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2008年10月 6日 (月)

【補助線】プロジェクトビジョン

◆究極の議論

誰もやったことがないことなので、いつまでに終わるなどとはいえない

vs

プロジェクトなのだから、やったことがなくてもいつまでに終われというのがリーダーシップだ

みなさんは、どちらを支持しますか?

◆目的がないと議論にならない

実は、この議論は年金問題をめぐる、麻生総理と民主党長妻議員の予算委員会でのやり取り。

しかし、これでは議論にならない。目的が明確ではないからだ。議論してみても、堂々巡りするだけだ。どちらももっともである。

ここに、目的を入れてみよう。「1日も早く、すべての国民に、正しい金額の年金を支払う」ことを目的とすれば、若干、問題が変わってくる。

今度は、やり方の話になる。1件ずつコツコツとやるのがよいか、期限を決め、リスクを取ってでも包括的にやっていくのがよいかという問題になる(具体的にどうやるのかは知らないが、、、)。

これでもまだ、どちらがいいかとはいえない(おそらく)。目的の解釈というか、もっと正確には、どういう状態になれば目的が達成できたと考えることになるのかが不明確だからだ。

◆目標がなくては議論は深まらない

たとえば、「救える人は救えた」というのを目的が達成できたと考えるのであれば、コツコツが正しい方法だろう。1日も早くという制約があるので、まずは調査をして、全容を解明して、包括的な解決を図るのは時間の無駄がある。

しかし、「すべての人を救えた」ことが目的の達成だと考えるのであれば、全容の解明は不可欠である。今やっているアプローチで、すべての人が救えるという確証が得られない限り、コツコツとやっても意味がない。ひょっとすると、今の被害者救済的なやり方ではなく、システムを変えて一括して保障するような方法が必要かもしれないからだ。

もちろん、コツコツとやって残った問題には別の方法で対処するという場当たり的な解決方法がないわけではないが、これをやると、最後に残った10件がまったくわからなくて、最初からやり直しということにならないとは限らない。

◆プロジェクトの成功にはプロジェクトビジョンが必要である

冒頭の話に戻るが、冒頭の議論は目標が決まって初めてどちらがよいか判断できるものである。つまり、目的と目標が揃って、初めて、どのようにアプローチすればよいか(戦略)が決まる。

これがプロジェクトであり、目的、目標、戦略のセットをプロジェクトビジョンという。ビジョンが明確でないプロジェクトはうまく行かない。

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。