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2007年6月18日 (月)

【補助線】マクドナルドに学ぶ「価値」の標準化

マクドナルドが地域別の販売価格の導入をする。

改めて説明をするまでもないと思うが、マクドナルドは標準化をコアコンピテンシーにする企業である。ぼくは仕事柄、あちこちに行くが、マクドナルドほど均質なサービスを提供している外食チェーンやファーストフードはないと思う。特に、カウンターでの対応と、デリバリーの時間の均質さは凄いと思う。

そのマクドナルドが自ら標準を破った。表向きの理由は、コストの違いだという。店舗の維持費、労働コストなどが都会と地方では違うので、変えるとのこと。まあ、こういう言い方がもっとも当たり障りがないのだろう。

標準もある程度成熟してくると、高度化させていく必要がある。最初は、材料であり、プロセスであり、デリバリ時間であり、価格であり、コストであった。しかし、これらはいずれも内部要因に起因するものであるので、自分たちは標準的だと思っていても、外からはそうは見えないケースが多い。

プロセスの標準化をみているとすぐに分かるが、プロセスの標準化を阻害するものは外部要因である。ビジネスプロセスであれば、顧客、地域、調達などが問題になることが多い。しかし、これを公式に扱うことは非常に難しい。それゆえに、各部門で実情に併せて、カスタマイズして使ってくれという話になる。標準化という名をとって、実を捨てた格好になる。

なぜ、難しいのだろうか?標準から外してよいものと、残すものが分からないのだ。

標準化が一定の浸透をしてきた際には標準化されるべきものが変わる。最初は外面的、具体的なものであるが、それがだんだん、内面的、抽象的なものに変わって行く。これがプロセスが成熟するという意味だが、新たに標準化すべき対象を見つけるのが難しいのだ。

このマクドナルドの動きを見ていると、さすがに標準化のチャンピオンといった感じを受けた。

マクドナルドが標準として残しているものは、顧客とっての価値の標準化ではないかと思う。今回の地域別価格でそれがすべて実現できるかどうかは微妙だ。むしろ、テスト的な意味合いがあるのだと思うが、価格といった外形的なものではなく、顧客にとっての価値という抽象的なものを標準化するという発想は素晴らしいと思う。

もっとも、今までもマクドナルドは、「スマイル0円」という価値の標準に先鞭をつけていた。これは、ウィットだと捉えられていたと思うが、今度はいよいよ、価値の問題の本丸に手をつけた。成功するかどうか、見ものである。

さて、我々のビジネスに戻るが、カスタマイズというのは本来、部門に任せるものではない。マクドナルドでも、地域別にするというのだけを決めて、価格は地域で決めてくれというと大混乱が起るだろう。

標準に対するオーナーシップは、標準を策定する部門が持ち続ける必要がある。その中で、ユーザにとっての価値のメトリクスを導入し、そのメトリクスが、フェアになるようにカスタマイズを仕切っていくことが重要である。

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。