感謝:戴いた書籍 Feed

2008年3月11日 (火)

対話により描かれたプロジェクトマネジメントの暗黙知

4883732533 中村 文彦「ITプロジェクトを失敗させる方法―失敗要因分析と成功への鍵」、ソフトリサーチセンター(2008)

お薦め度:★★★★1/2

著者の中村さんとは、日本プロジェクトマネジメント協会の研究会で、PMコンピテンシーの開発方法の研究に一緒に取り組んだことがある。そのときは、習慣化という方向にまとめていったが、こういう方法もあるんだなということを認識させてもらった一冊。

プロジェクトを提案・受注、立ち上げ・計画、実行、終了に分け、あとから振り返ると、分岐点だったなというようなプロジェクトの場面を切り出し、そこで、失敗の原因になるような意思決定や行動を「対話」の形で描いている。

そして、それに対して、どうすればよいかを簡潔に説明した上で、今度は、よい意思決定や行動を「対話」の形で描いている。

対話はテンポがよく、言外のニュアンスもうまく描いてあり、参考になる。解説は簡潔で読みやすく、ポイントも適切だと思うので、全体としてコンパクトなのだが、かなりのことが伝えられる一冊である。

また、これ以外にコラムがあり、コラムでは比較的トピックス的な話題をこれまた、簡潔に説明している。

読み方としては、まず、悪い事例で、どこが問題かを考え、その上で、著者の考えを書いた解説を読んで確認する。そして、自分ならどう行動修正するかを考えてみて、よい事例を読んで確認するという手順で読んでいける。

考えながら、気づきながら読んでいくことで、かなりのコンピテンシーの開発ができると思う。

また、対話することそのものへの暗黙知も描かれているように思う。これが結構重要ではないかと思わせる本である。読んでいるうちに、仮に、悪い対話であったとしても、対話をすることが重要だと思ったのだ。うまくいかなければ、なぜ、うまくいかないかを考え、そこからさらにうまくいく方法を模索していくという行動学習が行われる第一歩は対話である。その意味で、悪い事例からよい事例へどのように推移していけるかというのがポイントかもしれない。

最後に、この本と直接関係ないが、僕の経験でよい使い方があるので、提案しておく。プロジェクトチームでのチーム育成やチームビルディングのエクスサイズに使うと有益である。1回のミーティングで1例取り上げ、悪い事例をプロジェクトチームで読んでチームで議論する。それで、よい事例を配る。そこでどこが違うかを議論し、そのあと、プロジェクトマネジャーが著者の言っているポイントを中心にしてこういう風にしようとまとめると有効である。

続きを読む »

2008年3月 8日 (土)

リストフリークの作った本

4777108805 堀内浩二「リストのチカラ」、ゴマブックス(2008)

お薦め度:★★★★

なかなか、よいタイトルの本だ。確かにリストというツールには、何か特別なパワーがあるように思う。パワーではなく、チカラかもしれない。

みなさんは、リストというと何を思い浮かべるだろうか?僕が最初に覚えたリストは社是だ。みなさんも経験があると思うが、会社に入るとまず、しつこく感じるくらいに唱和させられるのが社是だろう。わたしたちのクライアントの中でも、研修の場などでも、毎朝、社是を唱和している会社がある。

僕がいた三菱重工の社是は

一、顧客第一の信念に徹し、社業を通じて社会の進歩に貢献する。
一、誠実を旨とし、和を重んじて公私の別を明らかにする。
一、世界的視野に立ち、経営の革新と技術の開発に努める。

である。

僕が三菱重工を退社して、もう20年近い時間が経つが、この3つは今でも僕の価値観になっているし、何より、まだ、唱和できる!これがリストのチカラではないかと思う。

さて前置きが長くなったが、具体的にリストが持っているのはどんなチカラだろうか?それを教えてくれる本である。

著者の堀内さんがlistfreakというサイトを作られて、活発に活動されていた。なかなか、ユニークな命名である。

そのサイトがついに本になった。拍手!

