チームマネジメント Feed

2006年11月13日 (月)

ダイバーシティーを活かしたチームマネジメント

479733587401 上村有子「ITエンジニアのためのチームリーダーシップ実践講座」、ソフトバンククリエイティブ(2006)

お奨め度:★★★★

IT系のプロジェクトで、チームリーダーに必要なリーダーシップを分析し、そのリーダーシップをつけるための方法を示した一冊。ITに特化しているところがミソ。

この本が考えている基本的なスキルはファシリテーションとコーチングのスキルである。ファシリテーションスキルをどのように活かしていくかということが基本スタンスになっているが、その際に、ハーマンモデルを使ってメンバーのダイバーシティを活かす方法を提案しているのが興味深い。

ハーマンモデルでは、脳のどの領域が強いかで人間を4つのタイプに分けて、その適正を、HRMに活かそうとするものである。

449253102509 ネッド・ハーマン(高梨智弘訳)「ハーマンモデル―個人と組織の価値創造力開発」、

東洋経済新報社(2006)

A タイプ(左大脳):エンジニア、化学者、財務、保険数理士、
B タイプ(辺縁系左):工場設備オペレータ、銀行窓口業務、記録係、経理、スーパーバイザー、
Cタイプ(辺縁系右):ソーシャルワーカー、研修、小学校の教員、看護婦、
Dタイプ(右大脳):芸術家、起業家、戦略、グラフィックデザイナー

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2006年10月21日 (土)

偉大なる経営論

B000ion7te01 Harvard Business Review2006年 11月号

 【創刊30周年記念号】偉大なる経営論

お奨め度:★★★★★

ハーバードビジネスレビューの創刊30周年記念号。30年間に発表された名論文の中から30本が採録されている。下にリストがあるので見てほしい。経営学にまったく縁のない人でも4~5人くらいは知っている人が多いのではないかと思う。

ほとんどの論文が実践の中で使われるようになってきた概念を示したものだ。これはすごいことだと思う。かつ、この2~30年の間に新しく生まれたマネジメント手法はほぼ、網羅されている。

つまり、そのくらいハーバードビジネスレビューは実務家のマネジメントに貢献している学術論文誌である。

マネジャーという肩書きのある人、あるいは、将来マネジャーを目指している人、いずれも、この記念号はぜひ持っておき、通勤の行き帰りにでも読んでほしい。

最後に神戸大学の加護野先生の「マネジメントの古典に触れる」という提言がある。この提言も味がある。

ちなみに、東京で本屋を探したが、最初の3件は売り切れだった。よく売れているようだ。

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2006年10月16日 (月)

プロジェクトマネジメントはサイエンスかアートか

487311299001 スコット・バークン(村上 雅章訳)「アート・オブ・プロジェクトマネジメント ―マイクロソフトで培われた実践手法」、オライリー・ジャパン(2006)

お奨め度:★★★★★

著者がマイクロソフトで養ったプロジェクトマネジメントの技を披露した本。ソフトウエアプロジェクトの本だと、必ずといってもよいくらい、開発マネジメントのテクニカルな話題に重心が置かれるが、この本は違う。目標のマネジメント、人のマネジメント、組織のマネジメント、コミュニケーションのマネジメント、アイディアのマネジメントなど、本来のプロジェクトマネジメントのイシューを中心にして組み立てられている。具体的な内容は、目次を参考にしてほしいが、開発マネジメントについても、手法ではなく、仕事の進め方としてのポイントが書いてある。

ソフトウエア開発プロジェクトは、ハードウェアのプロジェクトとは違うと主張する人がよくいる。プロジェクトファシリテーションなどが妙にはやっているのもその流れだと思割れる。

しかし、この本を読んでいると、決してそんなことはないと思い知らされるだろう。ソフトウエアという商品の特性は確かにある。

しかし、そこで必要なマネジメントはハードウェアや、ソフトウエア以上にソフト的なサービス開発プロジェクトとなんら変わらない。マイクロソフトという会社のやり方は昔から何かと批判の対象になることが多かった。古くはDOSをめぐるビジネスのスタンス、Windowsに代表されるGUI環境ビジネス、最近ではインターネットへのアプローチなどだ。しかし、結局、最後に勝つのは、MSだった。

その秘訣はマネジメントがビジネスを意識したものであることと無縁ではないだろう。この本は、プロジェクトマネジメントに関心を持つ人に読んでほしいのはもちろんだが、もう少し、広く、マネジメントに関心をもつ人にもぜひ読んでほしい一冊である。ソフトウエアエンジニアリングの知識がない人が読んでも分からないところは少ないだろう。

マーケティングは50%がアートで、50%がサイエンスだといわれる。プロジェクトマネジメントもそういった側面がある。特に、MSが展開しているようなビジネスを強く意識したプロジェクトマネジメントはアートの要素が多い(エンジニアの人は自分たちの領域の方がアートの要素が多いと思っているかもしれないが、それは勘違い)。

