コンピテンシーマネジメント Feed

2005年8月17日 (水)

楽観主義で行こう

4061856553マーティン・E.P. セリグマン(山村宜子訳)「オプティミストはなぜ成功するか「新装版」」    講談社文庫(1994)

お奨め度:★★★★

楽観主義が成功しやすい理由を心理学的な見地から書いた本。結構、小難しい本なのだが、途中に、自己診断などが入っており、結構、一挙に読める。

この本は悲観主義者が失敗しやすい理由を説明した後で、楽観主義者が成功しやすい理由を事例を引き出しながら書いているので、結構、納得しながら読める。

中でも興味を引かれるのは、過去のワールドシリーズで勝者となった選手や、選挙に勝利した大統領のコメントなどに着眼し、各人またはチームの楽観度を測り、そこから成功との相関性を探ろうとする部分。
 
この本を最初に読んだのは文庫化直後だったので、10年以上前であるが、経営者を見るときにこのような分析をする癖がついてしまった(笑)。おおむね、あたっている。

ただ、同時に、その間に、その人間に対する世間の「評判」を見ていると、必ずしもよくない。「考えが甘い」、「ポリシーがない」などと、徹底的にこき下ろさないと気がすまないらしい。きっと、日本人は楽観主義者が嫌いなのだと思う。

最近、この視点から注目しているのは小泉首相と、ホリエモン。小泉は冷酷だの、なんだのと言われているが、一番の本質はオプティミストだと思う。これが受け入れられるというのは国民性の変わる兆しか、、、

実は、この本の書評を書こうと思ったのは、来る総選挙で小泉首相がホリエモンにラブコールを送ったというニュースをみたから。注目!

※新装版が出ています。(鈴木)

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2005年7月20日 (水)

個力を引き出す

4532312183 加藤昌男「超・成果主義―個力を引き出し強い組織をつくる」、日本経済新聞社(2005)

お奨め度:★★★★

成果主義ほど、さまざまな評価がある制度は珍しい。一時はすざましい期待をされ、多くの企業に導入された。しかし、その結果は望まれたものではなく、さまざまな視点から、多くの批判がある。

たとえば、内容はともかく、

4334933394

城繁幸「内側から見た富士通「成果主義」の崩壊」、光文社(2004)

などは興味深く読める。

うまく行かない原因は比較的明確である。企業の成果と個人の成果の連結がうまく行かないからである。たとえば、BSCを使って連結をしようとしてもなかなか思ったようには行かない。ある意味でこの両者の成果の連結は本質的な難しさがある。

成果主義への批判であれば、

4822243729 高橋伸夫「虚妄の成果主義―日本型年功制復活のススメ」、日経BP社(2004)

がもっとも的を得ているような気がする。日本型の年功制の利点を論じた本であるが、確かにうなづける点が多い。

にもかかわらず、ダメだという話にはなかなかならない。これは成果主義という考え方が企業にとって究極の発想ともいえるものだからに他ならないだろう。そして、その方法論を求めて、「ポスト成果主義」といった言葉まで生まれている。

さて、この本もその1冊である。が、ちょっと趣を異にするのは、人事の専門書ではなく、ビジネス書として読めるようになっている点だ。成果主義のうまく行かない原因のひとつは、制度そのものの問題ではなく、成果主義への社員の理解だと思う。一般的な人事制度と成果主義の違いというのはここに尽きるのではないかと思う。その意味で、多くのビジネスマンに読んでほしい本である。

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2005年4月18日 (月)

意志力革命

4270000635 ハイケ・ブルック、スマントラ・ゴシャール(野田智義訳)「意志力革命~目的達成への行動プログラム」、ランダムハウス講談社(2005)

お奨め度:★★★★★

この種の本としては、非常に体系的、かつ、論理的である。まず、これが第一印象。そして、読み出すと、引き込まれる。現実を踏まえた問題提起とその問題に対する具体的な解決法が述べられている。

「あくせくしながらも結果として何もしていない」状態から、自らの意志を駆使し、目的意識を伴う行動をとって有意義な結果をもたらすことが出来るようにしていく。そんなことができればいいなと思う人には必読書。

組織(経営)が目的達成するために個人が行動をするという視点から、マネージャー、リーダー、個人がどのような取り組みをすればよいかをそれぞれの視点からプログラムとして具体的に書かれている。

この構図は、プロジェクト、母体組織、メンバーで、プロジェクトの目的を達成するにはどうすればよいかという問題にそのまま適用できそうである。

成功企業十数社の具体的な事例をもとに書かれている。このような事例が提示されていること自体、ちょっとした驚きであるし、この本の魅力でもある。

個人が成長し、組織が変わらないと、個人がジレンマに陥る。その点を無視した組織の中で活動する個人の成長論というのは現実性に乏しい。この本のすばらしさは、そこの連鎖を十分に意識している点にある。

難点は、かなり、抽象度の高い記述になっている。かなり、本気で読まないと難しい。そのような本気が報われる本でもある。

あとがきもよい。この本の著者のひとりであるスマントラ・ゴシャールは、訳者の野田氏によると、稀有の経営学者だそうで、この本を世に出してすぐに他界したそうだ。野田氏は「異才」という表現を使っているが、まさにその言葉を彷彿させる本である。

そのスマントラ・ゴシャール博士の活動について、エピソードを交えて詳しい解説がされている。この解説を読むと、本書の読解の助けになるだろう。

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