本書は、大きく2つのパートにわかれている。前半は、listfreakから堀内さんが選び抜いた50のリストが、コメントとともに5つのカテゴリに分けて紹介されている。カテゴリはコメントとともに5つのカテゴリに分けて紹介されている。カテゴリは、「まるごと覚えてしまいたいリスト」、「日々使いこなしたいリスト」、「月に一度は目を通したいリスト」、「いざというときに頼りたいリスト」、「折に触れ、じっくりと読み返したいリスト 」の5つだ。

そして後半はリストを使う方法、作る方法について述べている。僕は以前、ある会社の社是を作った経験がある。その経験に照らし合わせてみると、若干、物足りない部分があるが、なるほどと思うことの方がはるかに多い。堀内さんの「リスクフリーク」の本領発揮っていうところだろう。

この本の何より素晴らしい点は最後の2章に述べられている「リスト力」なるものだ。たとえば、ワークショップをするとかのときに、重要なものを3つあげてくれとか、結構、リストを使っている。何か意図があってやっているのだと思うが、その意味を8つのステップに分けて見事に整理している。また、編集力に通じるところで、リストをどのように編集すればよいかについても解説してくれている。

ありそうで、なかった素晴らしい本だ。

続きを読む »

2008年3月 7日 (金)

「やる気要塞」を攻略しよう!

4903908046 金井壽宏「やる気!攻略本」、ミシマ社(2008)

お薦め度:★★★★

実務家向けのMBAコースではケースメソッドが中心になるが、リーダーシップやモチベーションなどのヒューマン系のケースとして最も意味のあるのが、すぐれたリーダーやマネジャーの「持論」であるというのがこの本の著者である金井壽宏先生の考えで、その考えの中で、このブログでも紹介した「働くみんなのモティベーション論」が書かれている。

やる気を自己調整する

この本は、その続編として位置づけられた本である。最後に述べるようにこの本の制作過程に多少かかわったのだが、そのときは、そういう話だったので、結構、固めの本だと思っていたのだが、出来上がりを見てびっくりした。

内容的には

(1)モチベーションのケースとしての持論の紹介
(2)持論に関係する理論の紹介

を金井先生自身の経験と、インタビューに基づいてまとめているのだが、それらをロールプレイングゲーム風に見ていきながら、区切り区切りでやる気TIPS(あなたはここでこのような視点を手にいれました)を得るという形で整理しながら、まとめられている。また、最後に、やる気語録が掲載されている。

僕はハウツー本が嫌いなので、ほとんど読まないし、このブログでもほとんど取り上げない。仮に、金井先生が書かれた本でもハウツー本であれば取り上げない。この本をハウツー本だと読んでしまう人もいると思うが、そのように読んでほしくない。この本はやる気を探す旅を本というメディアの中に構築した本だ。TIPSは一種のハウツーだと見えなくもないが、思考のもとであり、それを得たことにより、また、違った視点を持って次の旅に出る。そんな本である。

この本の特徴は、この構成にあるように思う。

モチベーションの本というのはリーダーシップと同じように恐ろしくたくさん出ている。本がたくさん、出ている分野というのは、いろいろな考え方がある分野であると同時に、これといった決定打がない分野でもある。モチベョンもそんな分野である。

この本のアプローチがすべての人に有効だとは思わないが、いろいろなアプローチがあるのなら、こんなアプローチにはまる人もいると思う。

その意味でよい本だと思う。もちろん、内容そのものはフィールドワークでは日本の第一人者の金井先生の作られた本であるので、文句なくよい。エピソードの切り込み方は絶品である。

最後に、この本を作るにあたって、金井先生からの依頼でインターシビューイの1人にならせて戴いた。編集者の方とライターの方が来られ、

人と組織の活性化研究会、加護野忠男、金井壽宏 「なぜあの人は「イキイキ」としているのか―働く仲間と考えた「モチベーション」「ストレス」の正体

で提案されている「イキイキ・サイクル・チャート」(この本では「やる気チャート」と呼んでいる)を書いてくれと言われて、書けなかった。デコボコがないのだ。

「イキイキ・サイクル・チャート」で落ち込んでいるところから立ち直るまでのところを分析したかったのだと思うが、僕の持論はプロフェッショナルは「やる気に左右されない」ということに尽きるので、やる気を意識しないようにしている。無駄足にしてしまったなと、そんな贖罪の思いを持ちながら読んだ。

2007年12月10日 (月)