その意味で、この本に書いてあることはまさに、プロジェクトマネジメントのアートの部分だ。

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2006年7月29日 (土)

超トヨタ式

4876885540 村上豊「現場はもっと強くなる 超トヨタ式・チーム力最大化の技術」、幸福の科学出版(2006)

お奨め度:★★★1/2

デンソーの元工場長が書いたチーム力を引き出す技術の解説。見える化、5回のなぜ、現地現物、5Sなど、トヨタ方式を構成する有名な手法のデンソーでの実践方法の解説をかなり詳しく書いてある。

ビジネスの形態が変わり、トヨタに現場が少なくなり、本当のトヨタ方式がより有効に活用されているのはサプライヤーだという説がある。その中でも、「トヨタよりトヨタらしい」といわれているデンソーで、元工場長をしていた著者が書いた本だけに、知りたいところが随所に書いてある。「超・トヨタ」とタイトルされているが、確かに、そうかもしれないと思わせる部分も多い。

ちょっと話は変わるが、トヨタ方式を体系的にまとめた本としては、

ザ・トヨタウェイ

が著名である。残念ながら日本人が書いたトヨタ本で、科学し、体系化していると感じられるものは皆無だった。この本は、珍しく科学されている。

構成はチーム力最大化のポイントということで16ポイントを上げ、それぞれ、何をしていたかを説明しているが、例えば、このひとつに

成長サイクルと成果サイクルを同時に回せ

ということで、その方法を書いている。トヨタ方式の基本は成長と成果の両立ということだが、その具体的なサイクルを明確にしたのは初めてだと思う。

そのような書き方であるので、非常に使いやすい書き方の本である。

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2006年7月 2日 (日)

学習する組織のバイブルから、未来のマネジメントのバイブルへ

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ピーター・M. センゲ:「最強組織の法則―新時代のチームワークとは何か」、徳間書店(1995)

お奨め度:★★★★★

組織学習のバイブル。組織がシステムであることを正視させる本。組織論の分野でも大きな影響を与えている1冊である。

この本では、学習する組織では

自己マスタリー(personal mastery)
メンタル・モデルの克服(mental models)
共有ビジョン(shared vision)
チーム学習(team learning)

の5つの原理と、これらを統合するシステム思考(systems thinking)の5つの原理が必要だと述べている。

組織論として、ひとつの理論だが、ビジネスシステムという概念で企業やビジネスを見た場合、本書のような視点で組織を捉える意味は大きく、また、発展性がある。90年代終わりからずっとビジネス、とりわけ組織に大きな影響を与えてきた1冊であるが、真価がはっきりするのはむしろ、これからかもしれない。

ビジネスマンとしては、ぜひ、読んでおきたい1冊である。

また、この本には、2冊のフィールドブックがある。

453231075x09 一冊は5つの法則を如何に適用していくかを解説した本である。

ピーター・センゲ(柴田昌治訳)「フィールドブック 学習する組織「5つの能力」 企業変革を進める最強ツール」、日本経済新聞社(2003)

フィールドブックであるので、5つの原則が何を言っているのかが具体的な行動像を通じてよく分かる。もちろん、フィールドブックとして実際に使えるようなレベルのものである。

もう一冊は、5つの原則を実行するために、組織にはどのような変革課題があるかを解説し、その課題を解消するためのフィールドブックがある。上のフィールドブックとの関係としては問題解決編453231131409_1という位置づけになっている。

ピーター・センゲ(柴田昌治、牧野元三、スコラコンサルト訳)「フィールドブック 学習する組織「10の変革課題」―なぜ全社改革は失敗するのか?」、日本経済新聞社(2004)

学習する組織の構築の具体的なヒント、フィールドワークの指針も得られる貴重な本だ。必ず併せて読みたい。

(初稿:2005年3月2日)

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2006年5月14日 (日)

西遊記に学ぶチームマネジメント

482071672701lzzzzzzz_1 成君憶、呉常春(泉京鹿訳)「水煮西遊記    中国ビジネス思想の源流を知る」、日本能率協会マネジメントセンター(2006)

お奨め度:★★★★

西遊記は概略は誰でも知っている話だが、チームマネジメントの話をするときに引き合いに出すと分かりやすい。単純な話だと、桃太郎伝説のイヌ、キジ、サルがあるが、この組み合わせは典型的な機能組織のイメージである。これに較べると、西遊記の組織はもう少し複雑さがあって、まさにプロジェクトチームの妙味があり、三蔵法師の行動もチームマネジメントとして興味深い。そんなことを以前から思っていたが、この本はまさに、ヒット!

また、キャリアという視点からのチームマネジメントについてもいろいろな考察があるので、キャリアデザインを好書である。

これをいろいろな視点から分析した本である。興味深いのは、中国のビジネス習慣を前提にした解説になっている点。この本を読めば、中国の考え方が分かるかも!?

