2006年7月 4日 (火)

プロジェクトマネジメント向き問題対処法

430924368109 青木安輝「解決志向(ソリューションフォーカス)の実践マネジメント」、河出書房新社(2006)

お奨め度:★★★★

カウンセリングでは、「問題にとらわれないで、如何に解決に向かうかに焦点を当てる」アプローチは基本の一つである。

最近ではマネジャーを対象にしたビジネスコーチングでも注目されるようになってきた。これは問題解決の対極にあるともいえるアプローチで、どうなりたいか、何を手に入れたいかといった未来のイメージを作るプロセスを先行させ、そこから、具体的な行動を変化させていくアプローチである。

このアプローチをマネジメントに取り入れようというのがこの本の主張である。

ソリューションフォーカスアプローチには3つの哲学がある。

・壊れていないものを直そうとしない

・うまく行っていることを見つけ、それを増やす

・うまく行っていないなら違うことをやる

問題解決志向のアプローチからすれば、ある意味で現実逃避のアプローチにも見えるので批判をする人も多い。しかし、確実にこのようなアプローチが有効な分野がある。それはプロジェクトマネジメントである。プロジェクトマネジメントで問題解決というのはずいぶん重視されている。確かに、次のプロジェクトでの再発を防ぐということを考えた場合には問題解決志向のアプローチは重要だ。しかし、プロジェクトの成功だけを考えるのであれば、問題分析に時間をかけるよりは、ソリューションフォーカスでいろいろと試行錯誤を繰り返していく方がはるかに現実的である。

その意味で、ソリューションフォーカスはプロジェクトマネジャーの必須スキルの一つだろう。

この本では基本的進め方の解説、事例を使ったイメージ作りなどを徹底的に行っているので、必ず、自分のやり方を見つけることができるのではないかと思う。

プロジェクトマネジャーの方、ぜひ、読んでみてほしい。

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2006年7月 2日 (日)

Chakra Suite

B00005omhn09 Steven Halpern「Chakra Suite」、Steven Halpern's (2001)

B000003ivb09 Steven Halpern「Gifts of the Angels」、Steven Halpern's Inner Peace Musi (1994)

B0000ainkr01Steven Halpern「Ocean Suite」、Steven Halpern's Inner Peace Musi (2001)

B00006cte001 Steven Halpern「Inner Peace」、Steven Halpern's Inner Peace Musi (2002)

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Presence

406282019601 ピーター・センゲ、オットー・シャーマー、ジョセフ・ジャウォースキー、ベティ・フラワーズ(野中郁次郎, 高遠 裕子訳)「出現する未来」、講談社(2006)

お奨め度:★★★★★

人格の成長を前提とした問題解決を行うU理論を中心にして、個人や企業の在り方を問う一冊。

久しぶりの5つ星。「The Fifth Discipline」(邦訳「最強組織の法則」)を書いた組織学習のグル ピーター・センゲの新著。15年前に「The Fifth Discipline」を最初に読んだときには、何かよく分からなかった。学習する組織には

システム思考(systems thinking)
自己マスタリー(personal mastery)
メンタル・モデルの克服(mental models)
共有ビジョン(shared vision)
チーム学習(team learning)

の5つのディシプリンが必要だという理論を目の前にして、一つ一つの要素の意味と、組織学習の関係はなんとなく分かるが、この5つといわれたときに、ピンとこなかったのをよく覚えている。その後、何度か読み直して、本当に分かったのは、守部信之氏による翻訳本を読んだときだった。これは一つには言葉の壁があった。例えば、masteryという言葉があるがこの言葉は日本語にはないと思う(ちなみに、この本のフィールドブックの翻訳者であるスコラコンサルティングの柴田氏は「自己実現」と訳されている)。しかし、今回の本は、日本語で読んでも難しい点がたくさんある。

この本の原著のタイトルは「Presence」である。たぶん、この言葉に適切に対応する日本語はないのではないかと思う。著者の野中先生と高遠さんは「出現する未来」という訳をつけられている。この訳はよく分かる。

