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2013年1月15日 (火)

【10周年】<持論アクティビティ>27名の持論の概要紹介(その1)

Jiron◆はじめに

前回報告したように、PM養成マガジン10周年記念として行ってきた「持論アクティビティ」では持論の作成も終わり、最後のまとめとして持論集を作っているところである(報告後に一編増えたので、27名の方の持論が採録された冊子になる予定)。

PM養成マガジンでは、作成された持論の紹介をしていきたいと思っているが、すべての持論を掲載することは難しいので、まずすべての持論について概要を何回かに分けて紹介しておこう。そののちに、実際の持論を紹介していく予定である。


◆持論の読み方

その前に、持論の読み方についてコメントしておきたいことがある。すでに述べたように、持論は他人に読ませるために書くものではない。自分が自分の考えをまとめ、行動による仮説検証を通じて自分の実務能力を向上させるために書くものである。

書かれて一人歩きした文章をどう読もうが本来は読み手の勝手であるが、持論が上のような目的で書かれている以上、メディアに掲載されている「人に読ませるための記事」と同じように読まれることは難しい一面があり、持論は持論として読んで欲しいと思う。

これまで何度も述べてきたように、持論は「経験から生まれ、行動を導いている方法論」である。この意味するところは、それがどんなやり方であれ、その方法でうまく行った経験があるのが持論だということだ。読んだ人がどう思うが、うまく行ったという事実を消すことはできない。

言い換えると持論に書かれていることを否定してはならない。持論として書かれているやり方は(その人にとって)正しいという前提で、なぜ、うまく行ったかということを考えながら、ポジティブに読んで欲しい。これが持論を読むときの最初のポイントである。

おそらく、持論を読むと違和感を感じることが多々あると思う。著者が今回作られた持論を読んで、三分の二くらいの持論には違和感を感じた。読み込んでいくと、なぜ、それでうまく行くのか分かる部分もあるが、どう考えても分からない部分もある。それは、間違っているというのではなくスタイルが違うということだ。


◆健全なる批判精神と洞察

だからといって、プロフェッショナルであるならば、最初から違和感を押し殺して受け入れることはお奨めできない。健全な批判精神を持ち、自分のやり方、価値観の中で、その人の持論を理解することこそが、プロフェッショナルとしてのコミュニケーションであり、自身の持論を強化していくためにも極めて大切である。

ここでひとつ頭においておきたいのは、ある問題についての解決策として書かれた持論がその問題についてのすべての答えになっているとは限らないことだ。

話は変わるが、トヨタはなぜ成功したかという議論がある。トヨタの人に聞くと、ディーラー制度を通じて徹底的に顧客の声を収集していることではないかという人もいる。一方で顧客の声に影響されることなく、自分たちが考える良いクルマを作っていることだと言う人もいる。事業が成功するのに成功要因が一つであるはずはなく、中には成功要因同士が矛盾していることもある。

プロジェクトのような比較的小さな活動で考えても成功要因は一つではないだろう。持論は、そのプロジェクトの当事者たるプロジェクトマネジャーが、そのなかからこれだと思ったことであり、選別にも主観的な要因がある。もし、どうしても消えない違和感があれば、何か書かれていない要因はないかと考えてみることも大切だ。その洞察が読者の気づきになることもある。


◆持論27編のタイトル

さて、前置きが長くなったが、それは持論の概要を紹介していこう。27編あるので、一回では難しいので、何回かに分けて紹介する。まず、27編のタイトルだが、以下のとおりだ。

「プロジェクトを周囲からサポートする」
「PMの執念が成功を引き寄せる」
「「私のシステム」を開発しよう」
「プロジェクトマネジメントが、自分の人生を創った」
「親心をもって接する」
「バランスを把握せよ。」
「感じて、考える」
「プロジェクトの成功確率、成功度合いを高める方法」
「PMは「政治」に向き合う実務家」
「やってはいけないプロジェクト・マネジメント」
「反PMO宣言-うちのPMOはこんなに酷いわけじゃない-」
「予測し、決断し、人を動かす」
「人間力によるプロジェクトマネジメント」
「常に誰と何を「握る」か、を意識せよ。」
「継続的にチームに最高のパフォーマンスを発揮させるために忘れてはいけない3つのこと 」
「プロジェクトの成功は、環境作りから」
「人は間違える」
「楽しむ、つなげる、変える」
「自分の経験から考えたプロジェクト成功のための一文」
「プロジェクトの目的を対話により共鳴化すべし」
「コミュニケーションを実践、促進、管理せよ」
「プロジェクトを成功させて、成長する」
「全力、体感、天命」
「そのプロジェクトに惚れられるか、否か」
「ステークホルダーの力を結集するために」
「ヒトの観点から捉えたプロジェクトマネジメント」
「PMに期待するもの:大前提は?」