権威を使わずに人を動かす原理―レシプロシティ

4419050500 アラン・コーエン、デビッド・ブラッドフォード(高嶋薫、高嶋成豪訳)「影響力の法則―現代組織を生き抜くバイブル」、税務経理協会(2007)

お薦め度:★★★★★

原題:Influnence without Autohrity

原書はいろいろな本や論文で取り上げられてるコミュニケーションの名著である。僕も買って読もうとしたが、組織論やマネジメントの本では見かけない単語が並んでいて、諦めた経緯がある。

この本では「reciprocity」が影響力の源泉であるというのが基本コンセプトになっている。安部前首相が首相になってすぐに中国を訪問し、その際に「戦略的互恵関係」の構築をうたってきた。米国的な言い方をすれば、ギブアンドテイクだとこの本にも書いている。ただし、単なるギブアンドテイクではなく、良好な人間関係に立脚したギブアンドテイクである。このようなギブアンドテイクを「影響力の法則 コーエン&ブレッドフォードモデル」としてフレームワーク化している。

これは影響力を及ぼすための6つの法則から構成されるフレームワークだ。

法則1:味方になると考える
法則2:目標を明確にする
法則3:相手の世界を理解する
法則4:カレンシーを見つける
法則5:関係に配慮する
法則6:目的を見失わない

この本では、この6つの法則について、具体的な実現方法を体系的に示すとともに、ケースを多用して、その意味を直感的にわかるようにしている。体系的な説明のところでは、例が非常に多く、有用である。たとえば、カレンシー(通貨:価値交換の道具)だと
・気持ちの高揚や意欲を喚起するカレンシー
・仕事そのものに役立つカレンシー
・立場に対するカレンシー
・人間関係に関するカレンシー
・個人的なカレンシー
という分類をし、たとえば、最初の気持ちの高揚や意欲を喚起するカレンシーであれば、
・ビジョン
・卓越性
・道徳的/倫理的な正しさ
というのを上げている。このようにひとつひとつの例に非常に深い意味と、気付きをこめて作られた本である。

また、最後の2章は、それぞれに、「影響力の法則 コーエン&ブレッドフォードモデル」を使って、上司と部下にどのように影響を与えるかという説明になっていて、この部分は極めて実践的である。

この手の本は決して少なくない。しかし、ハウツーものはほとんど役に立たないと思う。ハウツーにできるような単純な問題ではないからだ。自分の行動を内省しながら、考えながら読まないと、行動に移せない。一方で、ハウツーものを欲しがる人も多い。

この本はそのような読者に対しても、一定の満足を与えながら、はやり、基本は考えさせることに置いているように思う。つまり、かなり、具体的な行動イメージが持てるまで、「例示」をし、そこでとどめてある。そこからは自分で考えましょうという書き方になっている。その点でも非常に参考になったし、よくできている。

組織で働くすべての人に一度は読んでほしい本だ。

【アマゾンで買う】影響力の法則―現代組織を生き抜くバイブル

【楽天ブックスで買う】影響力の法則

続きを読む »

2007年12月 8日 (土)

プロジェクトマネジメントオフィスに対する基本認識

4820117408 トーマス・ブロック、デビッドソン・フレーム(仲村 薫)「プロジェクトマネジメントオフィス―すべてのプロジェクトを成功に導く司令塔プロジェクトオフィスの機能と役割」、生産性出版(2002)

お薦め度:★★★1/2

※ PMstyle.jp書籍プレゼントのために書き直し

プロジェクトマネジメントオフィスの基本事項についてまとめた本。マネジメント支援、組織へのコンサルティング、標準化と手法開発、研修などについて、書かれている。

出版は5年前。原書の出版は10年前。出版当時(2002年)には当り前のことしか書いていないという印象があったのが、今、改めて読んでみると、基本的であるが、重要なことがたくさん書かれているという印象が強い。

当時は、プロジェクトマネジメントオフィスを作っている企業はプロジェクトマネジメントに関して、先進的な企業であり、この本に書かれているようなことはやっているようなところが多かったように思う。ところが、現在、PMOの数は当時と比較のしようがないくらい増えてきたが、どうも、このあたりのこと、特に「組織」という視点が弱くなってきたように感じる。

