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2007年4月23日 (月)

【補助線】ドキュメント大量生産に隠された秘密

プロジェクトマネジメントではなぜ、たくさんのドキュメントを書かなくてはならないのか?

今日のテーマはこれ。

日本型経営という表現がある。「従業員は家族、同僚は親兄弟、取引先は親戚」という経営スタイルである。家族だから、従業員同士であれば、言わずとも、何を考えているか、だいたい、分かる。ちょっと分からなくてもひと言二言会話をすれば通じ合える。苦労しなくてもコミュニケーションができる。このような経営スタイルは非常に生産性が高い。日本人がドキュメントを書くのは、まとめである。相談して何かを決める。決まったことをドキュメントに書く。だから、ドキュメントも簡潔であるし、場合によってはなくても済む。

これに対して米国の経営スタイルのステレオタイプは「従業員は他人、同僚も他人」という経営スタイルである。これだとまず、自分の意志や考えを明確に表明しないと何も始まらない。つまり、ドキュメントを書かないことには話しは始まらない。ドキュメントを書き、プレゼン資料を作る。そこからコミュニケーションが始まる。ある意味で非常に生産性が低い。

ここまではどちらでもよい。問題はではなく、「家族の中に他人が入ってきたらどうするか」ということにある。つまり、「価値観が違う」、「ビジネスの習慣が違う」といった人が入ってきた場合だ。日本人の典型的な対処は2つある。ひとつはお客さんとして扱う。自分の家に来たからには面子にかけて不自由はさせない。しかし、絶対に自分たちの実態は見せないし、交わらない。もうひとつある。自分たちの習慣に従えという態度にでる。この場合は、従わない限り、組織の論理を持ち出して排除にかかる。

こうなってくると、極めて生産性が悪い。従って日本人のマネジャーは生産性を盾にとって、気心の知れない人を組織やプロジェクトに入れないということを平気でやる。もっとたちが悪いマネジャーは(このような態度による人事評価の×を恐れ)、笑顔で受け入れ、排除にかかる。

「一生懸命溶け込んでもらおうとしたのですが、なかなか、頑固な社員で」(表向き)

「君もわがチームの一員になったのだから、メンバー全員に何をしているかを聞いて回って仕事を覚えろ。さもなくはここに君のできる仕事はない」(実態)

となる。

ドキュメントを書くかどうかはどうでもいい。しかし、ドキュメントを書かなければ、間違いなくこのようになる。こうなると大問題だ。

成果主義全盛のご時勢である。事業部長がプロジェクトに乗り込んできて、「次の商品がダメなら事象部長の席はなくなる。あのデザイナーを使え」などといってもおかしくない。
あるいは、収益の確保に困った部長がプロジェクトに口を出し、「人件費の安いベトナム人のプログラマを使え」と言い出してもおかしくない。

一家の主のプロマネとしては、自分の意志に関係なく、他人を押し込まれるような状況なのだ。この状況で、上のような対応をしていたのではもたない。

何とか、他人と一緒に仕事をする術を覚える必要がある。これがプロジェクトマネジメントである。

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好川哲人

技術経営のコンサルタントとして、数々の新規事業開発や商品開発プロジェクトを支援、イノベーティブリーダーのトレーニングを手掛ける。「自分に適したマネジメントスタイルの確立」をコンセプトにしたサービスブランド「PMstyle」を立上げ、「本質を学ぶ」を売りにしたトレーニングの提供をしている。