ほぼ日 読書日記 Feed

2009年7月26日 (日)

卓越したプロフェッショナル論を読む【ほぼ日読書日記 2009年7月26日】

版元からお送り頂いた本。

大橋禅太郎「行動力・力」、サンクチュアリパプリッシング(2009)

さっと読んだが、刺激的なセンテンス、興味を引かれるセンテンスに出会う度に、おっと思ったり、きょとんとして、とりあえず、次に進んでいるうちに、終わってしまった。

読み終わって印象に残ったのは、リッツカールトンのクレドの個人版「マイ・クレド」とコヴィーの優先順位マトリクスを、大橋禅太郎流に書き直したもの。この2つで、信念を持って、戦略的に行動をせよってこと。

確かにそうだなと思う。きちんと読めたわけではないが、結局、この本の内容はこの大橋禅太郎流に集約されるのだろう。すごい○○も突き詰めればそう言っているわけだし、これが大橋さんの信念ということなのだろう。

もう一冊。こっちは自腹。

ジャグディシュ・シース、アンドリュー・ソーベル(羽物 俊樹訳)「選ばれるプロフェッショナル ― クライアントが本当に求めていること」、英治出版(2009)

ずっと読みたかった本なので、よくぞ、翻訳してくださいました。実は、原書を買っていたのだが、英語が難しくて、断念。日本語の訳を読んでもよく分からないところが結構あったが、とりあえず、最後まで読めて満足。

10年前の本であるが、今、まさにプロフェッショナルに求められている、共感力、コラボレーションなどの重要性を説いていることは先見の明だな。

この本は紹介記事を書きたい。最近、空手形が多くて、あまり、当てにならないけど。

決断力はどのように生まれるのか【ほぼ日読書日記 2009年7月25日】

ノール・ティシーとウォレン・ベニスという、リーダーシップに興味を持つ人なら、ゴールデンコンビの共著。

これは読んで置かなくては思って、課題書を読むような感じで、読み出したが、思いのほか、実践的だった。人事、戦略、危機を決断の3大エリアとして、事例を紹介している。読んで気づいてくれと言う感じの構成。

ノール・ティシー、ウォレン・ベニス(宮本 喜一訳) 「JUDGMENT 決断力の構造―優れたリーダーの思考と行動」、ダイヤモンド社(2009)

ほ~っと思ったのが、最後に100ページ近くのページをさいている「決断力を向上させるためのハンドブック」。

たいへん、実践的だと思う。決断と言うことに関しては、日本人と欧米人でかなり、考え方の違いがあるところだと思っていたが、このハンドブックを眺めてみて、分析的に捉えてしまえば、そんなに違うものではないことがよく分かった。

2009年7月25日 (土)

宋 文洲と藤巻 幸夫の新刊を読む【ほぼ日読書日記 2009年7月24日】

またまた、ため日記になってしまった。

7月21日に東京に移動。この際に読んだ本。

長野慶太「TIME×YEN 時間術 (タイムエン時間術) すべての時間を成果に変える31の鉄則」、草思社(2009)

この本は、次のプレゼントです。事情があって、先に紹介記事をかいているので、そちらを読んでください。

「ちがいのわかる」ビジネスパースンの時間術

もう、一冊。

徳谷 昌勇「監査役の条件―8つの新発想でリスクマネジメントを使いこなす」、東洋経済新報社(2009)

この本は、監査役の活動を念頭において、内部統制のリスクマネジメントをとても丁寧に解説してあるので、非常に参考になった。

プロジェクトマネジメントでは、プロアクティブリスクマネジメントが常識であるが、経営組織の内部統制でも、そのような方向に向かっていくことが、明確に分かり、よい本。

東京滞在中は全く本を読まず。24日に京都に戻る新幹線の中で、東京で買った本を2冊読む。

宋 文洲「社員のモチベーションは上げるな!」、幻冬舎(2009)

