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2009年2月

2009年2月28日 (土)

プロジェティスタのバイブル!

4622073900 エンツォ・マーリ(田代 かおる訳)「プロジェクトとパッション」、みすず書房(2009)

お奨め度:★★★★★

イタリアの巨匠エンツォ・マーリのプロジェクトデザイン論。

エンツォ・マーリは伝説的なモダンデザインの工房「ダネーゼ」とのコラボレーションを開始して、世界中に名を覇せた工業デザイナーである。日本では無印良品のデザイナーとして有名である。この本は自身のプロジェッティスタとしての考えをまとめ、後輩に伝えることを目的として書かれたプロジェクト哲学の書である。こういう本を書いてくれる人がいるというのがイタリアだと思わせる一冊。

■■■■■■【目次】■■■■■■

第1章 斧の一撃のものがたり
第2章 三つの地平線
第3章 必要、そしてまた必要
第4章 自然の方法論
第5章 学生へのいくつかの助言

■■■■■■■■■■■■■■■■

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2009年2月27日 (金)

【ほぼ日 読書日記】2009年2月26日

テレビの報道番組のコメンテータで見て、そのコメントの質の高さに注目していたが、この本はその期待を裏切らない。一度さっと読んで、有料メルマガのネタに使い、もう一度すぐに読み直した。

4478007659_2 藤井 清孝「グローバル・マインド 超一流の思考原理―日本人はなぜ正解のない問題に弱いのか」、ダイヤモンド社(2009)

自分の仕事の深みに入り込んでいって、自分の主義主張を語れる人というのは、結構いる。職人系の人、研究者(大学の先生)など。

でも、彼のようにキャリアを綴る中で、自分の主義主張を語れる人はそんなにはいないように思う。ぱっと思いつくのは、岡野工業の岡野 雅行さん。この人の言っていることはプロフェッショナルを超えて、すごみを感じる。

30年だもんなあ。キャリアの節目がきっちりマネジメントされているって感じの人生。自己決定をしているし。今はっていうか、昨年までは東大生の上位はこぞって外資系金融に行くって「悩む力」の姜尚中先生がよく言われているが、30年前に、灘高校から東大法学部に言って、三菱商事の内定を蹴って、マッキンゼーに行くって言うのはすごいことだと思う。

そのあとのキャリアの中では、ケイデンスのイノベーションの孵化器という話が一番おもしろかった。また、ヴィトンの話の中では、日米欧のブランド論というのが印象に残る。

この本でもっとも共感したいのは、本のテーマになっている「日本人はなぜ正解のない問題に弱いのか」に対する論旨。ちょうどよい機会なので「ひとつ上のプロマネ。」ブログに記事も書いた。こちらでかなり詳しく紹介している。

「正解への呪縛」から解き放たれる

さて、今日は寝る前にもう一冊、読んだ。復刊で、すでに読んだ本だったので軽く読み流す。コロンビア大学の哲学の教授、ジョシュア・ハルバースタム先生の「Work」の翻訳。

4887596839 ジョシュア・ハルバースタム(桜田 直美訳)「仕事と幸福、そして人生について」、ディスカヴァー・トゥエンティワン(2009)

僕がワークライフバランスの本にあまり興味を持たないのは、2000年に出たこの本で終わっていると思っているから。この本の水準を超えた議論をすることは並大抵ではないと思う。この分野の本をこれだけ体系的に、かつ説得力を持ってかける人は日本国内では見あたらないので、これからも出てこないだろう。

かといって、仕事術としてワークライフバランスを語るのは聞くに堪えない。ある時点で切り取れば確かに仕事術である。語れる人は大勢いるだろう。しかし、ライフワークのライフとは人生で、ワークとはキャリアである。その2つの壮大なテーマのバランスなど、語れる人がそうそういるとは思えない。

