マネジャー育成現場のエスノグラフィー【ほぼ日読書日記 2009年5月22日】
おもしろかったので、新幹線の2時間で一挙に読んだ。
どちらかと言えばMBAに批判的な本であろうが、本質的に批判だとは思わない。どちらかというとなかなかよくできた「エスノグラフィー」である。ここから見える未来もある。
それをわざわざ、最終章のタイトルをサブタイトルに引っ張り出し、MBAの批判論者を監訳者に仕立て、こういうテーストの本に仕立てるところに、世間さまを感じる。
フィリップ・デルヴス・ブロートン(岩瀬 大輔監訳、吉澤 康子訳)「ハーバードビジネススクール 不幸な人間の製造工場」、日経BP社(2009)
日本では、MBAの必要性や意味は二元論で語られ勝ちだ。
しかし、本来二元論で語られるものではなく、それは米国でも一緒。これは、たとえば、ミンツバーグ先生の
ヘンリー・ミンツバーグ(池村 千秋)「MBAが会社を滅ぼす マネジャーの正しい育て方」、日経BP社(2006)
を読んでもよくわかる。マネジャーを育てるという仕事はそれだけ難しい仕事であり、発展途上であるというのがミンツバーグ先生の主張だが、存在自体を否定しているわけではない。問題点の指摘と、問題解決の提案をしているだけである。
この本のタイトルも、「Managers not MBAs」という原題で、よくこういう恣意的なタイトルをつけるなと感じた記憶がある。同じ編集者か?
世間さまが君臨し、理論か経験か、現場か会議室かといった二元論をしている限り、この国にまともな経営をする企業はでてこないだろうな、、、
まあ、せっかく500ページにもわたる優れたエスノグラフィーであるので、しっかりと読んで、自分の頭でこの問題を考えてみてほしい。受け入れるかどうかは別にして、今、世界を支配している(米国流)戦略経営の本質の勉強にもなる。
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