サラリーマンのプロジェクトマネジメント
岡野工業の社長(正確には代表社員)である岡野雅行さんが新しい本を書かれた。
岡野 雅行「世界一の職人が教える仕事がおもしろくなる発想法―結果が出ない人はいない」、青春出版社(2006)
岡野さんは今までに4~5冊出版されているが、どの本を読んでも元気付けられる。特に今回の本は、岡野さんの仕事の仕方、考え方のエッセンスを抽出されているので、非常に啓蒙的内容が濃い本だ。
岡野さんの仕事のモットーはこの本にあるとおり、誰も無理だ、できないという仕事をやるのが最高に楽しい、アドリブで仕事をするからこそ楽しいなど、「技術屋」が聞くと涙を流しそうなものばかりだ。
岡野さんは僕の尊敬する経営者の一人だ。大企業に勤める「サラリーマン」と岡野さんの話をすると、決まって返ってくる答えが、社長だからできるとか、中小企業だからできるである。
こんな話は自分が岡野さんの立場になった想像をしてみて10秒考えれば間違いだと分かる。要するに、違う点を言い訳にしたいだけに過ぎない。岡野さんと彼らの違いは、岡野さんややる方法を考えるが、そのような言い方をする人はやらない言い訳を考える。言い尽くされた話だが、まさにそのもの。
まあ、それは人生観も折込の話になるので、どうでもよい。生涯サラリーマンの人はその人なりの価値観があるだろう。
ただ、考えてほしいことは、顧客や上司から「無理難題」を吹っかけられることは中小企業であろうと、大企業であろうとある。何にしても顧客はエライのだ。
例えば、痛くない注射針を作ってほしいというのに匹敵するような、あるいはそれ以上の無理難題な要件を言われたことのあるSIプロジェクトのプロジェクトマネジャーは少なくないと思う。
このときに、「あ~、だから何もわかっていない顧客とはやってられない。営業を巻き込んでから断るか」と考える人と、「お~!、面白い、なんとかしてやろうじゃないか」と考えれられる人では、しんどい目をするのは、間違いなく前者である。
サラリーマンをやっている人に、トム・ピーターズや岡野さんのように、あえて積極的にリスクをとって面白いプロジェクトを作ろうと呼びかけるつもりはない。しかし、おかれた境遇から逃げれないのもまたサラリーマンだ。まさか、公務員のように不作為というわけには行かないだろう。
であれば、そんな人こそ、岡野さんのような考え方をできるようになってほしいなと思う。プロアクティブなプロジェクトマネジメントはそこから始まる。
プロジェクトマネジャーの人にこの本は読んでほしいな。
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