今回の本は、「U理論」なる理論を提唱する本である。一言でいえば、自らが唱えているアクションラーニングについて書いた本であるが、この本の視座としては、学習には人間の生き方があるというものである。

U理論は仏教に基づく考え方で、二元論的な判断を中止し、全体を内省することによって、より正しい行動が直感的に生まれ、結果として自然に、素早くできるようになるという考え方。

具体的には、以下の3つのステップで構成される。

第1ステップ(Sensing):見るということを知る。
1.保留 - 習慣的な思考の流れから自分自身を切り離す
2.転換 - 生成過程に目を向ける
3.心の目でみる - 我執などを捨てること。これは presensing にもかかわる
第2ステップ(Presensing):プレゼンス
1.手放す - sensingにもかかる。
2.受容
3.結晶化 - 気づき(Mindfullness)が明確に現れること。これはrealizingにも関わる
第3ステップ(Realizing): 自然の力になる
1.目的の結晶化
2.プロトタイピング
3.システム化

前著もそうだが、この本はもっと深く考えないと理解できない。いよいよこの領域に入ってきたかという感じの一冊である。

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学習する組織のバイブルから、未来のマネジメントのバイブルへ

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ピーター・M. センゲ:「最強組織の法則―新時代のチームワークとは何か」、徳間書店(1995)

お奨め度:★★★★★

組織学習のバイブル。組織がシステムであることを正視させる本。組織論の分野でも大きな影響を与えている1冊である。

この本では、学習する組織では

自己マスタリー(personal mastery)
メンタル・モデルの克服(mental models)
共有ビジョン(shared vision)
チーム学習(team learning)

の5つの原理と、これらを統合するシステム思考(systems thinking)の5つの原理が必要だと述べている。

組織論として、ひとつの理論だが、ビジネスシステムという概念で企業やビジネスを見た場合、本書のような視点で組織を捉える意味は大きく、また、発展性がある。90年代終わりからずっとビジネス、とりわけ組織に大きな影響を与えてきた1冊であるが、真価がはっきりするのはむしろ、これからかもしれない。

ビジネスマンとしては、ぜひ、読んでおきたい1冊である。

また、この本には、2冊のフィールドブックがある。

453231075x09 一冊は5つの法則を如何に適用していくかを解説した本である。

ピーター・センゲ(柴田昌治訳)「フィールドブック 学習する組織「5つの能力」 企業変革を進める最強ツール」、日本経済新聞社(2003)

フィールドブックであるので、5つの原則が何を言っているのかが具体的な行動像を通じてよく分かる。もちろん、フィールドブックとして実際に使えるようなレベルのものである。

もう一冊は、5つの原則を実行するために、組織にはどのような変革課題があるかを解説し、その課題を解消するためのフィールドブックがある。上のフィールドブックとの関係としては問題解決編453231131409_1という位置づけになっている。

ピーター・センゲ(柴田昌治、牧野元三、スコラコンサルト訳)「フィールドブック 学習する組織「10の変革課題」―なぜ全社改革は失敗するのか?」、日本経済新聞社(2004)

学習する組織の構築の具体的なヒント、フィールドワークの指針も得られる貴重な本だ。必ず併せて読みたい。

(初稿:2005年3月2日)

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2006年6月27日 (火)

経営や組織からみたプロジェクトマネジメント

49602634 林伸二「組織が活力を取りもどす―プロジェクトの立案から監査まで」、同友館(1997)

お奨め度:★★★★

林先生は組織論の研究者である。この本はプロジェクトマネジメントを組織の視点から捉え、どのように実行されているか、また、どのような仕組みが作られているかを事例研究した書籍である。

プロジェクトマネジメントが普及してきたことは望ましいことだが、あまりにもテクニカルな側面が強調されすぎ、オペレーションマネジメントのような認識がだんだん強くなってきた。

プロジェクトのオペレーションをする分にはそれでもかまわないが、プロジェクトの成否の評価をするためには、組織的な位置づけの議論は欠かせないだろう。

この本では、そのような視点からプロジェクトマネジメントを捉えるとともに、プロジェクトマネジメントは「マネジメント」として何をすべきかを強調したプロジェクトマネジメント論である。

