イキイキ
人と組織の活性化研究会、加護野忠男、金井壽宏 「なぜあの人は「イキイキ」としているのか―働く仲間と考えた「モチベーション」「ストレス」の正体」、プレジデント社(2006)
お奨め度:★★★1/2
日本の経営学のグルの一人、加護野先生が学部長をやられていたときに「カゴの鳥」状態で外に出れなくて、学部長室に来てもらって開催していた研究会が、その後、成果を積み重ね、一冊の本になった。時代背景にバブルの後の落ち込みがある。
金井先生が研究会にコミットされていることの影響もあると思うが、この本は、いつも元気でいようというスタンスではない。「落ち込みOK」である。つまり、ライフサイクルの中で、元気な時期もあれば、落ち込んでいる時期もある。それを前提に元気のないときにどのように活力を取り戻すかを、研究会の参加者が実際に知っている、あるいは調査した事例に基づいて議論している。「落ち込みOK」、「実例」の2つにより、元気になりたい人にとってとても力強い本になっている。
ちなみに、研究会の議論のベースになっている、「イキイキ・サイクル・チャート」と呼ばれるライフサイクルチャートがある。年齢を時間軸にして、イキイキ度を書いていく。今、30代後半から40代前半にある人は、ぜひ、このチャートを書いてみてほしい。それだけで元気が出てくると思う。
もうひとつ、神戸大学のMBAコースの特徴である、「社会で活躍する人が自分の抱える問題を持って学校に来て、リアルタイムで解決し、トライアルできる教育環境」というのがよく現れている一冊でもある。
もうひとつ。3~4年前に金井先生にお会いしたときに、「好川さんは落ち込まないね」といわれた。この本の解説で金井先生がいつもハイなのはビョーキだと書かれている。そういう意味だったのか、、、(笑)
目次
第1章 三〇歳はきちんと落ち込め
第2章 一人で成長できますか
第3章 「ふっきれる」ための技術
第4章 「落ち込み」を制御する
第5章 仮説「イキイキは連鎖する」
第6章 ストレス、疲労、恐るるに足らず
第7章 「ひと」を活かす人事
第8章 働き甲斐と暮らし甲斐
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