいのだろうけど、私は性に合わないなあ・・・。好川先生はどちらかというと「泥臭いことが好きな」人だと感じましたが・・・?

コメントありがとうございます。

PMBOKの話は別の問題のような気がします。PMBOKをろくすっぽ知らないのに振り回して、社内のプロジェクトや仕組みをぐちゃぐちゃにしているPMOなどをよく見かけます。どちらかというと、そういう問題ではないかと思います。そう簡単に、使えるメソドロジーではありません。

泥臭さの話は好き嫌いで行けばご指摘の通りですが、重要なことは泥臭さを追求するだけではなく、バランスを取ることだと思います。

別の例を引き合いに出しますと、

経験は大切だが、経験だけでできないことがある

論理性は大切だが、勘が効かないとマネジャーはできない

といった類の話を同じだと思っています。

ただ、ご指摘の点は強く同感します。コミュニケーションがよい例ですが、プロジェクトマネジメントにおいては計画を作ると、「計画通りやる=計画したことだけやればよい」と考えている人が多いのも事実です。

大切なのは、計画を作った上で、泥臭く計画を実行することだと思います。つまり、基本は計画に従うが、現場で気がついたことはどんどんやっていくようなイメージですね。

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。