同じような視点から書かれた本に、ポール・C・ディンスモアのエンタープライズプロジェクトマネジメントがある。

447847058809 ポール・C・ディンスモア「エンタープライズ・プロジェクトマネジメント ― プロジェクト型組織による全社経営」、ダイヤモンド社(2002)

この本もよい本である。内容的には

1.エンタープライズ・プロジェクトマネジメントとは何か(すべてはプロジェクトに通じる―機能別組織からプロジェクト志向型組織へ
・プロジェクトマネジメントを全社経営に生かす―エンタープライズ・プロジェクトマネジメントの実際
・企業戦略とプロジェクトのベクトルを一致させる―構想立案段階からのプロジェクトマネジメント
・エンタープライズ・プロジェクトマネジメントを普及する―経営システム変革までの段階的アクション ほか)

2.エンタープライズ・プロジェクトマネジメントの実践(経営トップは質問の技術を磨け―経営者生き残りへのアドバイス
・プロジェクトマネジメントの基本を学ぶ―必要となるマネジメント要素と管理項目
・トレーニングプログラムを準備する―プロジェクトマネジメントの専門教育
・能力評価基準を確立する―プロジェクトマネジメントのコンピタンス ほか)

といった内容で、マネジメントにプロジェクトマネジメントを導入していく際に必要なことが一通り書かれている。この本は林氏の本よりもう一段踏み込み、複数のプロジェクトを如何に管理するかについてまで議論されている。プログラムマネジメント、ポートフォリオマネジメントなどの導入の下地の作り方を解説した本であり、その意味で今後のために読んでおく必要のある一冊である。

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2006年6月26日 (月)

プロジェクトファシリテーションのノウハウ

479811081701 中西真人「実務で役立つ プロジェクトファシリテーション」、翔泳社(2006)

お奨め度:★★★

ついに、プロジェクトファシリテーションの本が出版されたかというのと、同時に、こういう形で出たかというのが正直な一冊。

プロジェクトファシリテーションというと、アジャイル開発やアジャイルプロジェクトマネジメントを中心に概念形成がなされてきたイメージが強い。しかし、この本はどちらかというと、一般論である。ファシリテーションの本質である会議の進め方を、プロジェクトミーティングに適用するにはどうすればよいかを書いた本である。

その意味で、いろいろなプロジェクトでミーティングを中心にして使える手法を紹介した本になっているが、反面、アジャイル開発で言われてきたプロジェクトファシリテーションより、範囲が狭い。その意味で、少し物足らない部分があるのは事実である。

そうはいいながらも、「プロジェクトのファシリテーション」についてまとめた初めての本であるので、プロジェクトリーダーやプロジェクトマネジャーは読んでおいて損のない一冊である。

プロジェクトファシリテーションの全体像を知りたければ、平鍋健二さんが雑誌やブログに書かれているプロジェクトファシリテーションの記事などと併せて読むのがいいだろう。

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2006年6月23日 (金)

新しい変革マネジメントAI

456965438x01 デビッド・L.クーパーライダー「AI「最高の瞬間」を引きだす組織開発―未来志向の“問いかけ”が会社を救う」、PHPエディターズ・グループ(2006)

お奨め度:★★★★

アクリティアティブ・インクエリー(AI)は大きな変革を目指したプロセス管理の新しい方法である。AIには「4Dサイクル」と呼ばれるサイクルがあり、それがプロセス管理の中心になっている。4Dサイクルは

・ディスカバリー(潜在力発見)

・ドリーム(理想像構築)

・デザイン(変革設計)

・デスティニー(変革実現)

の4つのプロセスからなるサイクルである。ディスカバリーは、何が組織の潜在力を活性化させるのかを評価する。ドリームでは、組織はどういう姿になるべきかを明確にする。デザインは理想の未来像を明確にする。そして、最後にデスティニーは権限委譲、学習、適応の方法を考える。

組織変革のマネジメントにおいて、問題解決型ではなく、ビジョン駆動型により潜在力を活かしていくという新しいスタイルを提唱した本。

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2006年6月20日 (火)

ザ・ファシリテータ

447836071509 森時彦「ザ・ファシリテーター~人を伸ばし、組織を変える」、ダイヤモンド社(2004)

