コンピテンシーマネジメント Feed

2006年10月21日 (土)

偉大なる経営論

B000ion7te01 Harvard Business Review2006年 11月号

 【創刊30周年記念号】偉大なる経営論

お奨め度:★★★★★

ハーバードビジネスレビューの創刊30周年記念号。30年間に発表された名論文の中から30本が採録されている。下にリストがあるので見てほしい。経営学にまったく縁のない人でも4~5人くらいは知っている人が多いのではないかと思う。

ほとんどの論文が実践の中で使われるようになってきた概念を示したものだ。これはすごいことだと思う。かつ、この2~30年の間に新しく生まれたマネジメント手法はほぼ、網羅されている。

つまり、そのくらいハーバードビジネスレビューは実務家のマネジメントに貢献している学術論文誌である。

マネジャーという肩書きのある人、あるいは、将来マネジャーを目指している人、いずれも、この記念号はぜひ持っておき、通勤の行き帰りにでも読んでほしい。

最後に神戸大学の加護野先生の「マネジメントの古典に触れる」という提言がある。この提言も味がある。

ちなみに、東京で本屋を探したが、最初の3件は売り切れだった。よく売れているようだ。

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2006年9月30日 (土)

強い会社はボトムで設ける

453231293001 綱島邦夫「社員力革命―人を創る、人を生かす、人に任す」、日経新聞社(2006)

お奨め度:★★★★1/2

この5年くらいの間に日本企業のイメージはずいぶん変わったのではないかと思う。日本企業の強みは社員の質にあった。その分、マネジメントがおろそかになっていた企業が多い。

この5年間の本格的なバブルの負の資産の解消の際にこれがはっきりあわられたように思う。この本で書かれていること、ベストプラクティスは少なくともバブルの前までは多くの企業にあったように思う。しかし、この5年のリストラクチャリングを乗り越えた企業は少なく、この本で取り上げられている、トヨタ、武田薬品、松下電器などはいずれもマネジメント力をテコに、人材の強みを残しながら、リストラクチャリングに成功した企業である。人を作るトヨタ、人に任す武田、人を生かす松下である。

著者の綱島邦夫氏はマーサーの方だからかもしれないが、分析のフレームワークがラーニングオーガニゼーションになっている。日本には、自らを説明するフレームワークがない。特にこの3社のようにグローバル化に対応できる組織を展開するためのフレームワークがないのは非常に残念だ。ただ、この本の事例から分かるように、実践している企業は多い。

なんにしても、社員、プロジェクトといったボトムが強くないと儲からないというこの本の主張には強く共感する。

良い本である。

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2006年4月24日 (月)

知識とスキルを結果につなげる

456964896701lzzzzzzz 御立尚資「使う力~知識とスキルを結果につなげる」、PHPビジネス新書(2006)

お奨め度:★★★★

時勢にフィットした本。エンプロイヤビリティ、目標管理など、さまざまな形で学習を促されているが、その成果はとなると?である。コンサルティングをして感じるのは、確かに知識は増えているし、スキルも向上している。議論はできるし、分析などのワークもできる。しかし、結論したことが実行できない。つまり、使えない。

この本はこの問題を取り扱った本である。著者の御立尚資氏はボストンコンサルティンググループ日本の代表である。実はコンサルティング力というのは、彼のいう「使う力」である。コンサルティングが自分の経験のないことにもある程度対応できるのは、論理思考力だとか、問題発見力だとかいろいろな要素があるが、もっとも重要なのは知識の体系付けを行う能力である。体系化できることは使うことができることに他ならない。

この本にオビにあるように、もう勉強は十分、そろそろ結果を出したいという人は、一読の価値のある一冊である。

と同時に、これから勉強をしようという人も、読めば、勉強の効率がよくなること間違いなしの一冊である。

2006年3月19日 (日)

トヨタ版7つの習慣

447930017109lzzzzzzz_1 若松義人「最強トヨタの7つの習慣―なぜ「すごい工夫」が「普通」にできるのか」、大和書房(2006)

お奨め度:★★★★1/2

トヨタの組織マネジメントのコンピテンスを7つの習慣になぞらえて書いている。著者はカルマンの若松社長だが、彼はトヨタについて数多くの分かりやすい著書があるが、この本が一番、気に入った(すべての著書を読んでいるわけではないが10冊は読んでいる)。

