個力を引き出す
加藤昌男「超・成果主義―個力を引き出し強い組織をつくる」、日本経済新聞社(2005)
お奨め度:★★★★
成果主義ほど、さまざまな評価がある制度は珍しい。一時はすざましい期待をされ、多くの企業に導入された。しかし、その結果は望まれたものではなく、さまざまな視点から、多くの批判がある。
たとえば、内容はともかく、
城繁幸「内側から見た富士通「成果主義」の崩壊」、光文社(2004)
などは興味深く読める。
うまく行かない原因は比較的明確である。企業の成果と個人の成果の連結がうまく行かないからである。たとえば、BSCを使って連結をしようとしてもなかなか思ったようには行かない。ある意味でこの両者の成果の連結は本質的な難しさがある。
成果主義への批判であれば、
高橋伸夫「虚妄の成果主義―日本型年功制復活のススメ」、日経BP社(2004)
がもっとも的を得ているような気がする。日本型の年功制の利点を論じた本であるが、確かにうなづける点が多い。
にもかかわらず、ダメだという話にはなかなかならない。これは成果主義という考え方が企業にとって究極の発想ともいえるものだからに他ならないだろう。そして、その方法論を求めて、「ポスト成果主義」といった言葉まで生まれている。
さて、この本もその1冊である。が、ちょっと趣を異にするのは、人事の専門書ではなく、ビジネス書として読めるようになっている点だ。成果主義のうまく行かない原因のひとつは、制度そのものの問題ではなく、成果主義への社員の理解だと思う。一般的な人事制度と成果主義の違いというのはここに尽きるのではないかと思う。その意味で、多くのビジネスマンに読んでほしい本である。
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