お奨め度:★★★★

非常に分かりにくいファシリテーションの概念を小説スタイルで解説した本。ファシリテーションの難しい理由は、流れがあることだ。その流れが製品開発センターの改革物語を通じて、誰にでもコンセプトが理解できるようになっている。

ファシリテーションを知りたい人にはお奨めしたい一冊だが、なかなか、こんなにできるものではない。人物描写が理想的過ぎ、あまりリアリティがないのは残念である。

それが、ファシリテーションにとって本質なのかどうか、ここが問題である。

そんなことを思わせるのだが、とりあえず、その点はおいても面白い一冊である。

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こんなPM本がほしかった!

074944555601 Jason Westland「The Project Management Life Cycle: A Complete Step-By-Step Methodology For Initiating, Planning, Executing & Closing A Project Successfully」、Kogan Page Ltd(2006)

お奨め度:★★★★1/2

プロジェクトマネジメントの中でもっとも分かりにくく、また、重要な議論は、計画の詳細的段階化の話である。言い換えると、プロジェクトマネジメントライフサイクルの議論だ。実際のところ、PMBOKを読んでも書いてないわけではないが、読んでも分からない。段階的詳細化の議論を、理論的にしても何も分からない。ツールを使って具体的にどのように詳細化をしていくかを解説する必要がある。

この本は150以上のテンプレート、チェックリスト、テーブルを提示し、それらを使ってプロジェクトマネジメントライフサイクルをどのようにまわしていくかを解説している。英語の本なので、ツールをそのまま使うというわけには行かないだろうが、コンサルタントとして、多くの企業で、多くのツールを見てきたが、こんなにすばらしいツールにはお目にかかったことがないくらいすばらしい。

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プロジェクトメトリクスのサンプル集

156726166301 Parviz F. Rad「Metrics for Project Management: Formalized Approaches」、Management Concepts Inc(2005)

お奨め度:★★★★1/2

プロジェクトマネジメント品質のメトリクスについて体系的にまとめている。PMBOKがベースに、一通りのメソドロジーの構成要素に対して、評価のためのチェックリスト、定性的評価の方法を示しているので、英語である点を除くと、すぐにでも使える実用書である。

メトリクスの内容は計測することに対してよく配慮されており、具体的で、評価しやすいものをうまく設定している。

例えば、WBSの評価を一つとっても、30項目にもわたる非常に細かくチェックリスト(グレイディングつき)が示されている。

プロジェクトマネジメントの改善を目指すPMOの人には、ぜひとも読んでほしい一冊である。

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ソフトウエアメトリクスを学ぼう

482228242201 ローレンス・H・パトナム「初めて学ぶソフトウエアメトリクス~プロジェクト見積もりのためのデータの導き方」、日経BP社(2005)

お奨め度:★★★★

ソフトウエアメトリクスの入門書。しかし、本格的。

「プログラム規模」「時間」「工数」「信頼性」「生産性」の5つのメトリクスに注目し、その相関関係を分析している。そして、メトリクスをソフトウエア開発プロジェクトの見積にどのように使うかを議論している。難易度はそんなに高くないので、ソフトウエアエンジニアリングの知識がなくても読める。

一方で、6300件のプロジェクトのデータを分析しており、実践的である。これからメトリクスの勉強をする人にはお奨めの一冊である。

ソフトウエアメトリクスに関しては古くから、米国で名著が多い。古典的な名著といえば、なんといっても、

432009722x09 ケーパー・ジョーンズ「ソフトウェア開発の定量化手法」、構造計画研究所(1998)

である。初版が1993年に出版され、始めて、ファンクションポイント(FP)法を解説した本として注目を浴びたが、FPだけではなくソフトウエアメトリクス全般に非常に示唆にとんだ本である。その後、1998年に改版されている。このバージョンの翻訳がこの本。

この分野では、2000年以降、CMMIの普及やWeb環境の普及など、従来のメインフレーム系、オープン系とは事情が変わってきたが、今、読んでもいろいろな示唆がある。