相変わらずの宋文洲流。

彼のすごいところは、あまり人が言わないような視点から言っていること。この本言っていることはスポンサーシップ論(内発的動機論)である。が、彼独特の視点から書かれているので、たいへん、印象に残る。書籍タイトルも相当なものだが、たとえば、

「ホウレンソウ」の徹底が責任転嫁を生む

という指摘があって、これを下手にやると、責任逃れが蔓延するような組織になってしまうと言っている。こういう現実をみた指摘がやまほどあって、それぞれについて解決策を述べている。それをすべて併せてみると、結局、最近注目さてているスポンサーシップということになる。

もう一冊。こちらも、ファンの多い著者。

藤巻 幸夫「絶対に仕事が楽しくなる ポジティブシンキングの授業 (ビジネスマンの学校)」(2009)

最近、凝っているポジティブ心理学の実践として一つ一つの項目が非常に参考になった。グッドジョブ。最近の何冊かと比べると、この本に書いてあることはその気になれば誰でもできることが多い。それは藤巻さんだからできるんでしょというようなことがあまり書かれていない。

誰でもできるというか、似て非なることをやっているのを、ちょっと気持ちを切り替えてやるといいよって教えてくれる。この辺が、授業なるゆえんだろうか。

2009年7月21日 (火)

新しいコミュニケーションのあり方を学ぶ【ほぼ日読書日記 2009年7月20日】

連休最終日。今日は、セミナーの準備と執筆。夜、1冊、本を読んだ。

清宮 普美代、北川 達夫「対話流―未来を生みだすコミュニケーション」、三省堂(2009)

対話をどう定義するかははっきりしないが、「戦うコミュニケーション」はもう古いという。戦うコミュニケーションというのが何かははっきりしなかったが、その対極にあるのが対話ということだろう。

2人の会話は知的で、刺激的。対話に興味がない人も引き込むようなポテンシャルのものだ。その意味で、すばらしい本。

惜しいなと思うのは、ビジネスと教育という一見違うが、人を育てるということでは同じフィールドで、同じ価値観を持っている人の対談だったこと。

たとえば、ディベート流と対話流が「対話」をして、双方が納得できる答を得るという、企画の本が読みたいなあと思う僕は、対話流ではなく、戦うコミュニケーション流なのかなあ、、、

でも、対話って、弁証法の流儀だし、、、

2009年7月19日 (日)

行動分析学はビジネスに役立つか【ほぼ日読書日記 2009年7月19日】

連休2日目。

今日も朝から夕方まで執筆活動。あまり、はかどらなかったので、夕方から本を読み出した。

舞田 竜宣「社員が惚れる会社のつくり方」、日本実業出版社(2009)

行動分析学を応用したマネジメント。エンゲージメントという概念を提案し、コストをかけないで組織を活性化する方法をかなり体系的に書いてある。できるかどうかは別にして、おもしろいと思った。

ただ、行動分析学の部分で落ちないところが、何カ所かあった。杉山先生や、島宗先生の書かれた行動分析学そのものについて書かれた本を読んでいる分には、興味深く読めるのだが、この本や舞田さんの前作も含めて、最近、よく出版されているビジネスへの応用は、違和感がある部分がある。理屈はわかるのだが、話がきれい過ぎるところに、飲み込みにくさがあるのかもしれない。

あるいは、金井先生が発達心理学を組織論に持ち込まれた初期にも同じような感じを持っていたので、僕がイノベーターではないだけなのかもしれない。

なんか、もやもや感が残ったので、もう一冊、読んだ。

長沢 朋哉「世界一シンプルな戦略の本」、PHP研究所(2009)

ありそうで、なかった本。戦略論を人に教えるときに、どこから行くのかは結構、頭を悩ませるところ。どうしても、ビジョンやミッションから入るが、目的から入る方がすっきりする。いい本。こっちはすっきり!

