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2009年5月

2009年5月31日 (日)

「語り」と「騙り」

4779503477 金井 壽宏、高井 俊次、中西 眞知子、森岡 正芳編著「語りと騙りの間―羅生門的現実と人間のレスポンシビリティー(対応・呼応・責任)  」、ナカニシヤ出版(2009)

お奨め度:★★★1/2

語りの真実や責任について考察した論文集。このテーマで3つのパートに分け、

○語りが生み出す「ともに生きる世界」
・語りと騙りの間を活かす ―セラピーの場で―
・看護師に内在する語りと傾聴の様相
・演劇と語り ―声と身体の共振・共酔の世界―
○語りを可能とする仕掛け 
・リーダー人物の語りとリーダーシップ現象の時空間 ―世代継承的夢の語り―
・叙事詩の語り口 ―日本人が「語る」チンギス・ハーン―
・語りと成熟の仕掛けとしての地域社会 ―中高年におけるコンボイの形成と自己の語りなおし―
○実践のなかの語り
・地域ブランドと「語り」建築の創作における語り
・建築の創作における語り
・言葉のなかの倫理的なまなざし ―組織の語りと不祥事―
・語りと再帰性 ―語りから社会・制度へ 社会・制度から語りへ―

の10本の論文を採録している。

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2009年5月30日 (土)

座右の書 カテゴリー新設のお知らせ

カテゴリーに

 座右の書

 https://mat.lekumo.biz/books/cat5658085/index.html

というカテゴリーを作りました。

僕は、新しい仕事とするときには、仕事が始まる前に、必ず、1~2冊、本を読む習慣があります。その仕事への「視座」を作るためです。

そのために使う本です。

なんてカテゴリーにしようかと思ったのですが、コンサルタントとしては、やはり、これも座右の書だと思い、このカテゴリータイトルにしました。

とりあえず、今まで紹介した本の中から、拾ってあります。今後は、このカテゴリーに入る本ということでも、書籍の紹介をしていきたいと思います。

それから、また、突っ込まれそうなので、先に書いておきますが、このカテゴリーとお奨め度は、直接関係ありません。お奨め度は、あくまでも、いくつかのビジネスマンのモデルを想定し、モデルの視点からつけているものです。

ときどき、出版社や著者の方から評価基準の問い合わせを受けますが、そういうことです。市場価値を評価しているわけではありませんし、自分にとってどのくらい価値があるかということでもありません。

ただし、★3つ未満のものは紹介記事では取り上げていませんので、その点では一定の評価をしています。

目的と目標の違い、分かります?【ほぼ日読書日記 2009年5月29日】

目標達成の方法について書かれた本はたくさんあるが、「目的」を対象にした本はあるようでない。この本は意味がある。願わくば、浜口さんのネームバリューでたくさん、売れてこのような議論が活性化することを願う。

浜口 直太、上野 則男「「目的達成」の教科書」、ゴマブックス(2009)

このテーマでは、少し古い本だが、山崎 康司さんの

山崎 康司「オブジェクティブ&ゴール―行動の思考法・行動の組織術」、講談社(2003)4062117452

がよい。相当しっかりと体系化されているが、難点は抽象的であり、難しいこと。どちらかといえば、コンサルタントなどの専門家を想定して書かれている。

その点で、浜口さんの本は、自己啓発書的な書き方で、一般的なビジネスリーダーを対象にしているように思う。山崎さんがこの本を書いた時代と今では、このような思考法を必要としている人の範囲が変わってきているということだろう。

一言でいえば、戦略思考が普及してきたことだが、誰もがこのような思考を必要とする時代にうまくマッチした、リーダーであれば誰が読んでも分かる本。

重要なテーマなので、早いうちに紹介したい。

2009年5月29日 (金)

合理的な問題解決アプローチ

4478750068 佐藤 允一 「新版 図解・問題解決入門―問題の見つけ方と手の打ち方、新版版」、ダイヤモンド社(2003)

お奨め度:★★★★★+α

問題解決本のバイブル。

問題解決は戦略と並ぶビジネスの両輪である。

その問題解決の分野で、1987年に出版され、ずっと定番本の位置を守ってきている。さすがにこの数年、問題解決本の出版が相次ぎ、売れ行きは落ちているようだが、未だにこの本を超えるレベルの問題解決本には出会わない。多くの本は、この本の一部を切り出して易しくしたり、独自の視点を付け加えたようになっている。その意味で、この本はまさに、日本の問題解決のバイブルだといっても過言でないだろう。