ISO/IEC15939とCMMIを前提にしたメトリクスをまとめた本としては、

432009741609 John McGarry「実践的ソフトウェア測定」、構造計画研究所(2004)

がある。この本は、ISO/IEC15939ソフトウェア測定プロセス規格の制定に直接関わってきた実務レベルの業界リーダ達が書き下ろしたソフトウェアの測定とプロセスおよびプロダクト改善の実践ガイドブックである。メトリクス本では、これが最もお奨めである。

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2006年6月14日 (水)

デスマーチ

4901280376 エドワード・ヨードン(松原友夫、山浦恒央)「デスマーチ──なぜソフトウエア・プロジェクトは混乱するのか」、シイエム・シイ(2001)

お奨め度:★★★★1/2

ソフトウエアプロジェクトがなぜ、失敗するのかを、プロジェクトをシステムとして捉えて、悪循環の構造について分析した名著。デスマーチという言葉は非常にインパクトがあり、流行語にもなった。

この本ではデスマーチプロジェクトとして、

 ・与えられた期間が、常識的な期間の半分以下である
 ・エンジニアが通常必要な半分以下である
 ・予算やその他のリソースが必要分に対して半分である
 ・機能や性能などの要求が倍以上である

といったことがあげられており、そのようなプロジェクトへの対処方法が述べられている。心当たりがある人は、とりあえず、読んでみよう!

なお、2006年に第2版が同じ著者、同じ訳者で、日経BP社から出版されている。ただ、第2版であるが、違う本ではないかと思うくらい違う。僕は第1版の方が価値があるのではないかと思う。

482228271601

デスマーチ 第2版 ソフトウエア開発プロジェクトはなぜ混乱するのか」、日経BP社(2006)

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2006年6月13日 (火)

ハーバード流コミュニケーション作法

447849047301 Harvard Management Update編集部「対話力」(ハーバード・ビジネススキル講座)、ダイヤモンド社(2006)

お奨め度:★★★1/2

ハーバード・マネジメント・アップデートが作ったフェースツーフェースコミュニケーションに関するノウハウ本。論文というよりも、雑誌記事に近く、非常に分かりやすくコミュニケーションのノウハウを解説した記事を集めている。

ただし、視点の斬新さはさすがと思わせるものがあり、

1)話し言葉の使い方

2)非言語コミュニケーションの使い方

3)相手のシグナルを読む

4)プレッシャー下のコミュニケーション

など、かなり、高等なコミュニケーションスキルが並んでいる。多くの記事は読んですぐに実行するのは少し難しいように思う。しかし、頭に入れておくと、後で役に立つと思うようなものが多い。

ヒューマンスキルというよりも、ヒューマンスキル、思考スキル、ソフトマネジメントスキルなどの総合力としての対話力を探求しているような一冊である。

なお、同じシリーズでもう一冊、出版された。

447849048101

Harvard Management Update編集部「提案力」(ハーバード・ビジネススキル講座)、ダイヤモンド社(2006)

こちらは、プレゼンテーションに関して、同じテーストでまとめられている。

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2006年6月 9日 (金)

究極のリスクマネジメント

475730375001 坂井優基「パイロットが空から学んだ危機管理術」、インデックスコミュニケーションズ(2006)

お奨め度:★★★★

パイロットの経験から得たリスクマネジメントを、現場編、中間管理職編、トップマネジメント編と分けてルールとして整理して、解説している。

一つ一つの内容は極めて濃い。以前、軍艦のリスクマネジメントの記事を雑誌で読んだが、軍隊に負けず、飛行機もすばらしいリスクマネジメントがされていることがよく分かる。

そして、その中から、ビジネスの現場に適用できるルールを選択している。

現場だと

 だろうで行動してはならない

 都合のよい解釈をしてはならない

 データ=現実ではない

など21件。

中間管理職だと

 主目的を変質させてはいけない

 人間の変質に対処しなくてはいけない

 対策には期限を明示する

など22件。ここまで部分はプロジェクトリスクマネジメントに非常に参考になる。究極のリスクマネジメントノウハウ集といった感じ。

トップマネジメントだと

 安全なくして売り上げはありません

 問題はシステムで解決しよう

など17件。

座右の書にしたいと思わせる一冊。

著者の坂井優基は国際線のパイロット。前作の「パイロットが空から学んだ一番大切なこと」では、パイロットの経験から得たチームマネジメントのノウハウ、コツについて述べている。こちらもお奨め!