ぼうずのビジネスモデルを知った【ほぼ日読書日記 2009年7月18日】

連休初日。

ずっと執筆作業に従事。気分転換に読んだ本にはまってしまった(苦笑)。基本的には、お坊さんの暴露本。

ただし、大学で経営学を学び、就職後も「隠れボウズ」として会計事務所に勤務し、税理士の資格を取ったという著者だけあって、切り口は思いっきりビジネス。

ショーエンK「「ぼうず丸もうけ」のカラクリ」、ダイヤモンド社(2009)

マーケティング、プライシング、税金、組織文化などにおいて、非常に参考になることが多い。

一つだけ紹介すると、お布施という仕組みがある。一時、対価はお布施方式でといった考えがはやっていたことがある。お布施の額というのは、お坊さんの格だけではなく、檀家の格を併せて決まるそうだ。

たとえば、セミナーの料金をお布施にするということは、セミナーの品質(どのくらい参考になったか)ということに加えて、あなたがどれくらいのものだということも加味して払ってくださいということになる。

これだと、たぶん、実際にセミナーで聞いた内容を実践に移す人は高いお布施を払うことになるので、合理的!

サービス業従事者必読だな、こりゃ。

2009年7月17日 (金)

シンプル族の生態【ほぼ日読書日記 2009年7月16日】

「下流社会」以来、初めて三浦展さんの本を読んだ。この本は非常に参考になる。

三浦 展「シンプル族の反乱」、ベストセラーズ(2009)

日本でも、スローライフや、ロハス、最近では草食系の原点として注目されているPaul H. Ray、Sherry Ruth Andersonさんの

The Cultural Creatives: How 50 Million People Are Changing the World

が提唱している「カルチャルクリエイティブス」が理論的なベースになっているようだ(この本は読んでいないので、引用からはそんな感じ)。それに独自の調査をして、固めているような本。読み応えもある。

ライフスタイルだけではなく、このような価値観はワークスタイルでも色濃く出ているように思う。この本も勝間帯で、「共感します!この価値観を理解してください」と書いているが、共感するかどうは別にして、理解をすることは必要そうだ。

この本を読んで、なるほどと思ったことを一つあげると、最近、よく分業によるモチベーションの低下という指摘がある。とくに、ITの世界などは、全体像が見えないままで、取り組んでいるのでモチベーションが低いという指摘が多い。分業は今に始まったことではない。ドラッカーだって教会の石切工の話をしている。

突然、言われ始めたのに違和感を感じているが、これが「手作業指向」などいくつかの「カルチャルクリエイティブス」の特性を持った人たちが増えてきたというのであれば納得できるな。

もし、そうだとすれば、ビジョンを示すとかいうような単純な話では解決しないだろう。最近、デザインがやたら注目されているとか、といった辺りにもヒントがあるのかもしれない。

全然、関係ないが、最近、勝間さんが絡んだ出版物は、アマゾンで関係者の中傷に近いようなコメントがつくのが目につくなあ。

も、一冊。仕組みブームを作った泉正人さんの新作。

泉正人「「仕組み」思考術」、アスコム(2009)

仕組み本をいろいろな人が書いているが、確かに

泉正人「最少の時間と労力で最大の成果を出す「仕組み」仕事術」、ディスカヴァー・トゥエンティワン(2008)

は納得感のある本だったが、それ以外は違和感がある(そんなに読んでいるわけではないが)。

泉さんの新刊を読んでいて、ふっと思ったのは、こういう発想も、カルチャルクリエイティブスの発想かもしれない。確かに、生き方に仕組みを入れれば、世界観はシンプルになることは間違いない。

2009年7月16日 (木)

プロジェクトマネジメントは変わるのか?【ほぼ日読書日記 2009年7月15日】

これはさすが芝尾さんならではと思わせる、いい本ですね。

芝尾 芳昭「プロジェクト会計入門」、生産性出版(2009)

