« 【補助線】ミーティングアジェンダでプロジェクトをコントロールする | メイン | PMサプリ120:価値観の共通点を軸にする »

2008年4月18日 (金)

【補助線】上司に任せる

 自身が権限を持たないので、できることしかできない

というプロマネがたくさんいる。これはある意味で真実だ。これから内部統制も厳しくなっていく中で、ここをはずすことはできない。

ただ、ひとつ考えてほしいことがある。

みなさんは、部下に任せるということは普通にやっていると思う。では

 なぜ、上司やステークホルダに任せないのか?

部下に任せることと、上司に任せることの間には2つの決定的な違いがある。ひとつは、部下に任せる多くのことはプロマネ自身が実行することもできる。しかし、上司に任せることの多くは上司にしかできないことだ。

上司にしかできない理由は、まれに業務遂行能力、スキルなどに依存するが、ほとんどのケースは権限の問題である。つまり、業務そのものはできるのに、権限がないからできない。これがプロマネが権限にこだわるひとつの理由にもなっている。

もう一つの違いは、部下には程度の差こそあれば、命令、あるいは指示、あるいは指導ができる。しかし、上に任せる場合にはこれはできない。どのようにやるかは上司の判断に任せる必要があるし、結果の是非についてもある程度上司に任せざるを得ない。

整理すると、上司に任せる場合には

(1)自身はできないことを任せる
(2)判断そのものを任せる

の2つが求められる。

こうなってくると、「お山の大将」的なリーダーは到底、任せようなどとは思わない。結果、何をするかといえば

(1)できる範囲でやる
(2)あなたの責任でやってくれと投げ出す

である。いずれも箱からでないでできることだ。これでは話にならない。

では、どうすればよいか?答えは簡単だ。

プロマネ(自身)が考えているとおりに、上司が「自発的に」動くようにする

ことだ。これには2つの問題がある。ひとつは、上司にそのように動こうと思わせるにはどうしたらよいかだ。もう一つは、上司が考えたことが本当にできるかどうかだ。

後者についてはある意味で、メンバーに任せるよりは簡単だ。プロマネの上司といえばおおよそ課長級で、課長級となるとそれなりに能力がないとなれないからだ。

ここで、プロマネの中には、上司の「無能さ」を批判する人も少なくないが、フェアな立場できいていると、だいたい、前者がきちんとできていない。したがって、思った通りには動いてくれず、その不満を言っている人が多い(もちろん、中にはピーターの法則を絵に描いたようなマネジャーもいるけど)。

ということで、上司に任せるための問題は、

上司をどのように動かすか

にかかっている。このときに、正論を言えば動く(べきだ)と思っているようでは、永久に動かすことはできないだろう。つまり、説得などの何の役にも立たない。上司には上司のキャリアがある。上司だってあなたと心中したいとは思っていないのだ。

そこで出てくるキーワードが「影響力」である。影響力が発揮できれば、上司は動く。もちろん、上司以外のステークホルダにもこれまで述べてきたことはすべて当てはまる。

上司に任せるために影響力を身につけよう!これも一種にリーダーシップである。

トラックバック

このページのトラックバックURL:
http://bb.lekumo.jp/t/trackback/605869/31148357

【補助線】上司に任せるを参照しているブログ:

コメント

コメントを投稿

PMstyle 2024年11月~2025年3月Zoom公開セミナー(★:開催決定)

カテゴリ

Googleメニュー

  • スポンサーリンク
  • サイト内検索
    Google

最近のトラックバック

Powered by Six Apart

プロフィール

フォトアルバム

好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。