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1人も1億人も同じ【ほぼ日読書日記 2009年5月28日】

マツダヒロミさんの新刊。

マツダ ミヒロ「やめる力」、中経出版(2009)

いろんな意味でうまい作り方の本。表紙になにげに、老眼には見えないような字で「Quit to Begin」と書かれている。この

 やめる力 → はじめる力

というフレームがすばらしい。変わるってことだが、変わるっていうよりはるかにインパクトがある。戦略実行や組織でも使えそうなフレームワーク。このフレームを使って勧めていることに関してはコメントしない。個人の信条の問題。

もう一冊読んだのは、日テレのプロデューサーの書かれた仕事術本。

福士 睦「1億人を動かす技術」、ダイヤモンド社(2009)

この本は超・お奨め。

著者は「世界一受けたい授業」の企画者。コミュニケーションの方法と、発想の方法を書いている。もちろん、原体験はテレビの番組づくりなのだが、テレビっていうのは、普段みているからか納得感がある。

紹介記事を書くので、そこで詳しく書くが、たとえば、ひな壇で隣に誰を座らせるかという話はチーム編成に大変参考になる。良くも悪くも、テレビには人間が凝縮されているということを痛感しました。はい。

この本は、この前読んだ、清水先生の「経営の神は細部に宿る」のヒューマンスキル版だな。

「影響力の法則」を実践する

4419053003 アラン・コーエン、デビッド・ブラッドフォード(高嶋 薫、高嶋 成豪訳)「続・影響力の法則―ステークホルダーを動かす戦術」、税務経理協会(2009)

お奨め度:★★★★★

2007年に同じ訳者で翻訳出版された「影響力の法則」は、原書「Influnence without Autohrity」の1章~9章を訳したもの。残りの10章~17章を翻訳したのが本書と訳者の前書きに書いてあるのだが、なぜか本書は7章構成。まあ、細かいことは気にしないということで。

また、本書には訳者による影響力の法則ミニセッション的なページが冒頭にもうけられているので、一同、前書を読まなくても読めるようになっている。

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2009年5月28日 (木)

Are you hungry?【ほぼ日読書日記 2009年5月27日】

今日は予定行動。昼間、某社のコンサル。夕方、終わったら、とりあえず、汐留に戻り、リブロ汐留店で購入。ホテルで5時間かけて、読みました。満足。心地よい疲れ。

村上春樹「1Q84」、新潮社(2009)

ビジネス書ではないので、中身は紹介しない。

というのはウソ。この本は著者の「予断を持たずに読んでほしい」という意向があるだとかで、アマゾンにも一切の記述がない。これはこれで目立つが、、、僕も何も触れないことにした。

アマゾンでこの本に書評がつくかどうか、興味津々。村上春樹ファンはつけないだろうな、、、

ビジネス書から外れたついでに、昨日、今岡純代さんが亡くなった。大学の頃から、中島梓さん、栗本薫さんともにファンだったのでとても残念。まだ、若いのに。冥福をお祈りします。

「1Q84」は、アマゾンで予約が2万冊以上あるとかいう話を誰かに聞いた。

最近、アマゾンでハングリーマーケットを作るような販促をしている出版社が多い。アマゾンがすべて実売であることを考えるとこの戦略はエクセレントな戦略だといえる。

ビジネス書では、大前研一氏、神田 昌典さん、金井壽宏先生、問題解決の授業の渡辺健介さんといったところが目立っていた。村上春樹氏とは桁が、ひょっとすると2桁違うんだろうけど。

大前 研一「大前の頭脳」、日経BP社(2009/6/25)
神田 昌典「全脳思考」、ダイヤモンド社(2009/6/12)
金井 壽宏「危機の時代の「やる気」学」、ソフトバンククリエイティブ (2009/5/29)

以上は当然ながら未読。金井先生の本はともかく、上の2冊のようなタイトルの本が出てきたというのは、ついに、自己啓発書ブームも終焉だな。

渡辺さんの本は、もう出版されているので、読んだ後で感想を書く。

勝間和代さんの訳本でハングリーマーケティングらしきことを仕掛けた出版社があったのは笑ってしまった。これはデザートマーケティングだな(笑)

渡辺健介さんの本は、問題解決の授業に予告を入れて、増刷をかけるというあまり見かけないことをやっていた。奥付のあとにほかの本の宣伝を入れている本屋は多いが、帯というのは意外といいかも。Aさんの本の帯に○間本の予告入れるって究極のクロスセリングかも(笑)。