2006年6月 5日 (月)

ポートフォリオとプログラムの標準

1930699905_2 Project Management Institute「The Standard for Portfolio Management」, Project Management Institute(2006)

お奨め度:★★★

いよいよ、PMIの標準の最後のピースである、ポートフォリオマネジメントが登場。PMBOKの1996年版と較べるとよくまとまっているのではないかと思う。が、まあ、このバージョンの標準でプロセス構築ができるように思えないので、本格化は次のバージョンといったところだろう。

ただ、PMI東京でも翻訳プロジェクトが走るようだし、最近、やたらと企業のニーズが高まっている。その意味で要チェックな一冊であることは間違いない。30ドル弱だしね。

この本を読むなら、2年くらい前に出た本で、

1930699379 Peter Morris, Ashley Jamieson 「Translating Corporate Strategy Into Project Strategy: Realizing Corporate Strategy Throught Project Management」、Project Management Institute(2004)

を読んでおきたい。ちょっと難しいが(英語も難しい)が、重要なことがいろいろと書いてあるし、プロセスを明確にしている。バランススコアカード的な発想であるが、ポートフォリオマネジメントが前提になっている。

1930699549_2ポートフォリオの標準と同時に発表されたプログラムマネジメントの方がお奨め。こちらはかなり実践的だ。

Project Management Institute「The Standard for Program Management」, Project Management Institute(2006)

アマゾンにはなぜか、PMIの本はあまり入ってこない。急ぐ人は、pmiのブックストアで買うという手もある。30ドルの本に対して、配送料が50ドルくらいかかる(その代わり、4~5日で手元に届く)。

2006年5月30日 (火)

製品開発力と事業構想力

447838046501 DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部「製品開発力と事業構想力」、ダイヤモンド社(2006)

お奨め度:★★★★

製品開発力と事業構想力という日本の企業に今欠けている2大要素を取り上げた論文集。

このシリーズはハーバードビジネスレビューの論文をテーマ別に編集したものであるが、このテーマでは記憶に新しいところでも破壊的イノベーション、オープンマーケットイノベーション、イノベーションファクトリなど、さまざまなインパクトを与えるコンセプト論文を掲載しているだけあり、非常によいできである。この分野で活動している人であれば、一冊持っておいて損はない本だ(もちろん、どの論文も読めば参考になる)。

個人的には、この本に採録されている中では、第6章のステファン・トムクとエリック・フォン・ヒッペルの「R&Dを顧客に転嫁する事業モデル」が一番好みである。

ただ、製品開発力と事業構想力といいながら、事業構想力の方に比重がかかっている。それだけ、この分野のクオリティペーパが多いということなのだろうが、ちょっと寂しい部分もある。

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OODAサイクルを作る!

449253210201 中村好寿「ビジネスに活かす!最新・米軍式意思決定の技術」、東洋経済新報社(2006)

お奨め度:★★★★1/2

プロジェクトのイメージに最も近い活動はおそらく、軍隊(戦闘活動)である。

プロジェクトの行動はPDCAサイクルだといわれる(計画(plan)、実行(do)、評価(check)、改善(act))。PDCAサイクルの発案は、品質管理の父といわれるデミングで、もともと、生産プロセス(業務プロセス)の中で改良や改善を必要とする部分を特定・変更できるようプロセスを測定・分析し、それを継続的に行うために改善プロセスが連続的なフィードバックループとなるように提案したものである。

これが現在、品質概念を拡張し、さまざまなマネジメントの場面で使われている。

この方法をプロジェクトマネジメントに導入したときに、違和感があるのは、「観察」が明示的に行われていないこと、「仮説」が明示的に扱われていないことである。この違和感を解消できるのが、この本で紹介されているOODA(観察(Observe)、状況判断(Orient)、決定(Decide)、行動(Act))ループを基本とする米軍が使っている軍事意思決定モデルである。

この本は、この意思決定をビジネスにどのように応用するかという視点から、意思決定手法の体系的な説明をしており、この本を読めば、このような意思決定を行うだけの知識は入手できるだろう。

先が見えないプロジェクト、頻繁に環境が変わって行くプロジェクトのマネジャー必読!