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2005年11月14日 (月)

6人で9人分の仕事をする

4569616232 インタービジョン総合研究所, 小林 惠智「プロジェクトリーダーのための入門チームマネジメント―6人で9人分の仕事をする組織最適化の法則」、PHP研究所(2001)

お奨め度:★★★★

FFS(Five Factors & Stress)理論をベースにしたチームマネジメントの入門書。

FFS理論とは組織人事心理学者の小林惠智先生が提唱された理論体系である。1979年から米国国防機関の依頼で人事関連費用(人件費・教育訓練費等)を押さえつつ、労働強化なしに組織生産性を上げる事を目的として開発された理論。

その際の成果として検証されたデータでは、無作為で集めたチームは、10名集めても約6名分のアウトプットしか達成されなかったが、FFS理論で設計したチームでは、同質型人材を集めた場合は6名集めた時に約9名分、異質な人材で補完関係が成立するチームを集めた場合は8名で12名分のアウトプットを達成したという有名なデータがあり、これがFFS理論を有名にした。

この本は、一般的なチームマネジメントの問題、それにFFS理論が如何なる答えを与えるかをわかりやすく解説している。FFS理論はツールがASP提供されており、気軽に使えることも魅力である。

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2005年10月 4日 (火)

チームマネジメントの最強テキスト

82011818 リチャード・ハックマン(田中滋訳)「ハーバードで学ぶ「デキるチーム」5つの条件―チームリーダーの〈常識〉」、生産性出版(2005)

お奨め度:★★★★1/2

日本でチームがリアリティをもって受け入れられない理由は、おそらく、話は分かるが実際どうするんだという素朴な疑問だと思う。

僕がマネジメント3点セットと呼んでいるリーダーシップ、(マネジメント)コミュニケーション、チームの中で、本当にみんなが試行錯誤しているのはリーダーシップであるが、チームとコミュニケーションについては、欧米では、相当、具体的な手法に踏み込んで本がたくさんある。

その中で、チームに関する極上の一冊がこの本である(ちなみに、コミュニケーションに関しては、同じシリーズで出ている「ハーバードで学ぶマネジメント・コミュニケーション」だと思う)。

この本では、いきなり、クイズが出てくる。オハイオ州の小学4年生のために作られた学力測定テストの問題である。

問3 ひとつの仕事(例えば家の建築)に数名で取り組む場合、この仕事はおそらく

 (1)1人でするよりも早く終わる

 (2)1人でするよりも時間がかかる

 (3)終わらない

という問題で、正解は(1)だそうである。そして、筆者はこれに首を傾げる。ここからこの本は始まる。

そして、

 ・チームのビジョンと方針

 ・チームの構造

 ・チームの制度

 ・チームに必要なコーチングの体制

という視点で、チーム作りのソリューションを提案している。さらに、この後、チームリーダーのあり方やものの考え方についても提案をしている。

この本を読んでみて、やっぱり、チームマネジメントなど必要ないと思えれば、それでいいと思う。そんな1冊である。

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2005年8月10日 (水)

チームマネジメントのバイブル

4478430098ジョン・R. カッツェンバック、ダグラス・K. スミス(吉良 直人、横山 禎徳)「「高業績チーム」の知恵―企業を革新する自己実現型組織」、ダイヤモンド社(1994)

お奨め度:★★★★1/2

チームマネジメントの金字塔ともいえる1冊。

チームとは何かという議論から始まり、如何にチームを作っていくか、リーダーシップはどうあるべきか、チームの業績を如何に計測すべきかなど、チームマネジメントに関するあらゆる問題に対して、現在のチームマネジメント理論の下敷きとなる理論を唱えている。

ドラッカーが「マネジメントを発明した」とすれば、カッツェンバックは「チームマネジメントを発明した」といえる。この1冊を読まずして、チームマネジメントを語るべからず!

# この本は、例によって、絶版されています。さすがダイヤモンド社!

アマゾンではずっと品切れでしたが、たまたま、今、見たら、古本(ユーズド)が出品されていたので、記事を書きました。ただし、一番安いのが、6300円です。ちなみに定価は2900円です。これも良書の証明でしょう!

品切れになっていたらすみません。

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2005年7月22日 (金)

ゲームで会議を活性化

4887593821 ブライアン・コール・ミラー(富樫奈美子訳)「15分でできるチーム・ビルディング・ゲーム」、ディスカヴァートゥエンティワン(2005)

お奨め度:★★★

簡単にチームビルディングに役立つゲームを39種類紹介している。

・初対面のメンバーが親しくなるゲーム

・チームが盛り上がって活性化するゲーム

・チームに交渉力・創造力がつくゲーム

・変化に負けないチームを作るゲーム

の4カテゴリのゲームがある。

ゲームというと、研修のときのものというイメージがある人が多いと思うが、たとえば、会議のときにちょっといれると、会議の雰囲気がガラッと変わることがよくある。リーダーはこの種のゲームは手持ちのものをいくつか準備しておいた方がよい。

もちろん、インストラクターをする人にも必須。

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