2009年5月27日 (水)

あいまいはよくないのか【ほぼ日読書日記 2009年5月26日】

先週の土曜日から、事務所の引っ越しなどでばたばたしていて本を読む気にならない。そんな中で、ぺらぺらとめっくった新書に思わぬ、当たり。

この1年くらい、印象に残っている本はほとんど新書だ。各出版社はこぞって新書に参入するが、実際に、優秀な編集者の多くを新書に投入しているんじゃないかと思うくらい。

さて、今日の当たり本。

呉 善花「日本の曖昧力」、PHP研究所(2009)

あいまいであることは、悪いことなのだろうか?この問題を考えさせられる。

日立系の会社の社長を務められたあとで、プロジェクトマネジメントに関するいろいろな経験や知見を本や講演で披露されている名内泰藏さんという方がいらっしゃる。名内さんの論点は曖昧性とどうつきあうかというもの。本もおもしろいし、講演も一度聴く機会があったが、たいへん、おもしろかった。

名内 泰蔵「曖昧性とのたたかい―体験的プロジェクトマネジメント論」、翔泳社(2005)

ただ、多少の違和感が残った。この本を読んでいて、その違和感が何かわかったような気がした。

あいまいという言葉は、少なくともビジネスワードでネガティブになっているが、韓国出身の比較文化学者である呉 善花さんは、これがこれからの世界の求めるものになるだろうと指摘している。調和がとれた人間関係とか、環境への順応性ということが求められるからだという。

ビジネスでも本当に成果を求めるのであれば、曖昧性を排除することはすべきではない。たとえば、分担の曖昧性。勤勉な国民性を持つ日本では、分担の曖昧性はプラスであった。本当の意味で成果にコミットするからだ。

では、もの作りにおいては曖昧性は悪か?たしかに、仕様が曖昧なままではモノやシステムは作れない。

だからそれを悪いモノだと前提にして考えるのがよいかというとそうとは言い切れない。そんなことすら感じさせる本。

2009年5月22日 (金)

マネジャー育成現場のエスノグラフィー【ほぼ日読書日記 2009年5月22日】

おもしろかったので、新幹線の2時間で一挙に読んだ。

どちらかと言えばMBAに批判的な本であろうが、本質的に批判だとは思わない。どちらかというとなかなかよくできた「エスノグラフィー」である。ここから見える未来もある。

それをわざわざ、最終章のタイトルをサブタイトルに引っ張り出し、MBAの批判論者を監訳者に仕立て、こういうテーストの本に仕立てるところに、世間さまを感じる。

フィリップ・デルヴス・ブロートン(岩瀬 大輔監訳、吉澤 康子訳)「ハーバードビジネススクール 不幸な人間の製造工場」、日経BP社(2009)

日本では、MBAの必要性や意味は二元論で語られ勝ちだ。

しかし、本来二元論で語られるものではなく、それは米国でも一緒。これは、たとえば、ミンツバーグ先生の

ヘンリー・ミンツバーグ(池村 千秋)「MBAが会社を滅ぼす マネジャーの正しい育て方」、日経BP社(2006)

を読んでもよくわかる。マネジャーを育てるという仕事はそれだけ難しい仕事であり、発展途上であるというのがミンツバーグ先生の主張だが、存在自体を否定しているわけではない。問題点の指摘と、問題解決の提案をしているだけである。

この本のタイトルも、「Managers not MBAs」という原題で、よくこういう恣意的なタイトルをつけるなと感じた記憶がある。同じ編集者か?

世間さまが君臨し、理論か経験か、現場か会議室かといった二元論をしている限り、この国にまともな経営をする企業はでてこないだろうな、、、

まあ、せっかく500ページにもわたる優れたエスノグラフィーであるので、しっかりと読んで、自分の頭でこの問題を考えてみてほしい。受け入れるかどうかは別にして、今、世界を支配している(米国流)戦略経営の本質の勉強にもなる。

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プロジェクトマネジメントの大局観を養う

4883732738 稲垣 哲也、一柳 隆芳「ITプロジェクト実践リカバリーマネジメント」、ソフトリサーチセンター(2009)

お奨め度:★★★★

ITプロジェクトのプロジェクトマネジメントの肝要を、成熟度に合わせたリカバリーという視点から整理した一冊。作りとしては、プロジェクトマネジメントの基本的なことを知っている人が、もう少し、専門的な知識を深めるとともに、自分のプロジェクトマネジメントのやり方を振り返り、考えるためにお奨めしたい。

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