金曜の夜。某社長と一緒に食事をし、ホテルに戻って、本を読み出す。今日は良質の本に3冊も当たった。
まず、最初は清宮さんのアクションラーニングの本。清宮さんは「質問会議」でブレークした風があるが、質問会議の中で、「チーム脳」という言葉が独り立ちしたようだ。新作はチーム脳をテーマにした本。
清宮 普美代『「チーム脳」のつくり方~成果を上げつづけるリーダーの仕事術』、WAVE出版(2009)
マーコードモデルのアクションラーニングの本としては、原書、「質問会議」に続いて3冊目だと思うが、3冊の中でこの本がもっともよいと思う。書き方が「能書き」的なのはアクションラーニングのスキームの問題なので仕方ないと思うが、その中でも、一番説得力があるな。
質問会議はプレゼントしてもらったこともあってその後に何人かに感想を聞いたが、ほとんどの人はアクションラーニングではなく、質問本として参考にしているようだった。それはそれで、同等な効果が得られればよいということだろうが、今度はもっと効果が期待できるかな。
もっとよかったのが、こちらの今、売り出し中の柴田陽子さんの本。
柴田陽子「コンセプトライフ」、サンクチュアリパプリッシング(2009)
どう表現すればよいかちょっと悩む本だが、まあ、自伝。ただ、内面を取り扱う本なので、自伝に意味がある。テーマはコンセプト。コンセプトをうまく考えることで、仕事が大化けしたという話がいくつも書いてある。思いっきり、共感した。
昔、神戸大学の加護野先生が経営戦略の講義でおもしろいことを言われていたのを思い出した。日本型経営というのは情をうまく扱っている卓越した経営だが、それを西洋人にいうと、何を考えて判断をしているかわからないといわれる。このギャップを埋めるのは、ビジョンではなく、コンセプトだ。
この話を彷彿させるエピソード満載の本。
昨日読んだ深澤さんもそうだが、この辺の話も感情が微妙に絡んでくる。昼間、プロデュース能力の佐々木さんと打ち合わせをした中でも、この話が論点になった。佐々木さんは、ファジーだと表現するのだが、これは決してロジックの対極にあるものではない。ロジカルな部分と感情の部分を切り分けて、感情の部分に合理性を追求するのはやめようという話だと思う。
ただし、合理性を放棄しただけでは、コミュニケーションできない。表現は必要である。これが加護野先生のいうコンセプトだと思う。
西洋でこれをうまくやっているのは、EQだと思う。
アクションラーニングはコンセプトを鍛える手法だ。そう捉えるとおもしろい。
っていうか、先月、清宮さんと食事をしたときに、これからはコンセプチュアルな思考が重要だというので意気投合した。特に、学習をする際にはそうだと思う。
日本人は学習が得意なのだ。入り口はたくさんあるし、プロセスを回していくのもうまい。しかし、出口を作れなかった。コンセプチュアルな思考や学習の出口はコンセプトだろう。柴田さんの本は、個人的な経験レベルでこのことを教えてくれる。
長くなってきたがもう一冊。
地頭力の細谷功さんの新作。地頭力で書いている本質の追究を、問題解決として方法論化し、それをプロジェクトマネジメントに応用するという内容。物語風に書いている。
細谷 功「地頭力のココロ 本質を見る思考力を育てる物語」、ソフトバンククリエイティブ(2009)
これから特に、PMBOKの勉強をしようとしている人にお勧めしたい本。形から入らずに、まず、本質から入ることの重要性がよくわかる。まあ、PMPの人がこの本を読んでも、プロジェクトマネジメントで普通に言われていることをストーリー仕立てで書いただけだとしか思わない人が多いと思うが、そうなる前に手にとってほしい本だ。
この本も結局のところ、コンセプトの重要さを述べている本。
ということで、今日の日記はコンセプトワーク3冊でした。
最近のコメント