このテーマはそんなテーマではないだろう。自分でじっくりと考えるテーマだ。その道しるべを与えてくれる貴重な本。

原著が絶版されていたとは知らなかった。どういう事情で復刊されたかは書かれていないが、喜ばしいことだ。結果として良かったかどうかは別にして、丹羽宇一郎さんの前書き、そして千場弓子社長のあとがきとくれば、力が入っていることはわかる。

いずれ、紹介記事を書こうと思っているが、プロジェクトで仕事をしている人には、ぜひ、読んでほしい本である。

2009年2月26日 (木)

【ほぼ日 読書日記】2009年2月25日

昨日の日記はやりすぎた。とりあえず、写真の掲載は、その日によんだ本だけにしよう。。

ということで、さて、今日、読んだ本の1冊目。

4062725029 可兒 鈴一郎『世界でいちばんやる気がないのは日本人――成果主義が破壊した「ジャパン・アズ・No.1」』、講談社(2008)

まあ、言っていることはわかる。共感する部分も多い。ただ、同じ経験をした北欧人に学べというのは、あまり、訴えるものがないように感じる。まあ、そういう世界に育ってこられた方のようなので、そういう価値観なのだろう。

この本に書かれている問題の本質を知りたいなら、太田先生の本を何冊か、読んでみるべきだ。とりあえず、この辺がお奨め。

太田 肇「お金より名誉のモチベーション論 <承認欲求>を刺激して人を動かす」、東洋経済新報社(2007)

太田 肇「承認欲求―「認められたい」をどう活かすか?」、東洋経済新報社(2007)

この理屈をマネジャー相手に展開できるといいのだが。

はい、もう一冊。

4492556338 秋元 征紘「こうして私は外資4社のトップになった」、東洋経済新報社(2009)

本のコンセプトは

勝間 和代「勝間和代のビジネス頭を創る7つのフレームワーク力 ビジネス思考法の基本と実践」、ディスカヴァー・トゥエンティワン(2008)

に似ているが、こっちの方がいいのではないかと思う。やっぱり、実際にマネジメントの現場で身につけた考えは説得力が違う。何よりも感心したのは、ロジックとベタのバランスの良さだ。この本はいずれ紹介記事を書くので詳しくそのとき書くが、やたらと論理的なスキームを持ち込んできたのはコンサルタントであるということをもう一度、認識しておく必要がある。

コンサルタントはそれで商売になるが、経営者はどこかで現実適合する必要がある。そこでベタな論理が必要になるのだが、ここを如何に筋よく作れるかがその人の器だろう。秋元 征紘さんという方はそこがすばらしい。

2009年2月25日 (水)

なぜ、米国の労働制度は日本でうまく機能しないのか

4492532536 冷泉 彰彦「アメリカモデルの終焉、金融危機が暴露した虚構の労働改革」、東洋経済新報社(2009)

お奨め度:★★★★1/2

大学卒業後、米国に留学し、日米で企業勤務を経験し、その後、米国に移住し、大学講師をつとめ、現在は日本語学校に勤務している著者の組織や労働に対する日米比較分析。キャリアからわかるように両国の現場を知っているだけに非常に説得力のある分析が並んでいる。企業でマネジメントに関わる人にはたいへん、参考になる本だ。

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2009年2月24日 (火)

【ほぼ日 読書日記】2009年2月24日

メインに日記を持ってきてから、日記に本の写真を入れてくれと言う要望が数人からあった。チョコットやってみましょうか。感想など、あれば、戴けるとうれしいな、、、

ちょっと古い本だが、畑村先生の

4061498703 畑村 洋太郎「組織を強くする技術の伝え方」、講談社(2006)

を読む。

出版は、某日経の誰かが命名して騒ぎ出した2007年問題がきっかけのようだが、そんな一過性のニーズではなく、技術論、コミュニケーションの本質論である。もっとも本質的な指摘は、技術は伝えるものではなく、「伝わる」ものだという指摘だろう。