◆持論発表会

実は、持論アクティビティでは思った以上にコミットメントがあり、期待を超える品質の持論になったので、「PM養成マガジン10周年記念のクロージングイベント」の中で、急遽発表会を開催することにした。クロージングイベントは、1月26日(土)に東京、2月2日(土)に大阪で開催するが、この中のメインイベントとして、東京4人(1名調整中)、大阪5人の方に、自身の持論を発表してもらうことにしている。

PM養成マガジン10周年 クロージングイベント~センスのよいプロジェクトマネジャーを目指そう~


まず、今回、概要を紹介するのは、持論発表会で発表される持論9本である。まずは、東京で発表される予定の4名の持論である(イタリックは持論からの抜粋部分)

【1】阿部 昭彦「「私のシステム」を開発しよう」

阿部昭彦さんはの持論は、

プロジェクトに関わるときは、「お客様のシステムを作ってあげる」のではなく、扱うシステムを「私のシステム」だと思って取り組む

というものだ。阿部さんは、自分のシステムだと思うことが、「システムの全てのことに興味を持って真摯に取り組むこと」につながり、

それをプロジェクトのメンバーに伝える。プロジェクトオーナーの意識をメンバー全員が共有して「私のシステム」だと思って開発に取り組むことができれば、いいシステムが出来上がる

という。ただ、そのような取り組みは、プロジェクトマネージャの負担を大きくする。これにどう対処するか。阿部さんの極意は、「うまく手を抜く」ことだそうだ。

【2】河原 一紘「感じて、考える」

河原一紘さんの持論は、

プロジェクトマネジャーは「感じて、考える」ことが必要である

というものだ。河原さんの持論の背景には、「ひとたびプロジェクトが立ち上がると、プロジェクトが終了するまで、プロジェクト自体が常に変化し続けている」という考えがある。そして、変化に対応するためには、「感じて、考える」ことが必要だという。

感じなくてはならないのは、「プロジェクトリソース(人、モノ、金)の状況変化、状況を踏まえたプロジェクトマネジャーの立ち位置」であり、そのためには、

・周囲の状況をよく観察する。
・メンバーやステークホルダーと話す・聞く

といった実践が必要だ。そして、「感じた」ことをどのようにプロジェクトに展開するかを「考える」。考えるプロセスには、プロジェクトマネジメントの知識や経験が生きてくる。この両方が必要だと言うのが河原さんの持論だ。


【3】司馬 紅太郎「反PMO宣言-うちのPMOはこんなに酷いわけじゃない-」

司馬 紅太郎さんは、PMOに関する持論をストーリーとして語っている。そこで語られている持論は、PMOに対しては、

覚悟なくして、プロジェクトの現場に口をはさむのは厳禁であり、失礼である。システム開発プロジェクトに対して、プロジェクト支援するのであれば、まずシステム開発を理解すべきであり、経験すべきである。

というものであり、また、一方で、現場に対しても

PMOは絶対という先入観を捨て、クソ使えないPMOマンに対しては、駄目出しをすべきである。

という持論を展開している。プロジェクトとPMOの両方を経験した上での持論だ。そして、「いや現場のPMがPMOを使いこなせたときこそ、プロジェクトは新たなる希望を見つけることができる」と述べている。


【4】能登原 伸二「プロジェクトを成功させて、成長する」

能登原伸二さんの持論は、プロジェクトを成功させることによって、PM自身が成長し、また、メンバーの成長を促すというもので、そのために5つのポイントを上げている。

・「実現可能な計画を作る」ことで、プロジェクト・メンバーに計画の全体像、プロジェクトにかける想いを説明することで、プロジェクト成功のイメージを植え付ける

・プロジェクトの目的に向かってベクトルを合わせ、一つのチームとして進める

・人の強みを活かすと共に、プロジェクトを通じてメンバーが成長できるように、プロジェクト内での役割を決める

・プロジェクトで割り与えられた役割、あるいは決められた標準やルールを当たり前に実行する、そのためにPMが率先垂範する

・素直な心で物事を見て、役に立つと思ったことを積極的に取り入れる

の5つである。

今回はこの辺にし、次に、大阪で発表される予定の5名の持論については、明日、紹介する。


【5】石川 朋之「プロジェクトマネジメントが、自分の人生を創った」

石川 朋之さんは、レーサーをやりながら、さまざまな仕事をし、今は「日本の若者を元気にしたい!」という想いから、組織開発コンサルタントをやっている異色のキャリアである。当然、プロジェクトマネジメントの位置づけも独特である。つまり、