さて、トヨタの7つの習慣とは以下の7つである。

第1の習慣 「ケタちがい」の発想から入る
第2の習慣 「わが社」を主語にしない
第3の習慣 「なぜ」を五回繰り返す
第4の習慣 成功体験をリセットする
第5の習慣 成功より成長を目ざす
第6の習慣 忙しさを恥じる
第7の習慣 「みんなの力」を心から信じる

いずれもトヨタウェイとして有名なものである。コヴィーの7つの習慣は明らかに理論的な体系があるが、トヨタの7つの習慣は7つ大切なものを書き出してみたという感じであり、多くのエピソードの支えられている。

その分、凄みがあると思う。

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2006年1月 3日 (火)

本家のコンピテンシーマネジメント

4569616275 ヘイコンサルティンググループ 「正しいコンピテンシーの使い方―人が活きる、会社が変わる!」、PHP研究所(2001)

お奨め度:★★★★1/2

コンピテンシーの提唱者とされるハーバード大学の行動心理学者のデビット・マクレランドが、コンピテンシーの商用利用を目的に、その同僚のバーナードと一緒に「マクバー」という研究所を作り、それが、ヘイグループと合併して本格的なビジネスが始まったという経緯がある。

その意味で、ヘイグループはコンピテンシーの本家であるという自負を持っているコンサルティングファームであるし、実際に業界的にも顧客にもそのような認識がある。

本書はそのヘイグループが、おそらくは現在のコンピテンシーという言葉や概念の氾濫を見て一石を投じる目的で出版した書籍であろう。他のコンピテンシーの解説本には書かれていないようなことがたくさん書かれている。その意味で、目からウロコの落ちる1冊である。

本書の流れは初心者向けのコンピテンシー解説本である。ところが、本書(というよりはヘイグループ)のスタンスはコンピテンシーを経営レベルの改革手法として位置づけている。このスタンスに立ち、他の手法、BPRやIT、あるいは、EVAやBSC、あるいはラーニングオーガニゼーションなどとの関係付けを明確にしている。ここが本書の特徴である。このほかにも、誤った扱いをしやすいコンピテンシー項目の持つ意味などを具体的な事例に基づいて紐解いており、すっと読めるが非常にインプリケーションの多い本である。

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コンピテンシーを開発する

482074064409lzzzzzzz JMAMコンピテンシー研究会、古川久敬「コンピテンシーラーニング―業績向上につながる能力開発の新指標」、日本能率協会マネジメントセンター(2002)

お奨め度:★★★

古川久敬先生が中心に行われたコンピテンシーの研究会のレポート。第2部、第3部はさほど、目新しくはないが、第1部のコンピテンシー学習の概念提案は一読に値する。

コンピテンシーを学習することとはどういうことかということを研究論文的にまとめ、フレームワークの提案をしている。学習方法ではなく、学習によるコンピテンシーの変化について言及したうえで、学習方法に関する提案をしている点が説得力があって、非常に興味深い。

もう少し、具体的に知りたいという人には、こちらの本がお奨め。

4889163751 高木史朗(ニッコンアセスメントセンター編)「コンピテンシー評価と能力開発の実務―成果主義時代の人材アセスメント手法と展開方法」、日本コンサルタントグループ(2004)

こちらも実務書というレベルではないが、コンピテンシーをベースとした評価および能力開発について、概念、定義、手法等を網羅的に解説しているので、コンピテンシーラーニングよりはもう少し具体的なレベルで、頭の整理はできる。

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コンピテンシーマネジメント実務ならこの一冊

453971817709lzzzzzzz 太田隆次「コンピテンシー実務ハンドブック」、日本法令(2002)

お奨め度:★★★★

太田氏はコンピテンシーマネジメントに非常に精通したコンサルタントである。その太田氏が、ここまで出すのかと、業界を唖然とさせた本を出版されたのがこの本。

おそらく、この本が一冊あれば、誰もが実務レベルでコンピテンシーマネジメントの導入をすることができると思われる。コンピテンシーの考え方、組織や制度における位置づけといった背景的な解説から、モデル作成、導入方法、ジョブディスクリプションなどのヒューマンソフトマネジメントとの位置づけなど、おおよそ考えられる問題について一通り解決方法や方向性が述べられている。また、豊富な事例も参考になる。