結果として、プロジェクトマネジメントオフィスは、プロジェクトの便利屋さんのような位置づけになってしまった企業が少なくない。

プロジェクトマネジメントオフィスとは何か、何のために作るのか、そして、経営にとってどのような意味があるのかを再度認識するには、この本はうってつけだ。

最近、この本の訳者である仲村薫さんがPMOのプラクティスをまとめた本「PMO構築事例・実践法―プロジェクト・マネジメント・オフィス」を出版されたが、プラクティスを知る前にまずこの本を読んで、基本的な認識をもたれることをお勧めする。

【アマゾンで買う】プロジェクトマネジメントオフィス―すべてのプロジェクトを成功に導く司令塔プロジェクトオフィスの機能と役割

【楽天ブックスで買う】プロジェクトマネジメントオフィス

続きを読む »

2007年12月 7日 (金)

イノベーションのウソ・ホント

4873113458 Scott Berkun(村上雅章訳)「イノベーションの神話」、オライリー・ジャパン(2007)

お薦め度:★★★★

昨年出版されたプロジェクトマネジメントの本の中では群を抜いて面白く、昨年のベスト1に選んだ「アート・オブ・プロジェクトマネジメント」の著者Scott Berkunが独特の視点でイノベーションの陰に隠れた真実を引き出そうとした一冊である。

この本は以下のパターンで10の神話を取り上げている。
(1)イノベーションにまつわる神話を洗い出す
(2)なぜそれが有名になっているかを解説する
(3)真実という観点からそれを探求し、教訓とする
の3つである。要するに、一般的に言われている神話は必ずしも正しくないというのがこの本の趣旨だ。
神話として俎上に上げているのは

・ひらめきの神話
・私たちはイノベーションを理解している
・イノベーションを生み出す方法が存在する
・人は新しいアイディアを好む
・たった一人の発案者
・優れたアイディアは見つけづらい
・上司はイノベーションについてあなたより詳しい
・最も優れたアイディアが生き残る
・解決策こそが重要である
・イノベーションは常に良いものをもたらす

の10個。これをニュートンからグーグルまで引っ張り出してきた「小話」で説明し、また、反例を上げている。
「アート・オブ・プロジェクトマネジメント」ほど面白いとは思わなかった。何が違うのかなと思って考えてみたが、結局、このアンチテーゼの元になっている神話そのものが誰もが信じていることだけではないということに尽きるのだろう。僕の場合でいえば、このうちの8つくらいは反例を思いつくような神話だ。
その点は差し引いても、相変わらずアンチテーゼの視点や事例引用は鮮やかであるので、読んでいて刺激を受けることは間違いないし、イノベーション読本としては、間違いなく一級品である。

【アマゾンで買う】イノベーションの神話

【楽天ブックスで買う】イノベーションの神話

続きを読む »

2007年12月 3日 (月)

P2Mガイドブック

4820744690 日本プロジェクトマネジメント協会「新版 P2Mプロジェクト&プログラムマネジメント標準ガイドブック」、日本能率協会マネジメント出版情報事業(2007)

お薦め度:★★★★1/2

P2M(プロジェクト&プログラムマネジメント)は日本プロジェクトマネジメント協会(PMAJ)が推進しているプロジェクトマネジメント方法論であり、PMBOKと同じ個別プロジェクトのマネジメントに加えて、プログラムマネジメントとポートフォリオマネジメントを統合した(広義での)プログラムマネジメントのフレークワークである。

本書はP2Mのガイドブックの新版(第2版)。内容的に第1版と比較すると、
・フレームが明確になり、しっかりとしてきた
・プロファイルなどの独自概念がこなれてきた
などの改良点が見受けられる。

ガイドブックとしては第1版は読むのに苦労するくらい、読みにくい部分が多々あったが、これがすっきりとしてきて、読みやすくなっている。その意味で、第1版はPMC、PMSなどの資格試験を受験する人以外には薦めにくかったが、今回のバージョンはプログラムマネジメントを必要とする実務家に薦めることができる内容だといえよう。

PMBOK(R)を推進しているPMIでも昨年プログラムマネジメント&ポートフォリオマネジメントの標準を発表し、この3つを合わせるとちょうど、P2Mと同じ位置づけになる。内容的には、P2Mに一日の長がある。また、PMIのこのドキュメントは現在のところ、ガイドラインというよりはホワイトペーパーに近い(来年の改定でどこまで変わるか!?)