僕が2007年問題にあまり興味がわかなかった理由はこの点にある。この議論を突き詰め、伝わるものだけが、伝える価値があると思うから。

こんな発言を京都でするのは極めて危険(笑)なのだが、タメに技術を守ってみても仕方ないと考える人なのである。

本当に守りたければ命を賭けることが必要だというのもわかるし、無くなって価値がわかるものもたくさんあることも理解する。そのくらいの多様性は持ち合わせているので、守ろうとする人の立場は理解できる。

その上で、残らなかったものは価値がなかったと考える人なのである。もっといえば、技術が消えていくことは重要なことだとすら思う。技術が消えることによって生まれる技術もある。

実際に、技術というのは文化と違って実用的な側面が強い。実用的である限り、価値の無いものは滅びるのが正しいと思う。ただ、美しさを持つ技術というのは存在する。例えば、刀鍛冶などは美しいと思う。このようなものは技術ではなく、工芸として残せばよい。

っていうと、また、かみつかれそうなので、この議論はここまでにして、もう一冊。

キャメルヤマモトさんの新作

4532490472 ヤマモト キャメル、太田 智「グローバルリーダー開発シナリオ」、日本経済新聞出版社(2009)

キャメルヤマモトさんの著書はかなり読んでいるが、

ヤマモト キャメル「鷲の人、龍の人、桜の人―米中日のビジネス行動原理」、集英社(2007)

4087203816 にたいへん共感を覚えている。今回の本は、背景にこのような国民感があると思って読むと、なかなか、興味深い。これは、キャメルさんのいう体感知に近いと思う。

キャメル・ヤマモト「キャメル・ヤマモトの「体感知」の技法―むずかしい仕事が必ずラクになる」、海竜社(2005)

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マネジャーが洞察するための最強ツール

4478006547 P.F.ドラッカー著、特別寄稿:ジム・コリンズ、フィリプ・コトラー、ジェームズ・クーゼス、ジュディス・ローディン、カストゥーリ・ランガン、フランシス・ヘッセルバイン(上田惇生訳)「経営者に贈る5つの質問」、ダイヤモンド社(2009)お奨め度:★★★★★

15年前に、ドラッカーの冠をつけた財団「ピーター・F・ドラッカーNPO財団」(現在はリーダー・トゥー・リーダー財団に改称)ができたときに、その存在意義を問うためにドラッカーが発した5つの質問を紹介した本。

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2009年2月23日 (月)

【ほぼ日 読書日記】2009年2月23日

こういう本ができていたのか。

P.F.ドラッカー著、特別寄稿:ジム・コリンズ、フィリプ・コトラー、ジェームズ・クーゼス、ジュディス・ローディン、カストゥーリ・ランガン、フランシス・ヘッセルバイン(上田惇生訳)「経営者に贈る5つの質問」、ダイヤモンド社(2009)

知識と意図を行動に変えるか。上田先生は、この5つの質問がドラッカー経営学の神髄であると言われている。

質問会議という本が出てみたり、ヒューマンスキルの中でも質問することの重要性は認識が高まっている。僕はどうも違和感を持っているのだが、この本を読んでよくわかった。問いとは、考えて考えて考え抜かれた結果である。

質問は哲学の結晶であって、キャッチボールのように簡単に発すべきものではないのかもしれない。

それなりの質問はそれなりの気づきしか与えない。考え抜かれた質問は、深い洞察を与えるってことか。そう考えると、質問をコミュニケーションのツールに使うというのは、間違いかもしれない、、、

断っておくが僕は質問型のコミュニケーションには超肯定派である。その僕がそう感じた本ってことだ。

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【ほぼ日 読書日記】2009年2月22日

組み合わせのオーケストラ、擦り合わせのジャズ
組み合わせのアメフト、擦り合わせのサッカー

辺見 芳弘「「擦り合わせ」思考力 1+1=10の成果を挙げる発想&実践術」、PHP研究所(2009)

この本で披露されているミメロギア。音楽の好きな人なら、ジャズとオーケストラ、スポーツが好きな人なら、アメフトとサッカー。

なかなか、良くできたミメロギアである。

ミメロギアについてはこちらの記事を参照。
https://mat.lekumo.biz/ppf/2009/01/post-7fd1.html

問題意識はたいへんおもしろいと思った。ただ、なんかもやもやしているのは、本当に著者がいうような「ふくらまし」、「ええとこどり」、「メッセージ目線化」の3ステップで「擦り合わせ」なるものが実現できるのか?