チャレンジングな人生を創るうえでプロジェクトマネジメントはかかせない。

という。そして、プロジェクトを成功に導くのは

・強い想い(創造力)
・周りを巻き込む力(応援力)
・与えられた中でベストを尽くす(生命力)

この3つを実践していくことで、「組織(チーム)も自分も強くなり、一体感が生まれ面白い世界へと道がつながっていく」と考えている。

【6】坂本 佳史「やってはいけないプロジェクト・マネジメント」

坂本 佳史さんは、

プロジェクト・マネジメントとは科学であり、合理性のある根拠をベースにプロジェクトをコントロールすることがモダン・プロジェクト・マネジメントである

と考えている。これを前提に考え、やってはならないことをやるなという持論を述べている。

やってはならない言動として挙げているのは3つ。まずは、納期がせっぱつまってきたり、顧客に怒られたときによくやる

・「今日から俺が毎日,進捗をチェックするっ!

という宣言と行動。次に、遅れていますと報告したときの

・「なぜ計画したスケジュール通りに実行できないんだっ!

という対応。三つ目は、空中戦の挙句の

・「誰がそんなこと決めたの?

という会議。心当たりがある人も多いのではないだろうか。


【7】田中 英和「人は間違える」

田中 英和さんは、ソフトウェアシステムの開発20年以上経験から得られた持論は

人は間違える

ということだという。そして、

「人は間違える」ということを前提にプロジェクト管理を行えば、プロジェクトの失敗を防ぐことができる

と述べている。

その一つの例として、デジタルマップ構築プロジェクトの例を挙げている。このプロジェクトは、情報のデータ化で多くの間違いが起き、品質問題が発生した。そこで、「人は間違える」という前提に立ち、間違いの早期発見、早期修正の仕組みを取り入れることにより、プロジェクト全体の進捗や品質に貢献した。

このように、

同じ間違いが起きても早期に発見できる仕組みを考え、メンバーがそれをメリットと考え、仕組みを改善してくれるというスパイラルのきっかけを作ることができるのはプロジェクトマネジャーだけだ

とも述べている。


【8】戸田 裕之「楽しむ、つなげる、変える」

戸田 裕之さんは、とあるテーマとある人たちに対して責任があるときに、意識している基本的な3つの振る舞いを持論としている。

まず、一番目は、「モチベーションの源泉として、楽しむ」ことだ。そのために、

プロジェクトマネジャの自分としては、どのような状況においても、明るい態度でゴールを示し続けることで、自分が楽しみ、メンバも楽しむことができる基盤を作る。

ことが必要だ。二番目は、「全ての人と物を、つなげる」ことだ。このために、

何をどうつなげれば意味があるかを構想し、それをステークホルダに説明し、人を集めてきて、情報を共有し続けることで、つなげる。

ことが必要だ。

だという。三番目は、「期待される能力を示し続けるために、変える」ことだ。そのために、

世の中と自分の周囲をよく見て、よく聞き、潮目の変化を探る。また、時間を大切にして、勉強する時間を確保する。

ことが必要だ。


【9】舟橋 洋明「全力、体感、天命」

舟橋 洋明さんは、これまでに経験したプロジェクトから得られた持論を以下の3つにまとめている。

一つは、「今に全力を尽くす」こと。過去の失敗に囚われたり、現在の環境や他人に文句を言っても変わらない。そうではなく、

現在の環境、進捗状況、ステークホルダー、プロジェクトメンバーを見て、ベストと考えられるアクションを全力で実行する。今に全力を尽くせば、自ずと、それにふさわしい結果が自然に訪れる。

という。二番目は、「プロジェクトのゴールを五感を使って体感する」こと。つまり、

プロジェクトを行っているからには、そのゴールがあるはずだ。一般には成果物と呼ばれるものである。そのゴールを五感を使って、全身で体感してみる。

ことだ。三番目は「プロジェクトには成功も失敗もない。ただ結果があるだけ」ということ。つまり、

プロジェクトのゴールをしっかりと見据え、全力を尽くしてきたのであれば、どのような結果であってもそれにとらわれず、素直に受け入れることができる

という。

如何だろうか。繰り返しになるが、これらの持論については持論発表会で発表して戴く。関心があれば、ご本人の口からきいて、直接、議論を交わしてほしい。

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好川哲人

技術士&MBA 技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。