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組織の競争力を強化するリスクマネジメント

432009747501 John McManus(富野壽監訳)「ソフトウェア開発プロジェクトのリスク管理」、構造計画研究所(2006)

お奨め度:★★★★

やっと実践的なリスクの本が出た。といっても訳本。構造研究計画所のソフトウエアエンジニアリングの訳本の質の高さをご存知の方であれば、期待を裏切らない一冊。

この本がすばらしいのは、「狼が来た」本ではないところ。ソフトウェアプロジェクトのリスクとは何かをきちんと説明し、リスク対処を機会管理と捉え、経営における能動的な価値だと考えている点である。コンサルタントとしてプロジェクトリスクマネジメントの問題に当たる際になかなか理解してもらえない点である。いろいろな人に勧めたい本。

この本で指摘されているソフトウェアプロジェクトのリスクは3つある。最初は「開発当初に要求仕様を必ずしも確定できない」、あるいは「開発途上,競合や市場への対応から止むを得ない仕様の変更が起きることが多い」などのリスクで、この本ではこれをビジネスリスクだと捉えている。二番目はビジネスリスクに関連して生じるプロジェクト規模や工数の見積り技術の不備、新技術や新しい開発プラクティスの利用からくる不確実性、技術者能力の不足などのリスクでこれを技術リスクとして捉えている。第三は,プロバイダ市場や環境の変化、ソフトウェア訴訟などのプロジェクトの外部要因によるリスクである。このリスクの区分も非常に適切である。

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サントリー版プロジェクトX

488399444901 峰如之介「なぜ、伊右衛門は売れたのか。」、すばる舎(2006)

お奨め度:★★★★

マーケティングを念頭において書かれた本だと思う。メーカ(サントリー)の独自性(ブランド、企業規模)を背景にしたマーケティング戦略を点kないし、それがあたった商品である。マーケティング戦略はこう作れという意味では参考になる本である。ただ、戦略そのものは、あまり、適用できる企業はないだろう。

むしろ、この本は商品開発マネジメントの本としてすばらしい本である。特に参考になる点は

・困難に直面するたびに、プロジェクトの目的に立ち返り、次の行動を決めている

・リスクをうまくマネジメントしている(リスクをうまくとっている)

の2点。プロジェクトXを見てもそうだが、開発モノとして胸を打つためには、この2つの要素は必須である。やはり、読み終えて感動を覚える本である。

もう一つ、すばらしいと思うのは、サントリーという会社のプロダクトマネジメントの姿勢である。この本ではあまり出てこないが、商品開発開発プロジェクトがこのような活動をするためには、相当しっかりとしたプロダクトマネジメントをやっていると思われる。その辺りの仕組みを想像しながら読んでいくのも一興である。

2006年5月14日 (日)

西遊記に学ぶチームマネジメント

482071672701lzzzzzzz_1 成君憶、呉常春(泉京鹿訳)「水煮西遊記    中国ビジネス思想の源流を知る」、日本能率協会マネジメントセンター(2006)

お奨め度:★★★★

西遊記は概略は誰でも知っている話だが、チームマネジメントの話をするときに引き合いに出すと分かりやすい。単純な話だと、桃太郎伝説のイヌ、キジ、サルがあるが、この組み合わせは典型的な機能組織のイメージである。これに較べると、西遊記の組織はもう少し複雑さがあって、まさにプロジェクトチームの妙味があり、三蔵法師の行動もチームマネジメントとして興味深い。そんなことを以前から思っていたが、この本はまさに、ヒット!

また、キャリアという視点からのチームマネジメントについてもいろいろな考察があるので、キャリアデザインを好書である。

これをいろいろな視点から分析した本である。興味深いのは、中国のビジネス習慣を前提にした解説になっている点。この本を読めば、中国の考え方が分かるかも!?

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