この3ステップというのは、WinWinの関係構築の行動ステップにそっくりである。その意味では妥当なのかもしれない。

僕のイメージでいうと、擦り合わせというのはもっといいもののような気がする。コンサルティング系の発想なので、かなり、力業のようなイメージなのだが、何かとても本質的なものが抜けているようなぎこちなさがある。単に、僕の本の読み方が足らないだけかもしれない。

非常に気になる本ではあるので、日を改めて丁寧に読んでみよう。アメフトとサッカーの間には、もっと何か本質的な違いがあるようにも思うのだ。

2009年2月22日 (日)

【ほぼ日 読書日記】2009年2月21日

新規プレゼント開始。

佐々木さんの「プロデュース能力」のサイン本。当選者の名前を入れたサインを貰える手はずになっている。こちらから応募してください。

さて、佐々木さんとメールのやりとりしながら、プレゼントのページを完成させたのち、ちょっと長めのお昼をとって、本を1冊読む。っていうか、その辺にあった本を一冊持って食事に出ただけだが、、

田原 祐子「あなたは、部下のやる気をなくさせていませんか? 」、インデックス・コミュニケーションズ(2009)

「枠」「軸」「船」か。どういう関係なのだろう?

っていうか、このオビに書かれている言葉は、三間連結か三位一体だろうと思って読んだのだが、ひょっとすると違うのかもしれない。単なるメタファ?いや、メタファにはなっていないなあ。

チームを三位一体や三間連結で表現するというのは、意外とおもしろいことなかもしれない。今度、考えてみよう。

いきなり、ごちゃごちゃ書いたが、著者は大変なカリスマリーダーらしく、書かれていることはなかなか、説得力があります、ハイ。ただ、よそ行きの本みたいな感じで、こんな言葉で10万人に通用するはずがないので、普段の言葉で書いてほしかったなあ、、、

2009年2月19日 (木)

【ほぼ日 読書日記】2009年2月19日

東京駅の大丸の地下で、まい泉のお弁当を買って、近くの栄松堂書店で、単行本1冊と、新書3冊を購入。

マックス・ウェーバー(中山 元訳)「職業としての政治 職業としての学問」、日経BP社(2009)

有名な名講演2本。もともと、別の本として岩波から出ていた本をまとめた1冊。「職業としての学問」大学のとき、就職しようか、研究者になろうかと迷っていた時期に、恩師の先生のすすめでは4~5回読みなおした。

必ずしも理解したとはいえなかったが、今、改めて読んで見ると、マックス・ウェーバーが言っていることはよくわかる。研究者にならなくて正解だと改めて思った。

もう1本の「職業としての政治」は初めて読んだ。1921年の講演らしいが、今と全く構造が変わっていないのはちょっとびっくり。政治家は一度は読むべき本だな。

2冊目。

PHP総合研究所「エピソードで読む松下幸之助」、PHP研究所(2009)

感動した!これを抽象化した話にしてしまうと、単なるノスタルジア、高度成長期のよき時代の話ということになると思う。

が、読んでいてまったくそう思わない。もし、今、僕が「パナソニック」の社員で、社長が松下幸之助であったら、間違いなく感極まり、幸之助信者になるだろう。

物語というものの持つ力かもしれないし、松下幸之助の神髄がそう思わせるのかもしれない。いずれにしても、企業は人である限り、このように思えるというのはすごいことだなあとつくづく思った。僕も技術者であるので、これを言われたら泣くなと思う話がいくつかあった。

PM養成マガジンプロフェッショナルのPMサプリという企画で、時々、幸之助の言葉をサプリとして取り上げるのだが、そのときは反応が大きい。よくわかる。

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