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コンピテンシーマネジメントのバイブル

482011722x09lzzzzzzz ライル・スペンサー、シグネ・スペンサー(梅津祐良、横山哲夫、成田攻訳)「コンピテンシー・マネジメントの展開―導入・構築・活用」、生産性出版(2001)

お奨め度:★★★★1/2

コンピテンシーマネジメントのバイブル。コンピテンシーに関する過去の研究を整理し、詳細・精密なコンピテンシー・ディクショナリーを提示している類のない本である。この本の売りはなんといってもこの点だろう。このため、コンピテンシーモデルや、コンピテンシーマネジメントの議論をするときには、だいたい、この本で提示されているコンピテンシー・ディクショナリーをベースにすることが多い。

さらに、この本では、コンピテンシーモデルの開発の方法論についても詳しく議論されており、さらに、コンピテンシーモデルの活用方法についても詳しく述べられている。

簡単にいえば、この本1冊あれば、コンピテンシーマネジメント(ディクショナリーの開発、モデルの開発、モデルの活用)に関する一通りの知識を身につけることのできる本である。

基本的には人事部門の人に向けて書かれているのだと思われるが、実は、プロジェクトマネジメントコンピテンシーの世界においても、米国プロジェクトマネジメント協会(PMI)のまとめたコンピテンシーマネジメント標準(PMCDF)のうち、人格に関わる部分はこの本を参考にまとめられている。

「プロジェクトマネージャー・コンピテンシー開発体系―PMI標準」

https://mat.lekumo.biz/books/2005/01/pmi.html

このことからもわかるように、コンピテンシーにかかわりを持つ人すべての必読書である。

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2005年10月22日 (土)

氷山の水面下に潜む動機

82011816 デイビッド・マクレランド(梅津祐良、薗部明史、横山哲夫)「モチベーション―「達成・パワー・親和・回避」動機の理論と実際」」、生産性出版(2005)

コンピテンシーの概念の発明者であるデビッド・マクレランドによるモチベーション論の名著。

このマクレランドはコンピテンシーを理解する上での基本として「人間の能力は氷山のようなものである」という考えをとっている。水面上に見ることのできる氷山は、全体のごく一部であり、水面下の、目に見えない部分が、実は圧倒的に大きいというイメージである。

人間の「能力」も、実は水面下の見えない部分が支配的な影響力を持っていて、水面から上の部分は知識・技術・スキルといったもので、後から身につけることができ、またテストで簡単に測定できる。ところが、水面から下の部分は、よりその人の人間性に近い要素であって、外からは捉えにくい。また、水面から下の部分についても、より下に潜んでいる部分、たとえば基本的動機といったものほど重要であるという考えである。

このような能力観でのモチベーションについて論じた本である。

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2005年10月 2日 (日)

行動の原因を外部環境に求める

408720307701 杉山尚子「行動分析学入門―ヒトの行動の思いがけない理由」、集英社新書(2005)

お奨め度:★★★★

著者の杉山さんは、数年前に、同じ書名の専門書を出版している。

杉山尚子他「行動分析学入門」、産業図書(1998)

この本はすばらしい本なのだが、ちょっと難しいのと、高価なので、あまり人に紹介しなかった。ずっと、この本の新書がでないかなと思っていたが、8年経って、やっと出版された。これも「行動」への関心が高まっていることの証だろう。

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部下が何か失敗をしたときに、「あいつはやる気がない」ということを言ってみても、評価にはなるが、問題の解決にはならない。心理的な問題に関しては、この種の評価をするだけで終わっていくケースが多い。

しかし、これは本来、その人のもつ可能性の芽を摘んでいることになるかもしれないし、プロジェクトのような有期的な業務環境ではそのような評価を100回するより、その人をちょっとでもよいから変える方がはるかに意味がある。

そこで、注目されるのが「行動分析学」という手法である。この概念は、「行動随伴性」という概念によって、行動の原因を人間の内面(気持ち)ではなく、外的環境に求めようというものである。詳しい話は、こちらを参考にしてほしい。

プロジェクトマネージャーの方には、ぜひ、読んでほしい。また、マネジメントのツールではなく、セルフマネジメントのツールとしても使える。特に、習慣づけにおいては、この行動随伴性というのは重要な役割を果たしている。このあたりに興味を持つ方もぜひ、読んでいただきたい1冊である。

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