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2008年12月 1日 (月)

【補助線】プロジェクトマネジメント栄えて、プロジェクト滅ぶ

◆マネジメントが組織を滅ぼす

「政治家栄えて国滅ぶ」とか、「官僚栄えて国滅ぶ」といったとかいうフレーズがあるように、統治者が栄えて、統治対象を滅ぼしてしまうというのは世の常である。

マネジメントでもこういう現象はよく見かける。マネジメントが組織を滅ぼすという構図だ。多くの原因があるが、代表的なものを3つあげるとすれば

(1)自分以外を変えることによって会社を変えようとする傾向がある
(2)マネジメントは自分より能力があるものを登用しない傾向がある
(3)管理を目的とし、過剰な管理をする傾向がある

である。実はこの3つは、ピーター・ドラッカー博士の膨大なるマネジメントに対する遺言の中に、しっかりと警鐘されていることでもある。

◆あなたたちは悪くない。問題があるのは現場ですよ。

プロジェクトマネジメントにもそろそろ、こういう傾向が出てきたように思う。マネジメントに躍起になって、プロジェクトがおろそかになっている。

そもそも、日本企業がプロジェクトマネジメントに熱を上げだした理由は、戦略の問題を脇において、現場を変えようとしたからだ。隣の芝生ではないが、SI企業が某外資系の企業の現場を見て、すばらしいと思ったことが発端。現場がすばらしいのは、(戦略)マネジメントがしっかりとしているからに他ならない。

そして、ビジネスと技術にしか興味のない出版社が煽った。煽った理由は、マネジメント層に対して、「あなたたちは悪くない。問題があるのは現場ですよ。」とささやいたからだ。つまり、(1)を肯定したわけだ。トヨタの現場が強いのは現場のマネジャーが優秀だからだという見当はずれの論理なのだ。

◆プロジェクトマネジメントの成果を認めたがらない

そこから始まったわけだが、日本人や日本企業は優秀なので、適応してものになってきた。一方で、先祖がえりのような現象がちらほらと見えてきた。ある会社の役員と話をしていて唖然としたのだが、われわれのときの方が無手勝流だが大きな成果を挙げてきたといけしゃあしゃあといっている。この指摘自体は正しいと思う。ただ、卑しくも役員がいう台詞ではない。役員であれば、新しいやり方で、自分たちの時代のような大きな成果を挙げるにはどうするかを、経験を活かして考えてほしい。ただし、これは彼に限った話ではない。2社に1社くらいは、こういう発想の企業があるように思う。

なぜ、そうなるかという点では時代の変化を読み取っていないからと思う人も多いと思うが、それよりもっと大きな理由は競争意識の欠如だと思う。内部での競争にすべてを費やしてきた世代の特徴だ。外部と競争するという意識があれば、到底こんな発想は出てこない。これが時代遅れだというのはそのとおりである。ただし、この点で社会時代が大きく変わったようにはまだ見えないので、彼らが現役でいるうちくらいは通用するのだろう。まあ、なんともやるせない話である。

◆過剰管理

その一方で、過剰管理も目立つようになってきた。過剰管理の問題は生涯現役だといっている人たちの存在と深く関係している。若返りのうまくいっていない企業では、現場の管理はミドルマネジャーが行う中で、シニアマネジャーが自分たちの存在価値を上にアピールするために管理強化をしているケースが目立つ。同情するに余りある。本来であれば、もうひとつ上の立場になって手腕を振るっているキャリアステージであるのだが、、、

◆プロジェクトマネジメントコンピテンシーからプロジェクトコンピテンシーへ

このまま進んでいくと、プロジェクトマネジメントだけ栄えて、プロジェクトは滅びるということになりかねないという感覚が少しだけ芽生えてきた。

そろそろ、プロジェクトマネジメントコンピテンシーではなく、「プロジェクトコンピテンシー」、つまりは、組織のプロジェクト能力について真剣に議論する時期に来ているのではないかと思う。

