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2008年3月10日 (月)

【補助線】プロジェクトリーダーをやる気にさせるもの

◆プロジェクトリーダーのやる気はメンバーのやる気

これ自体が僕の持論かもしれないが、プロジェクトメンバーをやる気にさせるには、プロジェクトリーダー(マネジャー)がまず、やる気になることが必要だ。

たとえば、ステークホルダからのやる気を削ぐコンタクトは自身が全部引き受けるというプロジェクトマネジャーは結構多い。一種のメンタリング行動だと思うが、これを喜々としてやっているプロジェクトマネジャーも結構いるが、多くの人はそれで自身は疲れ切って、やる気をなくしている人も少なくない。そんな様子をはたから見ていて、メンバーがやる気になって自分の仕事をやることはあまり考えられない。

これでは何をやっているかわからない。リーダーが腐れば、メンバーが腐り、チームが腐る。間違いなくこの伝染はある。

一方で、一人だけテンションが高いなどと揶揄されながらも元気一杯のリーダーがいる。こういうリーダーに出会うと最初は引くメンバーが多い。そこから先はリーダーの力量の問題もあると思うが、ずっとそんなふるまいを続けていると、馴染んでくることがある。慣れてくるのではない。なんとなくそんなものかなと思うのだ。これこそがやる気が伝染した瞬間である。

素晴らしいリーダーで、瞬時にチームの雰囲気を変えるような人もいるが、意外と、最初はメンバーに引かれてもかまわずそのふるまいを続けるリーダーのチームの方がトータルのパフォーマンスは高かったりするものだ。

しかし、リーダーが一定のやる気を持ち続けるのはそうたやすいことではない。

◆プロジェクトリーダーのやる気の源泉?

リーダーに「どのような環境になればやる気が出ますか」と質問したときに帰ってくる3大回答は

(1)やりがいのある(評価される)プロジェクト
(2)権限(好きなようにできる)
(3)優秀なメンバー

である。

ところが、本当にこれだけ準備すると、やる気を出して仕事をしてくれると思うと大きな間違いだ。

確かに最初は張り切って、絶対成功させますなどと宣言するのだ。

ところが、どれだけ優秀な人を集めようと、途中に挫折のないプロジェクトなど、めったにあるものではない。トラブルになったときに、多くの人は

(1)やってみたら全然面白くなかった。重要だと言っている割には何もしてくれない
(2)表向きは権限があることになっているが、実際には上の意見に逆らえない
(3)あいつ、みんなが評価しているけど、ぜんぜん、できない

と豹変する。条件が3拍子そろうことなどまずないので、これが3つ揃うこともないが、ひとつひとつの例をあげれば枚挙にいとまがない。

◆結局は本人のとらえ方次第

どこに問題があるのか?

やりがいがあるかどうかは、本人が決めることだ。ここに「評価」といった「邪念」を持ち込むので、混乱するのだが、評価されるかどうかというのは結果であって、やりがいがあるかどうかというのは本人のプロセスなのだ。端もかけられなかった商品開発が伝説に残る成功になったなどよくある話だし、一見さんなので適当に押し付けられたシステム開発が顧客の大満足を得てリピートにつながることも珍しいことではない。評価を考えても仕方ないというつもりはないが、少なくともそのプロジェクトの開始前の評価など、どうでもいい話であることは間違いない。

(2)についてはもっとひどい勘違いである。権限を持つ経験がなかった人に権限が委譲されても、そう簡単に使えるものではない。ましてや、自分が権限を持ったからといって周りが動いてくれるわけではない。権限は「与えられ、持つもの」ではなく、「奪い、使うもの」だ。

たとえば、人事権があれば人をプロジェクトに引き込んだり、メンバーとして動かすことができると思っているプロジェクトマネジャーが多いが、そんなプロジェクトマネジャーに限って権限に従って動いていない。よいか悪いかは別にして、日本の組織というのはそんなガバナンスの効く組織ではないのだ。権限シンドロームにかかっているだけだ。

つまり、権限を持っても、その権限を自身がうまくつかわなければ何も変わらない。(2)はそれがうまくできないプロジェクトマネジャーの愚痴にすぎない。

(3)は勘違いの極みである。人の能力には絶対値がある。その意味で、できるできないもある。しかし、ある仕事で、一人ひとりの人の能力を引き出すのはリーダーの役割だ。日本の管理職はほっといて成果を出してくれる人とできると言っていた。こういうことをいうプロジェクトマネジャーは100%この傾向がある。その意味で勘違いだ。

◆やる気を引き出すスタンス

ぼろくそに書いたが、3つの条件がやる気の源泉になっているというのは直観だろうし、その人にとって間違っていないのだと思う。だとすれば話は簡単だ。これらが現実のものになれば、プロジェクトマネジャーはトラブルになってもやる気を維持しながら切り抜けていける。つまり、

(1)やりがいがあると思う
(2)もっとうまく与えられた権限を使うことができるはずだと思う
(3)もっとうまくメンバーの能力を引き出すことができるはずだと思う

の3つでプロジェクトマネジャーのやる気は維持されることになる。こんな持論はどうだろうか?

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。