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2008年2月20日 (水)

【補助線】ルールと現場力

今年はプロジェクトマネジメントの仕組みを撤廃します

で紹介した書籍

エリック・エイブラハムソン、デイヴィッド・フリードマン(田村義進訳)「だらしない人ほどうまくいく」、文藝春秋(2007)

の中に面白い話がある。

マンハッタンでは車の流れが少しでも途切れると、信号も横断歩道も無視して、通りを横切る。信号無視する人が安全弁の役割を果たし、歩行者がスムーズに流れる。ワシントンDCやロンドン、東京では、みんなが青信号に変わるのを待ち、青になると一斉に横切る。このため、歩道も横断歩道も渋滞し、横断歩道の渋滞が道路の渋滞を引き起こす。

ところが、メキシコ・シティでは、信号無視する人が多いために、交通が渋滞する。

人や車をスムーズに流すには、信号機に管理された秩序正しいシステムがあり、そこにある程度の信号無視が加わればよいことになる。

つまり、「だらしな系」には最適レベルがあり、度を越さないように注意する必要がある。

あなたはこの話をどう感じるだろうか?マンハッタンとワシントンDCが違うというのも興味深いのだが、それは別にして、これに近い感覚、つまり、ルールをきっちり守るのだけがよいわけではないという感覚を持たれる方は多いのではないかと思う。

仕事の中で考えてみよう。

たとえば、ゲートレビューが終わるまで先に進めてはならない。しかし、レビュアのスケジュールに合わせていると2~3日、多くのメンバーに手待ちができるとしよう。このとき、とりあえず、レビューの影響を受けにくい作業を選んで先に進めるというのは日常的なのではないだろうか?(もっとも現実的にはそんな余裕はなくて、当初予定より遅れたらほっとプロジェクトも多いかもしれないが、、、)

結局、現場力の本質はここではないかと思う。ルールを守らなくてもよいと考えるというのは論外である。そんなことを考え出すと考えでは組織と社会も成り立たない。悪法も法だ。

しかし、結果としてルールを守るかどうかは、別の話だ。ルールの別解釈をする、あるいはもっと過激にいえばルールを守らないことに対するペナルティを折り込んでルールを守らないという選択肢がとれるかどうかが現場力なのだ。

ルールとはそもそも、そういうものだと思うが、ルールを決めた人の解釈が唯一の解釈ではない。違う解釈がありうるから進歩が起こるのだ。決めた人の解釈が唯一の解釈であればワンマンであり、ルール制定者を超えた進歩はあり得ない。

国の仕組みでも立法と司法はガバナンスが違う。

逆にいえば、決めた人の解釈しか通らないようなルールはほめられたものではない。たとえば、上のレビューの例で、こういう2つの事例を知っている。

(1)上位組織はプロジェクトからのX工程作業完了を受け、2週間以内に○○レビューは実施する。プロジェクトは○○レビューの結果をY工程へ反映する。
(2)上位組織はプロジェクトからのX工程作業完了を受け、2週間以内に○○レビューは実施する。プロジェクトは○○レビュー合格の後にY工程作業へ着手する。

この2つのルールの制定目的はほぼ同じだ。ところが(1)だと、ルールの意図はY工程の前にレビューをすることだとしても、後でレビューを受けて調整すればよいという解釈もでき、レビューのスケジュールによる手待ちは起こさないで済ますことができるだろう(ゲートになっていないのではという指摘もあると思う。詳細は書けないが、このルールのレビューでプロジェクトの中止を決めたケースもあるそうだ。意図はゲートです。)

これに対して(2)だと別解釈はしにくく、手待ちが起こる。

問題は(2)のようなルールがあったときにどうするかだ。ルールを変えてもらう運動をするというのは傍におき、ルールを守って納期に遅れることと、ルールを破って納期に間に合うことのどちらを選ぶか?後者を選んだ上で、怒れらないように最善の措置を尽くすというのが現場力だといえよう。

最後に一言釘をさしておくが、ルールを破るのが現場力ではない。ステークホルダが納得できるような最適解を現場で探す力が現場力である。したがって、「ルールを守っていたら遅れるというのは誰が考えても分かる。ルールを破って何が悪い」というロジックは通用しない。そうは思わない人もいるからだ。思わせることも含めて現場力なのだ。

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好川哲人

技術士&MBA 技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。