プロジェクトマネジメント栄えて、プロジェクト滅ぶ

◆マネジメントが組織を滅ぼす

「政治家栄えて国滅ぶ」とか、「官僚栄えて国滅ぶ」といったとかいうフレーズがあるように、統治者が栄えて、統治対象を滅ぼしてしまうというのは世の常である。

マネジメントでもこういう現象はよく見かける。マネジメントが組織を滅ぼすという構図だ。多くの原因があるが、代表的なものを3つあげるとすれば

(1)自分以外を変えることによって会社を変えようとする傾向がある
(2)マネジメントは自分より能力があるものを登用しない傾向がある
(3)管理を目的とし、過剰な管理をする傾向がある

である。実はこの3つは、ピーター・ドラッカー博士の膨大なるマネジメントに対する遺言の中に、しっかりと警鐘されていることでもある。

◆あなたたちは悪くない。問題があるのは現場ですよ。

プロジェクトマネジメントにもそろそろ、こういう傾向が出てきたように思う。マネジメントに躍起になって、プロジェクトがおろそかになっている。

そもそも、日本企業がプロジェクトマネジメントに熱を上げだした理由は、戦略の問題を脇において、現場を変えようとしたからだ。隣の芝生ではないが、SI企業が某外資系の企業の現場を見て、すばらしいと思ったことが発端。現場がすばらしいのは、(戦略)マネジメントがしっかりとしているからに他ならない。

そして、ビジネスと技術にしか興味のない出版社が煽った。煽った理由は、マネジメント層に対して、「あなたたちは悪くない。問題があるのは現場ですよ。」とささやいたからだ。つまり、(1)を肯定したわけだ。トヨタの現場が強いのは現場のマネジャーが優秀だからだという見当はずれの論理なのだ。

◆プロジェクトマネジメントの成果を認めたがらない

そこから始まったわけだが、日本人や日本企業は優秀なので、適応してものになってきた。一方で、先祖がえりのような現象がちらほらと見えてきた。ある会社の役員と話をしていて唖然としたのだが、われわれのときの方が無手勝流だが大きな成果を挙げてきたといけしゃあしゃあといっている。この指摘自体は正しいと思う。ただ、卑しくも役員がいう台詞ではない。役員であれば、新しいやり方で、自分たちの時代のような大きな成果を挙げるにはどうするかを、経験を活かして考えてほしい。ただし、これは彼に限った話ではない。2社に1社くらいは、こういう発想の企業があるように思う。

なぜ、そうなるかという点では時代の変化を読み取っていないからと思う人も多いと思うが、それよりもっと大きな理由は競争意識の欠如だと思う。内部での競争にすべてを費やしてきた世代の特徴だ。外部と競争するという意識があれば、到底こんな発想は出てこない。これが時代遅れだというのはそのとおりである。ただし、この点で社会時代が大きく変わったようにはまだ見えないので、彼らが現役でいるうちくらいは通用するのだろう。まあ、なんともやるせない話である。

◆過剰管理

その一方で、過剰管理も目立つようになってきた。過剰管理の問題は生涯現役だといっている人たちの存在と深く関係している。若返りのうまくいっていない企業では、現場の管理はミドルマネジャーが行う中で、シニアマネジャーが自分たちの存在価値を上にアピールするために管理強化をしているケースが目立つ。同情するに余りある。本来であれば、もうひとつ上の立場になって手腕を振るっているキャリアステージであるのだが、、、

◆プロジェクトマネジメントコンピテンシーからプロジェクトコンピテンシーへ

このまま進んでいくと、プロジェクトマネジメントだけ栄えて、プロジェクトは滅びるということになりかねないという感覚が少しだけ芽生えてきた。

そろそろ、プロジェクトマネジメントコンピテンシーではなく、「プロジェクトコンピテンシー」、つまりは、組織のプロジェクト能力について真剣に議論する時期に来ているのではないかと思う。

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。