P2Mも第1版はホワイトペーパーだったと思うが、やっとガイドラインと言えるものになってきた。この点でもPMIと比較すると一日の長がある。この進化がどれだけ普及に役立つかは見ものだ!興味ある人は、とりあえず、本書を読むところから始めよう!

【アマゾンで買う】新版 P2Mプロジェクト&プログラムマネジメント標準ガイドブック

【楽天ブックスで買う】P2Mプロジェクト&プログラムマネジメント標準ガイドブック新版

なお、今回の改定の中で、実務に適用しようとすると改善された理由に含蓄のありそうな部分が少なくない。その意味で、実務適用を考えるに当たっては、第1版との併用をお勧めしたい。今回、新版が出たことでいずれは廃番されるのだろうから、買っておくなら今のうちだ!

45696283894569628370  P2Mプロジェクト&プログラムマネジメント標準ガイドブック〈上巻〉プログラムマネジメント編

P2Mプロジェクト&プログラムマネジメント標準ガイドブック〈下巻〉個別マネジメント編

続きを読む »

2007年11月 5日 (月)

プロジェクト・ブック

4395241018 阿部仁史、本江 正茂、小野田泰明、堀口徹「プロジェクト・ブック」、彰国社(2005)

クリエイティブなプロジェクトのマネジメントについて書かれた本というと、まっ先にトム・ピーターズの「セクシープロジェクト」

トム・ピーターズ(仁平和夫訳)「トム・ピーターズのサラリーマン大逆襲作戦〈2〉セクシープロジェクトで差をつけろ!」、阪急コミュニケーションズ(2000)

が思う浮かぶ。この本は素晴らしい本だと思うが、トム・ピーターズに負けない本があった!

それがこの本。

さぁ場所をつくろう
キャラ立ちしたチームメンバーを集めよう
ワークスタイル
スケーリング
デザインツール
地図を語れ
キャスティングしてみよう
ライフスタイル
ミーティングは30分×4セット

など、クリエイティブなスタイルにこだわり抜いた創造の極意が63個、書かれている。効能は

コラボレーションしたいとき、行き詰ったとき、ひまなとき、プロジェクトを始める前、プロジェクトを終えてから、人を使うとき、課題が出たら、卒業設計のとき、独立して事務所を開いたら、所長に怒られたとき、人間関係が辛いとき

など。

創造的なプロジェクトなど、ほかの世界の話と思っているIT系の人にもお薦め。プロジェクト感が変わること間違いなし!

続きを読む »

2007年10月28日 (日)

一体感をめぐる冒険

4862760120 ジョセフ・ジャウォースキー(金井壽宏監修、野津智子訳)「シンクロニシティ 未来をつくるリーダーシップ」、英治出版(2007)

お奨め度:★★★★1/2

この記事で500エントリーになる。500エントリー目に残しておいた本を紹介しよう。「シンクロニシティ 未来をつくるリーダーシップ」。

ジョセフ・ジャウォースキーという「アメリカンリーダーシップフォーラム(ALF)」というリーダーシップ開発の団体を立ち上げた人物が、自叙伝の形で述べているリーダーシップの旅についてかいた本。

もともと、弁護士で、若くして法律事務所を立上げ、成功した著者は、リーダーシップの状況に問題意識を持ち、社会的起業家としてALFの立上げを決意する。それに集中していく中で、どんどん、離婚をし、ALFを立ち上げるまで、シンクロニシティに身を任せ、紆余曲折の中を進んでいく。その中で、自身、リーダーシップをめぐる旅をし、いろいろな人と出会い、いろいろなことを学び、仲間に巻き込んでいく。その中に、この本と一緒に英治出版が翻訳を出版したデヴィッド・ボームがいる。

デヴィッド・ボーム(金井真弓訳)「ダイアローグ 対立から共生へ、議論から対話へ」、英治出版(2007)

ALFが軌道に乗ったころ、シナリオプラニングと出会い、請われて、シェルグループのシナリオプラニングのリーダーとなる。その後、この本には出てこないが、金井先生の解説によるとMITの組織学習でコアメンバーとしての役割を果たし、現在はジェネロンコンサルティングを率いて、U理論を世に知らしめることに尽くしているとのこと。

この本の後の活動は、こちらの本を読めばよいだろう(超・難解!)