大変、参考になりました。特に、4章のプロジェクト会計の導入の話は参考になった。組織としてプロジェクト会計を導入できるかどうかはともかくとして、プロジェクトマネジメントに新しい視点を与えることは間違いない。工事進行基準に対応するのに、会計マンも3章とこの4章くらいの見識はもっておいてほしいなあ。

もう一冊。空気というのを最初に言い出したのは、たぶん、山本 七平氏。

山本 七平「「空気」の研究」、文芸春秋(1983)

阿部元首相のYK揶揄以来、(場の)空気について書いた本が結構でていて、何冊か読んだが、その中では一番よかった。

四条 さやか「空気の作法 あなたの印象を変える空気の法則」、同友館(2009)

空気というのを体系的に語るなら、コミュニケーションとして捉えるのだという何でもないことに気がついた。「空気」に対する認識が変わった。コミュニケーションとして考えれば、読むだけではなく、作ることが必要なんだ。

2009年7月15日 (水)

計画力の名著に遭遇【ほぼ日読書日記 2009年7月14日】

書店で、計画技法ではなく、計画方法論のような本を探していたら、なんと、加藤昭吉先生の本に遭遇した!

加藤先生といえば、なんといってもこの本。大学時代に数理計画法の講義のテキストだった本で、PERTやCPMはこの本で理解した。

加藤 昭吉「計画の科学―どこでも使えるPERT・CPM」、講談社(1965)

ブルーバックスの35、このブログで紹介した本の中でもっとも古い本です、はい。今でも、PERTの入門書というとこの本を紹介する人が多いので、すごい本だ。

単に数学的な説明だけではなく、概念的な説明を非常にわかりやすくされている。この本を覚えたことは、今でも非常に役立っている。昨年、地頭力というのがプチブームになったが、さほど、新鮮さを感じなかったのはおそらくこの本を読んでいたから。

さて、前置きはここまでにして、今回遭遇した本はこれ。

加藤 昭吉「「計画力」を強くする」、講談社(2007)

すぐに読む。すごすぎる本。こんな本を書ける人は加藤先生以外には、いないだろう。

2009年7月13日 (月)

仕事が楽しくなる【ほぼ日読書日記 2009年7月12日】

日曜日なので、何冊か、新刊書に目を通した。

プロフェッショナルサービスのファームの新規ビジネスの獲得を、広告業界をモデルにしてまとめている。探査(獲得の事前設計)、接触(見込み顧客へのアプローチ)、提案を経て、「恵みの雨」を降らせるまでの一連のプロセスを、読者に「プレゼン」するような語り口で書いてある。構成はかなり、卓越していると思う。コンセプチャルでありながら、ポイントは具体的なところまで落とし込まれていて、説得力がある。

クリーブ・ラングトン、ロッド・モリソン (イラスト)(東急エージェンシーナレッジセンター訳)「新規ビジネス獲得は、蜜の味 (NY流「勝てるプレゼン」の極意)」、東急エージェンシー; 初版(2009)

営業でなくても、ナレッジワーカーであれば、読んでおいて損はない。

さて、もう一冊、むちゃくちゃよい本。

上田 信行「プレイフル・シンキング」、宣伝会議(2009)

「働くこと」は「楽しい」を実現するための方法を書いているのだが、大上段に振りかぶった話し出はなく、局面局面で、どうすれば、楽しくなるかのアイディアを提供している。究極のポジティブシンキング本。

よい本に当たる日は、本当に当たる。3冊目。

棚橋 弘季「ひらめきを計画的に生み出す デザイン思考の仕事術」、日本実業出版社(2009)

この本もなかなか、優れもの。プロデュース思考の佐々木さんが「プロデュース」という言葉は、手垢がついているとよく言われているが、デザインという言葉もそうだと思う。そのような手垢をきれいにしながら、デザインの価値を発見させてくれる本。コンセプチャルな記述が多いので、少し格闘が必要だが、格闘する価値はあるな。

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