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2008年11月10日 (月)

【補助線】組織とは何か

◆個人と組織

社会保険庁の記録改ざんで、「個人」と「組織」の線引きが問題になっている。社会保険庁に限らず、官民を問わず、この問題は微妙である。改めて組織とは何かと考えさせられる。

「組織で行う」というのは、組織の上位管理者が構成員(以下、社員と書く)に対して、業務命令を行い、社員が実行することを意味している。このロジックで考えると、命令がないのに、社員が「組織のために良かれ」としてやったことは、個人が勝手にやったことになる。

この問題が複雑なのは、その行為を管理者が知っているかどうかで話が変わってくることだ。知っていれば、正規の手続きを踏んでも組織として行ったことになり、知らなければ個人の行為だということになることが多いが、責任体制もそのようななっているかというと極めて怪しい。

◆権限委譲というグレーゾーン

この問題そのものは内部統制の強化で徐々に解決してきたが、依然として残っている問題は、この問題が原因になって起こっている権限委譲の問題である。権限委譲というのを明確な形で行っていないため、ここがグレーゾーンになって、結局、誰の責任か分からなくなっているケースをよく聞く。

プロジェクトマネジメントでもこの問題が出ている。プロジェクトマネジャーの権限を確認すると、「プロジェクトの運営に関するすべて」という答えが返ってくることが少なくない。「関するすべて」という言い方は日本では、「ケースバイケース」と読む。要するに、プロジェクト上位管理者の意向に反しない限り、認めるということで、これは権限委譲とは言わない。意思決定の代行をさせているだけである。言い換えるとサボっているだけである。ゆえに、丸投げといわれる。

◆現場のルールを決める際に、組織全体のルールを決める

統治者は自分自身の統治ルールを決めない。いざというときのために、統治に関するフリーハンドを残しておきたいからだ。これと同じで、組織が現場のルールを決めるときにはルールを課せられた現場に対応する自分たちのルールを決めない。自分たちの問題が発生したら、現場のルールを変えて対応しようとする。

現場のルールを決める前に、ルールの全体のデザインをすべきである。そして、抜け道を作らないことだ。ちなみに、プロジェクトマネジメントのルールを作るときには

・プロジェクトマネジメントポリシー
・プロジェクト区分
・プロジェクトマネジャーの権限
・エグゼクティブの権限
・ビジネスコミッティ、技術コミッティの権限
・プロジェクトマネジメント関係組織間の業務分担と連携

は最低限決めておく必要がある。

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。