ピーター・センゲ、オットー・シャーマー、ジョセフ・ジャウォースキー、ベティ・フラワーズ(野中郁次郎, 高遠 裕子訳)「出現する未来」、講談社(2006)

非常に不思議な読後感の残る本である。僕は、この本は金井先生が話題にされているのを何度かお聞きしたし、ジョセフ・ジャウォースキー氏のリーダーシップの旅の根幹を成している、サーバントリーダーシップ、ダイアローグ、U理論という概念を齧っていたので、リーダーシップの本として読んだ。難しい本なので、どれだけ、ジョセフ・ジャウォースキー氏がこの本に託したメッセージが読めているかはよくわからないが、感じるものは多々あった。

ただ、これを前提なしに読めば、副題にある「未来を作るリーダーシップ」というのはきっとピンと来ないのではないかと思う(もちろん、僕なんかに較べるとはるかに洞察力に優れた人はそんなことはないだろうが)。そんなときに、リーダーになりたいと思うあなたが、偶然、このブログ記事を読んだことの意味をかんがえてみて欲しい。ここにも、この本でいうところのシンクロニシティ(共時性;因果関係では説明できない、偶然にもほぼ、時を同じくして生じる事象があること)があるのかもしれない。

併せて、お奨めした本が2冊ある。1冊は、この本で金井先生が紹介されているが、野田さんという方がリーダーシップの旅について書かれた本。

野田 智義、金井 壽宏「リーダーシップの旅 見えないものを見る」、光文社(2007)

もう1冊は、表現の手法は違うが、同じような視点から大規模な調査をした結果をまとめたこの本。

ビル・ジョージ、ピーター・シムズ(梅津祐良訳)「リーダーへの旅路―本当の自分、キャリア、価値観の探求」、社会経済生産性本部(2007)

続きを読む »

2007年10月22日 (月)

CCPM+Lean+PMBOK=?

4947627794 ラリー・リーチ(小林英三(監訳)、岡野智加、酒井昌昭、津曲公二、平鍋伸忠、藤川博巳(訳))「リーンプロジェクトマネジメント―リーン・クリティカルチェーン・PMBOK Guideを統合した、プロジェクトマネジメントのバイブル」、ラッセル社(2007)

お奨め度:★★★1/2

クリティカルチェーンプロジェクトマネジメントの名づけの親といわれているラリー・リーチの新しいプロジェクトマネジメント論。

現在、プロジェクトマネジメントの流れとしては、

・プロアクティブに計画を作り、計画実行によりプロジェクトを進めていくことを目指すPMBOK

・プロジェクトの目標を設定し、目標達成のための問題解決とプロセス改善を中心にプロジェクトを進めていくCCPM

・チームとプロトタイピングにより、創造性を追及するアジャイルプロジェクトマネジメント(リーンプロジェクトマネジメント)

の3つがあると考えてよい。現在のところ、プロジェクトマネジメントを適用したい目的としてはプロジェクトを失敗しないというのが多く、このため、PMBOKが圧倒的に進んでいるが、これらは本来、補完的に機能することが望まれるものだろう。

その中で、現在の普及の度合いもさることながら、この3つの中では最もフレーミングがしっかりしているPMBOKを中心にどのように他のプロジェクトマネジメントのよさを取り込んでいくかというのがポイントになる。

この問題に対して、ラリー・リーチ博士が書いた書籍がこれ。

人々を統率する
→プロジェクト憲章
→適切なソリューションの選択
→変動性を管理する
→プロジェクトのリスクの管理
→プロジェクト計画
→実行

というフレームの中で、3つの方法のツールをどう使っていくかを示している。これをPMBOKのフレームだというと、CCPM派からはクレームがつくかもしれないが、はやり、基本的にはPMBOKに見える。

ゆえに、PMBOKプロジェクトマネジメントをやっている人たちにもお奨めした1冊である。

続きを読む »

PMstyle 2024年5月~8月Zoom公開セミナー(★:開催決定)

アクセスランキング

カテゴリ

Powered by Six Apart

Powered by Google

  • スポンサーリンク
  • サイト内検索
    Google